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第九十七話 物々交換交渉、パンツとパンツの決着
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放課後、誰もいない音楽室。
夕日が差し込む中、俺はルナと向かい合っていた。
机の上には、小さな紙袋がひとつ。
その中身は——昨夜、彼女が盗んでいった“俺のパンツ(黒ストライプ)”。
「……返してもらえるんだよな?」
俺が尋ねると、ルナは口を尖らせて言った。
「うーん、それはこっちの条件次第、かな?」
「はぁ!? なんでそっちが交渉側なんだよ!?」
「だって弘弥くん、わたしの気持ち、ちっともわかってくれないんだもん。
あんな戦争状態じゃ、目立つしかないでしょ?」
「いや、だからってパンツ盗むのはどうかしてる!」
「それでね、交渉だけど」
彼女は自分のリュックから、もうひとつの紙袋を取り出す。
中には、淡いピンク色の布地がちらりと見えた。
「これ。わたしの“勝負下着”です」
「いやいやいや!? お前、それを俺に渡す気!? なにこの対価バランス!!」
「だから、等価交換ってことで。弘弥くんのパンツと、わたしのパンツ、交換しましょ」
「待て!! そもそも俺の意思がまるで関与してない取引なんだが!?」
「いいじゃん、ドキドキするでしょ?」
夕日に照らされるルナの頬は、少し赤くなっていた。
ふざけているようで、本気でもある——そんな彼女の表情。
「弘弥くんが、私のこと“ちゃんと女の子として見てくれてる”って証拠が、欲しかったの」
「……っ」
その言葉に、俺は反論できなかった。
「でも、これは……あくまで、“証”だから。
変なことに使ったら、爆破するからね」
「しねぇよ!!」
こうして——
俺のパンツ(黒スト)と、ルナの勝負下着(ピンク)が、無言で互いの手に収まり、
物々交換交渉は成立した。
「ふふっ……これで私、弘弥くんの“一番深いところ”手に入れちゃったかも~」
「言い方!!!」
こうして、パンツ事件は一応の解決を見た。
が、俺の心の中に刻まれた“羞恥”の記憶は、なかなか消えてくれそうになかった。
(つづく)
夕日が差し込む中、俺はルナと向かい合っていた。
机の上には、小さな紙袋がひとつ。
その中身は——昨夜、彼女が盗んでいった“俺のパンツ(黒ストライプ)”。
「……返してもらえるんだよな?」
俺が尋ねると、ルナは口を尖らせて言った。
「うーん、それはこっちの条件次第、かな?」
「はぁ!? なんでそっちが交渉側なんだよ!?」
「だって弘弥くん、わたしの気持ち、ちっともわかってくれないんだもん。
あんな戦争状態じゃ、目立つしかないでしょ?」
「いや、だからってパンツ盗むのはどうかしてる!」
「それでね、交渉だけど」
彼女は自分のリュックから、もうひとつの紙袋を取り出す。
中には、淡いピンク色の布地がちらりと見えた。
「これ。わたしの“勝負下着”です」
「いやいやいや!? お前、それを俺に渡す気!? なにこの対価バランス!!」
「だから、等価交換ってことで。弘弥くんのパンツと、わたしのパンツ、交換しましょ」
「待て!! そもそも俺の意思がまるで関与してない取引なんだが!?」
「いいじゃん、ドキドキするでしょ?」
夕日に照らされるルナの頬は、少し赤くなっていた。
ふざけているようで、本気でもある——そんな彼女の表情。
「弘弥くんが、私のこと“ちゃんと女の子として見てくれてる”って証拠が、欲しかったの」
「……っ」
その言葉に、俺は反論できなかった。
「でも、これは……あくまで、“証”だから。
変なことに使ったら、爆破するからね」
「しねぇよ!!」
こうして——
俺のパンツ(黒スト)と、ルナの勝負下着(ピンク)が、無言で互いの手に収まり、
物々交換交渉は成立した。
「ふふっ……これで私、弘弥くんの“一番深いところ”手に入れちゃったかも~」
「言い方!!!」
こうして、パンツ事件は一応の解決を見た。
が、俺の心の中に刻まれた“羞恥”の記憶は、なかなか消えてくれそうになかった。
(つづく)
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