同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一七三話 ネグリジェ進化作戦──さらなる刺激と布越しの攻防

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 土曜の昼。
 朝の大事件――いや、大醜態を経て、なんとか正気を取り戻した俺は、風呂に入り、洗濯を終え、身も心も浄化された……はずだった。

 けれど、その期待は甘すぎた。

 午後一時。
 俺がリビングへ降りてくると、そこにはすでに“ネグリジェ進化作戦”の打ち合わせが始まっていた。

「布越しの限界を突破するためには、より上質な素材と構造が必要なのです」

 そう語るのは、ひより。
 手元には数枚の資料と、衣類メーカーのカタログ。

「フランス製シフォン、極薄サテン、透過率87%の繊維も候補に……」

「布越しの神秘性を残すために、逆に“全部は見せない”っていう戦略もありだと思うんだよね~」

 瑠衣がスマホ画面を見せながら、ランジェリー特集をスクロールしている。

「ちょ、ちょっと待ってくれ! なんでそんな真面目にやってんの!? あれは……事故だろ!? 病気というか……煩悩というか……」

「煩悩を否定しないで。だって、それこそが弘弥くんの“創作の核”なんでしょ?」(すみれ)

「パンツがテーマだったのが、ネグリジェに移行しただけ」(ひより)

「悪化してるじゃねーか!!!」

 ソファの上で頭を抱える俺の横で、碧純が静かに言った。

「……でも、お兄ちゃん……少し、嬉しかったんだよね?」

 その声には怒りも呆れもなかった。
 ただ、小さな嫉妬と、確かな気持ちがにじんでいた。

 顔を上げると、碧純の頬がほんのり赤い。

「う、嬉しいって……それは……」

「うん。気づいてる。だから、ちゃんと……比べて。みんなと、私の“魅力”」

 その言葉が落ちた瞬間、空気が変わった。

 次の瞬間、

「では、第1回ネグリジェ進化コンテスト、開催といきましょうか」(ユナ)

「ふふ、布越しの女王は、この私がいただきますわ♡」(イザベラ)

「エントリーNo.1、真壁碧純! ネグリジェ:妹専用ふわもこタイプ!」(瑠衣)

 なにそれ!? なんで妹専用!? てか、進行早っ!?

 俺の叫びもむなしく、ヒロインたちは一斉に2階へ向かった。

 その後、約30分。

 リビングには、部屋着から完全にアップデートされた“進化型ネグリジェ軍団”が帰還した。

 碧純は、純白のレースと淡いピンクのグラデーションが施された“姫袖型”ネグリジェ。
 裾がふわりと揺れ、動くたびに透ける絶妙な布の重なり。

 すみれは、光沢のあるミッドナイトブルーのシルク。
 肩出し&スリットという大胆なデザインながら、上品さを保った“知的誘惑スタイル”。

 瑠衣は、アシンメトリーなショート丈、背中がリボン一つで止まっている“背徳ガーリースタイル”。

 ひよりは、なぜか黒いチャイナ風ネグリジェ。胸元と腰にスリット、そして背中全開。

 ユナは、まるで巫女装束をネグリジェ化したような赤と白の和風透け衣。

 イザベラは、王族の品格すら感じさせる、純白のスイス刺繍ネグリジェ。胸元には金の縁取りと宝石飾り。

(なんだこの光景……)
(俺、ラブコメの主人公なのか、それとも煩悩に裁かれる業人なのか……)

 そのとき、すみれが言った。

「弘弥くん……一番、目がいったのは……誰?」

 全員の視線が俺に注がれる。
 ネグリジェの揺れ。
 布越しの胸元、太もも、素肌。

 俺は……どうすればいい!?

(つづく)
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