同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三〇十話 「新たな隣人──再び近づく影」

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 二学期が始まり、いつものように日常が戻ってきた。

「弘弥、お疲れ~!」

 学校から帰ると、ルナがすでに部屋で待機していた。
 いつも通り、明るく元気なルナの笑顔が迎えてくれる。

「ただいま、ルナ。早いな」

「ちょっと、宿題してたからさ! あ、今日はお兄の帰りを待ってたんだよ!」

「おお、そうだったな」

 そのまま、みんなで夕飯の準備を始める。

 ──しかし、その日の帰り道、何かが違っていた。

「……隣の部屋、なんか最近物音しない?」

「え、ルナ、隣?」

「うん。今、引っ越ししてるみたいなんだよね、隣のアパート」

「え、引っ越し?」

「うん、さっきも見たんだけど、荷物運び込んでる人がいた」

「そうか……」

 少し気になりながらも、俺はその話を流し、鍋の準備に戻った。

 しかし──

 その晩、部屋で休んでいるときに、ふと音が聞こえてきた。

 ドタドタと、隣から荷物を運び込む音が。

「隣の部屋、また動いてるな」

「あ、また?」

 そのとき──

 隣のアパートから出てきたのは、見覚えのある少女だった。

「……お?」

 驚くべきことに、その少女は──
 あの、あの時の後輩──あの、あの時の姿。

「まさか……!」

「え、弘弥お兄ちゃん!」

 その少女はにっこりと微笑んで、手を振りながら言った。

「お久しぶり! 二学期から引っ越してきました!」

「まさか、隣の部屋に……」

 その瞬間、記憶が一気に蘇った。

 そうだ、幼い頃……俺たちは一緒に遊んでいたんだ。

「おい、ちょっと待って、君、あゆむ?」

「あゆむだよ~。みつきお姉ちゃんの妹だよ」

 俺は一瞬言葉を失った。
 みつきの妹──あゆむが、俺の隣の部屋に引っ越してきた。

「本当に、まさかの再会だな」

「あゆむ、また一緒に遊ぼうね!」

 その言葉に、俺はしばらく黙り込んでしまった。

 あゆむはすっかり大人びて、俺の記憶の中のあの小さな女の子とは違っていた。

 でも、その笑顔は変わらなかった。

 その日、俺は少し混乱していた。

 どうして隣の部屋に引っ越してきたのか、あゆむがなぜこのタイミングで現れたのか、
 その理由が分からないまま、ただその顔を見つめていた。

(あゆむ……)

 俺は心の中で思った。

 ──でも、これからどうなるんだろう。

 あゆむがどんな影響を物語に与えるのか、
 俺の心情がどう変化していくのか、全く予測ができなかった。

 ──これからが、俺にとっての大きな転換点となるのかもしれない。
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