同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二〇五話 東京ショッピング編──男子一名、女子六名に囲まれる

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 エレノアが去ったあと、久遠と氷室プロデューサーもそれぞれの予定へと戻っていった。

 喫茶店を出た俺は、外で待っていたヒロインたちのもとへと戻った。

「お疲れ、弘弥くん!」(ルナ)

「打ち合わせ、無事終わった?」(すみれ)

「ちゃんと“変なこと”言わされてないよね?」(碧純)

「声のトーンに変化なし。とりあえず問題なさそうです」(ひより)

「おかえりー。で、今からどうするの?」(瑠衣)

「……弘弥、お腹空いてない?」(りあ)

 質問の矢が飛び交う中、俺は少し苦笑しながら言った。

「せっかく東京に来たんだし、みんなの買い物に付き合うよ。な?」

「えっ……ほんと!? いいの!? 行く行く行くぅ~っ!」(ルナ)

「スケジュールの都合も考えて、効率的に回りましょう!」(すみれ)

「弘弥くんの“荷物持ち”に最適な買い物プラン、構築中……」(ひより)

「じゃあ私、弘弥くんの腕にずっとくっついていい?」(瑠衣)

「誰が一番長く手をつなげるか競争よ」(碧純)

「無言で……隣にいればいいのよね……」(りあ)

 こうして俺は、女子六名に囲まれながら、渋谷~原宿~新宿の大混雑ゾーンをぐるぐる引きずり回される羽目になったのだった。

 ちなみに、初っ端のアクセサリーショップで碧純が“カップル割”を強引に使ったことは、あとで小一時間問い詰めた。

 次に立ち寄ったのは、ひときわ派手なディスプレイが目を引く下着専門店だった。

「ちょっ……ちょっと待て。ここ、入るのか?」

 俺は思わず足を止めた。

「当然でしょ? 女子の買い物っていったら、可愛い下着は外せないよ!」(ルナ)

「弘弥くんにも意見聞きたくて」(瑠衣)

「……アンケート対象、実物評価、参考値……ふむ」(ひより)

「見てるだけでいいから。いや、むしろ見て?」(碧純)

「気に入ったの、……選んでほしいの」(りあ)

「弘弥くん、男の子の視点で“勝負下着”ってどんなのがいいのかしら?」(すみれ)

 俺の顔から、じわじわと血が引いていくのが分かった。

「ま、まじか……」

 しかし、気づけばもう俺は彼女たちに腕を引かれて、ピンクやレースが溢れる空間に引きずり込まれていた。

 柔らかい照明。香水の香り。可愛いけど攻めたデザイン。

(こ、ここが……天国か地獄か……)

 そんな混乱する俺をよそに、ヒロインたちは店内のアイテムを手に取りながら俺の前に並び始める。

「ねえ、弘弥くん。この黒レース、どう思う?」(ルナ)

「私はこっちの清楚系。……弘弥くん、こういうのが好きなんでしょ?」(すみれ)

「これ、ストラップに小さな鈴ついてる……“気づかせる系”?」(ひより)

「弘弥ぃ~、赤って情熱の色だよね? だから……これ、どう?」(碧純)

「ん……無言で、差し出す……青いシフォン素材……」(りあ)

「私はあえて、子どもっぽいフリル付きにしてみた♡ 逆にギャップで勝負っ!」(瑠衣)

 俺は頭を抱えてしゃがみ込んだ。

「ちょ……ちょっと待って……選べないからっ……!!」

 そんな俺の姿を見て、ヒロインたちはくすくすと笑いながら、さらに並べたブラジャーとパンティーを両手にひらひらと振っていた。

(つづく)

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