同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二六三話 「波と笑顔とビールの香り──お姉さん、今日はご機嫌です」

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カラン、カランと氷がグラスの中で音を立てる午後。

南国のような陽射しの下、
俺たちは再び、海辺にいた。

「お兄~~! スイカ割り二回戦いっくよ~~っ!!」

「弘弥くん、ちゃんと見ててね。私、今日こそ真っ二つにするから」

「水着ずれないように注意……ぐふふ、観察記録に差し込みたい……」

「ふふ……この波音……夏って感じ……」

「わたくしの国には海がありませんの。うふふ、開放感がすごいですわね♡」

みんな、思い思いの水着姿で砂浜を駆け回っている。

笑い声、はしゃぐ音、潮の香り。

この瞬間は──最高に、平和だった。

「──んふふふふ~♡」

ただし。

唯一、それを除けば。

「はい、ひろやくん~~♪ ごくごく~~♪ 夏の味ぃ~~♡」

隣にいたのは、
真っ赤な顔で缶ビールを三本並べてご満悦の、

篠宮みつきだった。

「ちょ、みつきさん!? ビール何本目!?!? 顔赤いよ!?」

「んふふ~♡ 看護師はねぇ~~、夏に飲まなきゃやってらんないのよぉ~?
しかも目の前で美少女たちが水着でキャッキャしてたら、飲むしかないじゃなぁ~い?」

「発言に色々問題あるんですけど!!」

「それにさぁ、ひろやくん、最近……色気出てきたよねぇ……?」

「えっ?」

「昨日もアレだったじゃん? アレ♡ 朝からアレ♡ お姉さん、全部処理したんだからねぇ~? えっへへ~~♡」

「やめて!? 大声で言わないで!?!?!?」

みつきは、ぐいっと缶ビールをあおると、
俺の肩にダラ~っと寄りかかってきた。

「もうさぁ、そろそろ誰か一人選びなよぉ~……ほら、正妻とかぁ~……」

「このテンションで大事な話題振るのやめて!! 酒飲んでるとき禁止!!!」

「じゃあさ、みつきお姉ちゃんでもいいよ? ねぇ~? よしよしされるの、嫌いじゃないでしょ~?」

「好きだけどもぉおおお!!!」

◆ ◆ ◆

「──あらあら、みつきさん、相当できあがってますね」

すみれが困った顔で寄ってきた。

「ほら、弘弥くん。タオルで首筋冷やしてあげて。ちょっと酔いすぎよ」

「りあ、お水持ってきた……」

「観察対象の心拍数、軽く危険域。早期離脱を推奨」

「こらぁー! 弘弥になんかされてたら許さないからね!?」

「いや、俺なにもしてないから!? むしろされてるから!?」

◆ ◆ ◆

そして結局──

篠宮みつき、
ヒロイン全員によってタコ足のように持ち上げられ、
そのまま宿に強制送還されることとなった。

「やだぁ~~~ん! 弘弥くんのお膝ぁ~~~! 離れたくなぁ~~いっ♡」

「ダメですっ! 看護師でも未成年男子の前では自重してくださいっ!」

「うふふ~~~、お姉さんの力、まだまだこれからよぉ~~~~♡」

「こっちは夏を満喫したいだけなんだあああああああ!!!」
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