同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一〇四話 ギャルの直球愛情表現、炸裂

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玖条瑠衣との予想外の接触に呆然としていた俺は、まだ床に座り込んだままだった。
 頭からパンツを外し、恥辱にまみれた記憶と格闘していると——

 またも、教室のドアが静かに開いた。

「おーい……弘弥~? まだいたー?」

 聞き慣れた明るい声。
 そして次の瞬間、パタパタと駆け寄ってくる足音。

「うっわ、何この空気……てか、なんでパンツ持ってんの?」

「ち、違っ……いやもう、何もかも説明できねぇ!!」

 俺が叫ぶ間もなく、ルナは状況を数秒で理解したらしく、ふんふんと頷きながら制服のポケットを探る。

「そっかー、弘弥、そういう気分だったんだ?
 じゃあ、はい」

「え?」

 そう言って、彼女はポケットから何かを取り出し、俺の手のひらにポンと乗せてきた。

 ……やわらかい感触。
 そして、ほんのりあたたかい。

「……これ、まさか……」

「はい、脱ぎたてパンツ。サービスでブラもおまけしてあげる!」

 ルナは、もう片方の手で制服の上からスッとブラを外すと、それも俺の膝の上に落とした。

「え、ちょっ、おい、待て!? お前今、まさか本当に——」

「うん、本当に“今”脱いだとこ。
 弘弥が“そういうの好き”なら、遠慮なくプレゼントするよ?
 ギャルとしては“気持ちに素直”がモットーだから♪」

 満面の笑顔でそう言うと、彼女はリズム良く踵を返して教室のドアへ向かった。

 そして——

「じゃあ、また明日ね~。
 あ、返さなくていいから! 使い方は任せるっ☆」

 ウィンク一発。
 ドアが閉まる。

 静寂。

 そして俺の手には——

 ほかほかの脱ぎたてパンツとブラジャー。

 あたたかさだけが、やたらリアルだった。

 俺はその場で石化した。
 全身から流れ出す冷や汗と熱気が混じり合い、思考が完全にストップする。

(……もう、俺……普通の男子高校生に戻れる気がしない)

 ——それから数分後。

 ようやく我に返った俺は、机の引き出しにそっと下着セットをしまおうとした。

 ……そのときだった。

「……下着、そんなに欲しいの?」

 冷たい声音が、教室の後方から響いた。

 振り返ると、そこには黒瀬りあが立っていた。

 制服の袖を指先でつまみ、壁にもたれかかるようにしながら、じっと俺を見ていた。

「い、いや違うんだ! これはそういう——」

「下着じゃなくて、“生身の女”のほうがよくない?
 私なら、直接でもいいよ。……試す?」

 その声は、甘く、それでいて静かだった。
 でも、その奥にはたしかに熱があった。

「りあ……」

 彼女は歩み寄ってきて、俺のすぐそばに立つ。
 その細い指が、俺のシャツの裾に触れようとした——その瞬間。

「やめろ、りあ」

 俺は声を張った。

「……俺は、そういうことで“誰かを選ぶ”つもりはない。
 お前だって、自分を安売りするようなことしてほしくない」

 彼女の手が止まり、その場に凍りついた。

 静かに、まぶたを伏せる。

「……弘弥くん、優しいね。だから……ずるい」

 ぽつりと呟いて、りあは踵を返し、静かに教室を出ていった。

 誰もいない教室。
 引き出しの中にしまいきれなかった、布のあたたかさだけが、残っていた。

(つづく)

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