同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

第一六九話 性癖矯正プラン始動──煩悩VSスケスケの罠

金曜日の放課後。
　春の午後はどこかゆるくて、空気も暖かい。

　俺は、買い物袋を下げて帰宅の途についた。

　コンビニでお気に入りのエナジードリンクと、新刊のラノベを手に入れ、機嫌は上々だった。

　（さあて、今日は静かに執筆に専念するぞ……新作“スーツ女教師モノ”のプロット固めて、あとは……）

　そんな期待を胸に玄関を開けた——その瞬間。

　俺の脳が、一度フリーズした。

「……っ！？」

　リビングに広がる光景。

　そこで待ち受けていたのは、スケスケのネグリジェ姿で整列する——
　ヒロイン全員だった。

　碧純。
　すみれ。
　瑠衣。
　ひより。
　ユナ。
　イザベラ。

　それぞれが、レースとシフォンとシルクで構成された“ありえないほど透けてる”ネグリジェ姿。
　そして全員、ノーブラ疑惑濃厚。

「お、お帰りなさい、弘弥お兄ちゃん♡」

　碧純が、微笑んで迎える。

「ちょ……ちょっと待て！？ これはどういう状況！？ 俺、夢！？ これ夢だよね！？ 滝修行中の幻覚！？」

「残念、現実です♪」（瑠衣）

「これは“矯正プラン”です。あなたの中で歪み始めた、特定属性依存症に対しての段階的再教育」（ひより）

「つまり……先生だけが好き、ってならないように、私たちで“上書き”するのよ」（すみれ）

「まさに、愛の“除霊儀式”」（ユナ）

「今宵は、王族の誇りにかけて……先生以上の魅力を証明いたしますわ」（イザベラ）

　俺は、そのまま袋を取り落とした。

　炭酸飲料がカランと転がり、ラノベがパタンと床に落ちる。

　目前には、透けるレース越しに揺れるライン。
　くびれ、脚線美、谷間、影、そして“見えてないのに見える”幻惑。

（あ……やばい……これ……これは……新たな性癖がまた……）

「お兄ちゃん？ 今日は、“先生じゃない誰か”で、ちゃんと興奮できるようにしてあげる」

　碧純のその一言で、俺は悟った。

　この日、俺の中の何かがまた、壊される——。

（つづく）