同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
237 / 630

第二二一話 阿字ヶ浦温泉でほっこり──乙女たちの美肌自慢と春の夜

しおりを挟む
 温泉は、民宿から歩いてすぐの場所にあった。
 阿字ヶ浦温泉のぞみ──海風に包まれた、地元でも評判の天然温泉。
 俺たちはチェックイン後、すぐに着替えて向かうことにした。

 もちろん、男湯と女湯は別々。
 俺のほうは割愛するとして……そのころ、女湯では──

「わぁ……広いっ。それに、天井が高い……!」(すみれ)
「見て見てこの壁! すごい、ガラス張りで海見えるじゃん!」(ルナ)
「塩分を含んだ泉質……なるほど、“熱の湯”と呼ばれる理由が分かりますわね」(イザベラ)

 湯は無色透明ながら、肌にぴたりと密着するようなとろみがあった。
 ナトリウム塩化物泉の効果は、保温・保湿・疲労回復。
 まさに今日一日歩き疲れた彼女たちにはぴったりだった。

「はぁ……極楽極楽……」(りあ)
「お兄ちゃんには見せてあげたくないけど……この湯、すごくいい……」(碧純)
「肌のすべすべ具合、帰ったら触らせたら驚くかしら」(ひより)

 ゆったりと身体を伸ばし、湯の熱と塩気をじんわり感じながら、少女たちは穏やかな時間を過ごしていた。

 ……そして。

 温泉から上がった後、彼女たちは揃って部屋へ戻ってきた。
 浴衣姿で、頬がほんのり赤く、髪はまだほんの少し湿っている。

「ただいま~、弘弥くん♪」(ルナ)
「お兄ちゃん、お風呂上がりって最高だね」(碧純)

 そう言いながら、彼女たちは次々と俺の周囲に集まり始めた。

「ねぇ、弘弥くん……見てくれない? この肌」
 ルナが袖をたくし上げ、二の腕をにこっと笑いながら差し出す。

「ほら、つるつるでしょ? 触ってもいいよ~?」

「わ、私はいいけど……弘弥くんなら、ちょっとくらい……」(すみれ)
「この温泉、なかなか侮れませんわよ。感触、まるで絹のようですの」(イザベラ)
「観察対象、動揺中。汗腺活動、上昇確認」(ひより)

 浴衣のすそがふわりと揺れて、視線のやり場に困る。

「……ちょ、ちょっと待って。何、この急なボディタッチ大会?」

「せっかく綺麗になったんだし、見せなきゃもったいないでしょ~?」(ルナ)
「お兄ちゃんが変な顔するの、ちょっと好き……」(碧純)

 俺は座布団を持ち上げて顔を隠した。
 けれど、彼女たちのくすくすと笑う声は、今夜の潮騒よりも近くで、甘く響いていた。

(第二二二話へつづく)

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...