同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一〇三話 運命の目撃者——痴女系美少女、現る

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脱ぎたてパンツを頭にかぶされた男が、教室の床に膝をつき、崩れ落ちていた。

 夕陽は赤く、校舎の窓を染めている。
 カラスの鳴き声が一つ、空を裂くように響いていた。

 そして、その静寂を破ったのは——

「……あのさぁ。弘弥くんって、そういうのが趣味なんだ?」

 低く、甘く、どこか舌足らずな声。

 その声に反応して、俺は慌ててパンツを頭から引き剥がし、振り返る。

「え……」

 そこに立っていたのは、クラスメイトのひとり。

 金髪に近い明るい茶髪。
 制服のスカートは規定よりもやや短く、胸元はゆるく開いていて、
 その眼差しはまるで“人を試す猫”のように、挑発的だった。

「はじめまして……じゃないけど、ちゃんと話すの、初めてだよね?
 私、玖条 瑠衣(くじょう るい)。弘弥くんのこと、前からちょっと気になってたんだよね」

「……い、いや、それより今のは違うんだ、説明させてくれ、いやマジで!!」

 必死にパンツを背中に隠しながら抗弁する俺に、彼女は楽しげに笑った。

「え~、いいってば。むしろ逆に、すっごく興味湧いた」

 俺の目の前にしゃがみ込み、視線を合わせる瑠衣。
 近い。
 近すぎる。

「男の子ってさ、こっそりエッチなこと考えてるのが普通だと思ってたけど……
 弘弥くんって、こっそりじゃなくて“全開”なんだね?」

「全開じゃねぇし!? 誤解だし!!」

「ふふ……でも、“誰かの脱ぎたて”を頭に乗せてる姿、ちょっとエロかったよ」

「やめろおおおお!!」

 叫ぶ俺に、彼女は立ち上がり、パンと手を叩いた。

「じゃあさ、これから“同好会”でも作っちゃう?
 『パンツにまつわる文化研究会』とか」

「そんなの校内どころか全国から抹殺される!!」

 しかし、玖条瑠衣の表情は変わらなかった。
 艶やかに、危うく、そして——心から楽しそうに微笑んでいた。

「……いいね。
 弘弥くん、思ってたより“面白い”人だ。
 これから、もっと“いろいろ”知りたいな」

 俺は、ようやく気づいた。

 この女子は。

 俺をからかっているのでもなく、咎めているのでもない。
 ただ、本気で——“好奇心と興味”で、俺に近づいてきているのだ。

 まさかの痴女系美少女、接近開始。
 恋愛戦争、次なる爆弾が投下された瞬間だった。

(つづく)

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