同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一三三話 春、花咲く宴──王女と甘く危険な菓子

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春休みも折り返しを迎えたある日。
 天気は快晴。
 近くの公園では桜が満開を迎え、まるで絵に描いたような“お花見日和”だった。

「じゃーん! お花見イベント、はっじまるよ~!」

 リーダーを気取るように、瑠衣がレジャーシートを広げて大はしゃぎ。

「弘弥くん、こっち座って! こっち!」

 すみれが笑顔で手を振り、碧純はお重を開けておにぎりや唐揚げを並べ始める。

「今年のために、特製レシピで作ったんだからね!」(碧純)

 そして、そんなにぎやかな雰囲気の中。
 異彩を放つ一人の少女が、気品を漂わせながら現れた。

「遅れてしまって申し訳ありません。春の宴に、王家の甘味をお持ちしました」

 そう言って、イザベラ・アーデンが差し出したのは、金色の包装紙に包まれた美しいお菓子の詰め合わせ。

「こちらは我が国で“セレニス・リキュール・タルト”と呼ばれております」

「リキュール……? つまり、お酒入ってる?」

「ほんの少量ですが、香りづけに……はい」

「お菓子だし、大丈夫っしょ!」(瑠衣)

「興味深い……味覚反応の観察にも最適ですね」(ひより)

「弘弥様、まずはどうぞ」

 イザベラに勧められるがまま、俺は一口。

 ……芳醇な甘さの奥に、確かにアルコールの香りが。

「うまっ……けど、これ……あとからちょっとクるかも……」

「おかわりどうぞ♡」

 そして、全員も次々と口にしていく。

 五分後——

「……うへぇ~……あっつ~い……お兄ちゃん、肩貸してぇ~」(碧純)
「むにゃ……すみれさぁん……耳、冷たいですぅ……ふへへ」(瑠衣)
「観察……記録……ぶふっ、ふふふふふっ……」(ひより)
「酔った魔導士は、世界を支配できる……ふふふ……ふははは!!」(ユナ)

 全員、ほんのり顔を赤らめていた。

 そして、イザベラまでも——

「弘弥様……この花の下で……いけません、指先が……勝手に……」

 俺は、頭を抱えた。

(まさか、お花見で酔いヒロイン地獄が始まるとは……)

 満開の桜の下、甘く危険な宴が幕を開けた。

(つづく)

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