同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二三一話 アンケートの波紋──グッズとヒロイン、どこが似てる?

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放課後の教室。ざわざわとした空気の中、俺は自分の机に突っ伏していた。

(……何がどうしてこうなった)

 机の上には一枚のアンケート用紙。

《あなたが思う、○○(アニメ名)のヒロイン原案モデルは誰だと思いますか?》

 文芸部員でもある生徒会副会長が、部活対抗イベントの一環として、校内の有志生徒にアンケートを取ったらしい。

 俺の作品が、今やアニメとして全国に放送されるのは事実。そして、登場ヒロインたちがどこか「リアル」に感じられるというのも、否定しない。

 ……だが、そこに「モデルが存在するのでは?」という疑惑が浮上したのだ。

 俺は誰もモデルにしてないし、してるつもりもなかった。

 ただ、あの笑い声、あのしぐさ、あの甘え方……自然と、日々の暮らしの中で染みついていたものが、作品に滲み出ていたんだと思う。

 ──だが、それは言い訳にならなかった。

「お兄ちゃん……あれ、どういうこと?」(碧純)

「弘弥くん……アニメのキャラ、私に似てるって言われてるの。しかも、属性が“嫉妬深くて甘えん坊の妹キャラ”って……」(すみれ)

「私……ツインテールの小悪魔キャラのモデルって……私そんなに露出してたかな?」(ルナ)

「観察対象、沈黙中。状況、炎上の予感」(ひより)

「……でも、私、うれしいかも……弘弥の物語の中に、私がいるのなら……」(りあ)

「わたくしの“高貴なる姫君”は……ちょっと胸が大きすぎますわ……」(イザベラ)

 目の前のヒロインたちが、全員、うっすらと赤面しながらも、どこか複雑な表情を浮かべていた。

 驚き、喜び、恥ずかしさ、そして——問いかけ。

「ねぇ弘弥くん。誰かひとりをモデルにしたわけじゃないんでしょ?」(すみれ)

 その言葉に、俺はうなずくしかなかった。

「もちろん……でも、たぶん……知らないうちに、君たちの影響を受けてたんだと思う」

 沈黙が落ちる。

 そして——

「だったら、それでいいよ。あたしは、弘弥が“私たちとの日常”を作品にしてくれてるなら、それが一番うれしいもん」(ルナ)

「……モデルでもモデルじゃなくても……“弘弥の中にいる私”が、ちゃんといたなら、それでいい」(碧純)

 頷くように、他のヒロインたちも微笑んでくれた。

 俺は、胸を撫で下ろす。

 だけど——

(……まてよ)

 “グッズのフィギュア”をこっそり広げていた彼女たちが、実は自分に似ているパーツのサイズや造形をひとつひとつ比べていた事実を、俺は知っている。

 これは、また“修羅場の火種”を残してしまった予感しかしない——。
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