同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三五五話 「推し、現実に降臨──“ことね”とヒロインズの直接対面」

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 ──その日、世界が静かに軋んだ。

「ねぇ、弘弥くん。今日、あの子……連れて来るのよね?」

 放課後、我が家リビング。
 夕焼けが窓から差し込む中、すみれが静かに口を開いた。

「う、うん。彼女、今日“課題のことで相談したい”って言ってて……」

「へぇ、“先生”に“課題相談”ねぇ」
 ルナがにやにやと笑いながらソファに座る。

「本物の“推し”が、ついにリアルに出現、か」
 りあの声は低く、だがどこか楽しげだった。

「統計的には、女性VTuberがリアル空間に現れると、
 修羅場確率は92%を超える」

 ひよりは冷静に、だがペンを握る手が若干震えていた。

「“本物”……ふふ、楽しみ」

 あゆむがグラスに水を注ぎながら、にこりと笑うその顔は――笑っていない。

(やめて! 殺気を隠して!? もうちょっと平和的に行こうよ!?)

 ◆ ◆ ◆

 ピンポーン

「……来た」

「お出迎え、行ってらっしゃい、“ご主人様”」

 ルナのニヤついた声を背に、俺は玄関へ向かった。

 ドアを開けると、そこにいたのは――

「こんにちは、真壁くん。……おじゃまします」

 制服姿に薄いカーディガン、いつものほわほわした雰囲気を纏いながらも、
 どこか“本番モード”に入っているような、ことのは ことね――だった。

(たのむ……このまま、何事もなく帰ってくれ……)

 ◆ ◆ ◆

「……では、自己紹介から、お願いできるかしら?」

 すみれが微笑んだ。が、その目は笑っていない。

「こ、ことのは ことねです。……真壁くんとは、クラスメイトになったばかりで……
 今日は、ほんとに、お邪魔してごめんなさい」

「こちらこそ、ようこそ。……“ようやく”ね」

 りあが微笑む。

「ねぇ、“ことねちゃん”ってさ、声かわいくない?
 ほんっと耳に残るよねぇ~、なんかこう、配信とかに向いてる感じ?」

「そ、そんな……あはは、よく言われます」

(言われてるんかい!!)

「“ぽっぺちゃん”とはまた違う感じの“癒し系”っていうの?
 弘弥のタイプど真ん中って感じだよね?」

 ルナの言葉に、俺の背中を冷たい汗が流れ落ちる。

「そ、そ、そうかな!? いや、そんなことないと思うけどなぁ~!?!?」

 ◆ ◆ ◆

「……ねえ、ことねちゃん」

 静かに声を発したのは、碧純だった。

「“私をモデルにしたキャラ出してね”って、前に言ってたらしいけど」

「……っ」

「……誰に?」

 一瞬、ことねの表情が止まる。

「……あ、それは……えっと、ただの冗談で、軽く言っただけで……」

「じゃあ、弘弥の作品読んでるんだ?」

「……はい」

「ファンなの?」

「……はい」

「……ふーん」

 碧純の目が細くなる。

(あぁああああああ!!! もう終わりだあああ!!!)

 ◆ ◆ ◆

 そして、ことねが小さく言った。

「……でも、私、“弘弥くんのこと”が……」

 そのとき――

 \\\ ピピピピピピ!!! ///
 ひよりのノートPCが突然アラーム音を鳴らした。

「“恋愛フラグ立ちました”警報、発動」

「やっぱりこの家、地雷原だわ」

「出直してくる?」

「むしろ、泊まっていく?」

「何その選択肢!?」

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