同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

第三三三話 「裸で寝ようキャンペーン発動──でも妥協点は“下着で添い寝”でした」

　──夜。

　リビングには妙な空気が漂っていた。
　食後のまったりタイムが終わり、歯磨きも済んで、いよいよ就寝準備というタイミング。

　そのとき――ルナが突然、口を開いた。

「ねぇ、みんな。もうさ、パジャマって暑くない？」

「暑い？」

「うん！ 夏だしさ～、蒸れるし～、弘弥も寝苦しいって言ってたじゃん？」

（えっ、俺、言ったっけ……？）

「だから、裸で寝ようキャンペーン、始動しますっ！」

「はぁあああああああ！？」

　◆　◆　◆

「ちょっと待ってください、ルナさん！？」
　すみれが即座に割り込んできた。

「なぜそう極端なんですか！？ 理性を保てませんよ、弘弥くんが！！」

「そうそう、“朝の湿り事件”の再来が確定してしまいます」

　ひよりがノートを取り出し、メモしながら冷静に言う。

　《※全員下着なしで添い寝した場合、夢精率：180％増加》

「増加率おかしいからね！？ 物理法則壊れてない！？」

「でもさ～、わたし思うんだよねぇ」

　ルナが、ソファの上で足を抱えながら、ぽつり。

「弘弥のこと、大好きな女子たちに囲まれて、夢精しちゃうのって……
　それ、男の子として正解じゃない？」

「開き直り方がギャルすぎるうううう！！」

　◆　◆　◆

「あ、でも……」

　りあが、静かに言った。

「裸は……たぶん、逆に“事故”じゃ済まない」

「えっ」

「裸の弘弥くんが隣で寝てたら……その……わたしの手が……」

「ダメですダメです今すぐ話やめてください！！！」

「じゃあ、下着は残すってことでどう？」

　あゆむがスッと提案する。

「上下とも？それとも……上だけ？」

「それ、逆にエロくない！？」

「じゃあ、“最低限の布”で妥協するってことで――“下着で添い寝”で合意ね？」

「全然妥協じゃないからなそれえええええええ！！」

　◆　◆　◆

　そしてその夜。

　俺のベッドの周囲には、寝間着＝下着オンリーのヒロインたちが、
　順番に布団に潜り込んできた。

　・スポブラ＋ショーツのルナ
　・フリル付きのセクシーショーツ一枚で照れるすみれ
　・黒レースの下着で妙に堂々としてるりあ
　・くすぐり呪文を唱えながらTバックで入ってきた瑠衣
　・まさかの“体操服のブルマで来た”ひより
　・そして、子供用ウサギ柄パンツのまま来たあゆむ（なぜそれ選んだ）

「……この空間、いろいろと人として試されすぎてない……？」

「大丈夫だよ、弘弥。出しちゃってもいいから♡」

「よくないからな！？人間として限界だからな！？」

　◆　◆　◆

　こうして、“裸で寝ようキャンペーン”は、

　“下着で寝よう”という最も理性に優しくない妥協案によって幕を開けた。

　そして俺はこの夜も、汗と恐怖とちょっとの幸福に包まれて眠りについた――

　……翌朝、当然のように事件が起きることなど、
　このときの俺はまだ知らない。