340 / 630
第三三一話 「黒沢先生、再び動く──夢精を“歓迎される側”の指導とは」
しおりを挟む
──昼休み。
俺は、パンを食べながらのんびりと日なたぼっこしていた。
「ふぅ……平和……」
昨夜の会話──
「夢精はむしろ嬉しい」
「おむつなんていらない」
「出たのが私のせいなら幸せ」──
そんなヒロインたちの、まさかの夢精全面肯定宣言。
(おかしい……なんか俺、愛されてる……?)
混乱しつつも癒されていたその時だった。
カツ、カツ、カツ――。
規則正しいヒールの音が、背後から近づいてくる。
「真壁くん。職員室まで来てもらえるかしら?」
その声だけで、全身の血が凍った。
「……黒沢先生……」
(やばいっ!!なんか知られてる空気だあああああ!!!)
◆ ◆ ◆
職員室、風紀指導席。
俺はいつものように椅子に座らされ、
黒沢先生は机の向こうで腕を組んでいた。
「で? 昨夜の“女子たちの発言”について、説明してもらえる?」
「な、なぜ知ってるんですか!?」
「教え子たちが、自慢げに話してたのよ。“弘弥くん、夢精してくれるのが嬉しい”って」
「やめてくれぇええええええ!!!」
「真壁くん」
先生がスッと眼鏡を押し上げ、
静かに、でも確実に語気を強めた。
「夢精は“健康”です。でも、“モテてるアピール”の免罪符じゃありません」
「いや違うんです違うんです先生!!俺はただ寝てるだけで!!」
「“寝てるだけで出してる”から問題なのよッ!」
バンッ!と机が鳴る。
◆ ◆ ◆
「聞いたところによると、“夢精するとヒロインたちが喜ぶ”という……
歪んだ報酬系ループが出来上がっているらしいじゃない?」
「なんで心理学的分析までされてるの俺!?」
「そろそろあなた、**風紀における“性の中心爆心地”**になりかけてるわよ」
「爆心地って表現どうなの先生ぇぇ!!?」
◆ ◆ ◆
黒沢先生は、深いため息をついた。
「……だからと言って、あなたを責めるつもりはないの」
「えっ?」
「あなたが優しいからこそ、彼女たちも安心して甘えてる。
……だけど、だからこそ、あなたが“流されっぱなし”になるのはダメなのよ」
先生は、机の上に資料を置いた。
《セルフコントロールノート(性の自己管理指導用)》
《感情整理ワークシート》
《睡眠環境安全ガイド:風紀委員版》
「……なにこの三点セット!? 教材!?!」
「これは、“夢精を歓迎される男子生徒”に与えられる唯一の風紀的対応策よ」
「その肩書きで配られること、今後の人生で絶対ないと思ってました……」
◆ ◆ ◆
先生は少し微笑んで言った。
「でもね、真壁くん。
本当に嬉しいって思ってくれる相手がいるのは、悪いことじゃない」
「え……?」
「あなたが“無自覚に惚れられてる”のは、今に始まったことじゃないでしょ?」
「そ、そんな自覚は……」
「あるでしょ」
先生がスッと顔を近づける。
「……例えば、“私”も、少しくらいは気にしてるかもしれないじゃない」
「せ、せ、せんせ……!?」
「ふふっ、嘘よ。教師が生徒をそんな目で見るわけないでしょ?」
(嘘って何!?今のどこまでが本音!?!)
◆ ◆ ◆
帰り際、先生が小さな箱を渡してきた。
「万が一のために。“夜間安全用・特製シーツカバー”よ。
家庭科部とコラボで開発したやつ」
「なにそれェェェ!!?」
「いいから。持って帰りなさい。
……あなたの青春は、寝てる間に壊れかねないんだから」
俺は、パンを食べながらのんびりと日なたぼっこしていた。
「ふぅ……平和……」
昨夜の会話──
「夢精はむしろ嬉しい」
「おむつなんていらない」
「出たのが私のせいなら幸せ」──
そんなヒロインたちの、まさかの夢精全面肯定宣言。
(おかしい……なんか俺、愛されてる……?)
混乱しつつも癒されていたその時だった。
カツ、カツ、カツ――。
規則正しいヒールの音が、背後から近づいてくる。
「真壁くん。職員室まで来てもらえるかしら?」
その声だけで、全身の血が凍った。
「……黒沢先生……」
(やばいっ!!なんか知られてる空気だあああああ!!!)
◆ ◆ ◆
職員室、風紀指導席。
俺はいつものように椅子に座らされ、
黒沢先生は机の向こうで腕を組んでいた。
「で? 昨夜の“女子たちの発言”について、説明してもらえる?」
「な、なぜ知ってるんですか!?」
「教え子たちが、自慢げに話してたのよ。“弘弥くん、夢精してくれるのが嬉しい”って」
「やめてくれぇええええええ!!!」
「真壁くん」
先生がスッと眼鏡を押し上げ、
静かに、でも確実に語気を強めた。
「夢精は“健康”です。でも、“モテてるアピール”の免罪符じゃありません」
「いや違うんです違うんです先生!!俺はただ寝てるだけで!!」
「“寝てるだけで出してる”から問題なのよッ!」
バンッ!と机が鳴る。
◆ ◆ ◆
「聞いたところによると、“夢精するとヒロインたちが喜ぶ”という……
歪んだ報酬系ループが出来上がっているらしいじゃない?」
「なんで心理学的分析までされてるの俺!?」
「そろそろあなた、**風紀における“性の中心爆心地”**になりかけてるわよ」
「爆心地って表現どうなの先生ぇぇ!!?」
◆ ◆ ◆
黒沢先生は、深いため息をついた。
「……だからと言って、あなたを責めるつもりはないの」
「えっ?」
「あなたが優しいからこそ、彼女たちも安心して甘えてる。
……だけど、だからこそ、あなたが“流されっぱなし”になるのはダメなのよ」
先生は、机の上に資料を置いた。
《セルフコントロールノート(性の自己管理指導用)》
《感情整理ワークシート》
《睡眠環境安全ガイド:風紀委員版》
「……なにこの三点セット!? 教材!?!」
「これは、“夢精を歓迎される男子生徒”に与えられる唯一の風紀的対応策よ」
「その肩書きで配られること、今後の人生で絶対ないと思ってました……」
◆ ◆ ◆
先生は少し微笑んで言った。
「でもね、真壁くん。
本当に嬉しいって思ってくれる相手がいるのは、悪いことじゃない」
「え……?」
「あなたが“無自覚に惚れられてる”のは、今に始まったことじゃないでしょ?」
「そ、そんな自覚は……」
「あるでしょ」
先生がスッと顔を近づける。
「……例えば、“私”も、少しくらいは気にしてるかもしれないじゃない」
「せ、せ、せんせ……!?」
「ふふっ、嘘よ。教師が生徒をそんな目で見るわけないでしょ?」
(嘘って何!?今のどこまでが本音!?!)
◆ ◆ ◆
帰り際、先生が小さな箱を渡してきた。
「万が一のために。“夜間安全用・特製シーツカバー”よ。
家庭科部とコラボで開発したやつ」
「なにそれェェェ!!?」
「いいから。持って帰りなさい。
……あなたの青春は、寝てる間に壊れかねないんだから」
0
あなたにおすすめの小説
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる