同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二一一話 白神ルナの提案──パンツプレゼント大会、開幕!

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誕生日パーティーの真っ只中。
 ケーキも無事に食べ終え、和やかな空気がリビングに広がる中——

「さてさてっ、ここで! 恒例のっ……パンツプレゼント大会~っ!!」

 テンション高めに叫んだのは、もちろんルナだった。

「は? パ、パンツ!?」

 俺は思わず声を裏返す。

「ちょ、ちょっとルナ!? またアレなの? 脱ぎたてとか、そういう——」

「なわけないでしょっ! 今回はちゃんと! ちゃんと男子用だからっ!」

 ルナが笑顔で差し出したのは、ギラギラと派手なスパンコールのブリーフ。
 しかも、前面には「LOVE♡」のロゴがド派手に刺繍されていた。

「な、なんだこれぇ……」

「じゃあ次は私!」(瑠衣)
 差し出されたのは、布面積の極端に少ない、どこを守ってるのかわからない謎のパンツ。

「こ、これ……競泳用? いや違うな、何用だ!?」

「観察対象の夜間放出量を考慮し、吸水性の高い素材を採用しました」(ひより)

 ひよりは理系レポートみたいな紙を一緒に添えてきた。

「私からは……これです」
 りあは、黒地に真っ赤な炎の模様が入った、いかにも“厨二病”なパンツを差し出す。

「……なにこれ。最終奥義でも使えそうなデザイン……」

「わ、私は……ふつうのにしたつもりなんだけど……」
 碧純は、キュートなキャラ柄のトランクスを差し出してきた。

「え、これ……アニメグッズコーナーで売ってたやつじゃない? 俺持ってるやつの色違い……」

 そして最後に——

「私からは、こちらを」

 すみれが、赤く染められた絹のふんどしを差し出した。

「え、ふんどし!? な、なんで!?」

「いま弘弥くん、江戸時代の作品を書いていると伺いましたので……執筆の参考になるかと」

 その一言に、俺は目を見開いた。

「確かに……実物、見たことなかったし……ちょっと着けてみようかな」

 俺は好奇心に駆られ、ふんどしを手にして部屋の奥へと向かった。

 その数分後。
 リビングで女子たちがプレゼント交換の余韻に浸っていると——

 玄関のチャイムが鳴った。

「はーい、誰か来たみたい」

 すみれがドアを開けると、そこに立っていたのは彼女の祖父だった。
 口数少ない、無骨な表情のまま、両手に巨大な袋を持っている。

「おじいちゃん……どうして……」

 彼は何も言わず、袋の中身をテーブルに置いていく。
 にんにく、大量の韮、山芋、卵、さらには精力ドリンクまで。

 そして——

 ふんどし姿で廊下から戻ってきた俺と鉢合わせた。

「……」

 祖父は一瞬だけ目を細め、そして何も言わず、ふたたび袋を肩に担いで帰っていった。

「……何だったんだ今の……」

「うちのおじいちゃん、たぶん……“理解”してる……」

 俺はそっとふんどしを結び直し、複雑な気持ちで野菜と精力セットを見つめた。

 そして——

「わたくしどもからも、ささやかながら」

 イザベラが両手で抱える美しい布包みをそっと差し出す。
 中から現れたのは、青と金の刺繍が施された、豪奢な布製ボクサーパンツ。

「これは我が国で“栄誉ある戦士”に贈られる儀礼用のパンツです。ですが素材は通気性もよく、普段使いにも最適ですの」

「マジで……王族用下着って、こんな豪華なのか……」

 俺が驚きながら手に取ると、今度はエレノアが優雅に小箱を差し出す。

「こちらは、わが国の王族男性が成人式の際に贈られる“始まりの一枚”です」

 中には、薄く繊細な生地に花と剣が交差する意匠が施されたトランクスが。

「え、これ、むしろ飾っておきたいレベルなんだけど……」

「身につけることで創作の霊感が降りてくると、古くから言われております」

「……あっ、今ちょっと来た気がする。何か、ひらめきそうな気が」

 思わず真顔になる俺に、ヒロインたちは呆れたような、微笑ましいような視線を送ってきた。

「……やっぱり弘弥くん、変態だわ」(ルナ)
「いや、そこが弘弥くんのいいところなのよ」(すみれ)

 こうして俺の誕生日は、歴史と文化と愛と変態に満ちた“パンツの祝宴”として、しばらく語り継がれることになるのだった。

(つづく)

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