同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一三二話 主人公、夢精す──混乱の朝と追及編(中編:観察・詮索・羞恥責めの時間)

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「で……“また”って、どういう意味ですか、碧純ちゃん?」

 冷静すぎる声。
 視線を感じて振り向くと、そこには手帳片手のひよりがいた。

「……観察記録、今朝も更新できそうですね」

「お願いだからやめてええええええ!!!」

 布団を抱えたまま後ずさる俺。

 しかしその動きに反応して、足元の瑠衣がもそっと起きる。

「……ん~? なにこれ……湿って……って、え!? 弘弥くん、これ……マジ……?」

 瑠衣の目がだんだん見開かれていく。

 そして——

「おーい! 弘弥くんの布団が大事件なんだけど~♡」

「やめてえええええええええええ!!」

 最悪の報告劇。

「どうしてあなたはこう……定期的に尊厳を消し飛ばすのですか?」(すみれ)
「我の夢術のせいではなかろうな……ふむ、確認のためにも詳細な状況を」(ユナ)
「詳細!? 詳細って何を確認する気だお前らあああ!!」

 碧純は顔を真っ赤にしながら、タオルと着替えを抱えて戻ってくる。

「と、とりあえずこれ! パンツも新品入れてあるから!」

「生々しい発言をしないで!? 妹でしょ君!!」

「違う! 従妹だし恋人だしもう気にしてないしっ!」

 ひよりは淡々とノートを開き、記述を始めていた。

「午前6時48分、再発症確認。布団の湿潤範囲:縦110cm、横65cm。原因:夢。 ……夢の内容、教えてもらえますか?」

「言えるかあああああああ!!」

「じゃあ、推測します」

 推測されたらされたで困るぅぅぅ!!!

「で……誰が出てきたの? 夢の中に」(瑠衣)
「まさか“複数”じゃないでしょうね……?」(すみれ)
「その場合、構成比も聞かせてもらいたい」(ひより)

「一問一答で詰めてくるのやめろおおおおお!!」

 机の下から、そっと覗いていたユウが、小声で聞いてくる。

「……わたし……出てた……?」

「聞くなあああああああああ!!!」

 この日、俺はヒロイン全員から“夢の中で何をしていたか”の追及を受け、
 観察、羞恥、疑惑、分析の嵐の中、尊厳を削り取られ続けた。

 そして——誰もが「次こそは現実で」と、謎めいた言葉を残していくのだった。

(つづく)

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