同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三四一話 「そして、朝はいつも通り夢精から始まる──平和と混乱の目覚め」

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 ──朝。

 俺は、暖かい。

 いや、暑いくらいに、ぬくもりに包まれていた。

(……幸せ……)

 布団の中は、柔らかくて、甘い香りがして、
 身体の左右からそれぞれのぬくもりが伝わってくる。

(……これが、平和ってやつか……)

 そう思って、目を開けた瞬間――

「……あぁ……」

 “異変”に気付いた。

 下半身に、ぬるっとした感触。

 あああああ……また……やっちまった……!

(夢精三日連続って、もうこれ神話か呪いか何かだよね!?)

 ◆ ◆ ◆

 そのとき、隣からもぞもぞと動く気配。

「ん……おはよう、弘弥くん……」

 先に目を覚ましたのは、すみれだった。

「……っ……だ、脱いでる……」

 顔を真っ赤にしながら、掛け布団をそっと持ち上げて――
 そして、静かに硬直した。

「……弘弥くん」

「……はい」

「……下、濡れてるよね?」

「はい……おっしゃるとおりです……」

 ◆ ◆ ◆

「ふぁぁ~おはよぉ~……あ、出てる~!」

 ルナが寝ぼけまなこで布団を覗き込み、
 無邪気に大爆笑。

「ねぇ、ねぇ、触ってみていい? これ“出たて”でしょ? 新鮮だよね?」

「やめてえええええええ!!!」

「被験者No.001、無意識射精、三連続達成」

 ひよりがノートに記録をつけながら、手元のメジャーを取り出している。

「今朝の飛距離、計測します」

「誰が許可したの!?!?」

「うふふ……夢の中、わたしが手を握ってたの。
 きっと“私のせい”で……ね?」

 りあが静かに微笑みながら、
 俺の足に絡めていた自分の足をすり寄せてくる。

「うわああああああああ!!!」

 ◆ ◆ ◆

「あ、布団干す準備するね。今日、天気いいから!」

 あゆむが元気に布団をまくって――

「あ、染みたの、こっちまで来てるよ~?」

「やめて! その情報、元気に言わないで!!」

 瑠衣が寝起きの髪を直しながら、
 ぽつりと呟く。

「……夢精とは、“抑えきれぬ本能の叫び”。
 それは愛の証。汚れではなく、祝福である――」

「詠唱始めるな!!」

 ◆ ◆ ◆

 その後。

 俺が脱いだズボンと濡れた下着を手に、
 ベランダで干していると――

「……ほんとに干してる……」

 呆然と見つめるヒロインたち。

「……弘弥、すごいね。もう、開き直りすぎて尊敬するレベル」

「だって隠せないもん……現実だもん……」

「これが……思春期男子のあるべき姿……」

「いや、違うけどね!?」

 ◆ ◆ ◆

 朝食はなぜか豪華だった。

「“出すほどに”栄養が必要ってことだから」

「いっぱい出すなら、いっぱい食べなきゃね!」

「それ、“恋愛の勝負”も含めての意味だよね!?」

「さぁ弘弥くん、今日も元気に生きて、“いっぱい”頑張ってね♥」

 俺の目の前に並ぶ、美少女と朝ごはんと、そして干された夢精パンツ。

 青春って、なんなんだよ……。
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