同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三五四話 「ことね包囲網──VTuber宣言でハーレム爆発の巻」

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 ──放課後、俺の部屋。

「なぁ……なんで全員がリビングに正座してるの……?」

「決まってるでしょ、弘弥くん」

 すみれの声は低い。隣でルナが不機嫌そうにガムを噛みながら頷く。

「“ことね”ちゃんよ。“ことのは ことね”」

「ね、ねぇ……もしかして、また地雷踏んだ感じ?」

「また? “また”なの? 自覚あるんだ?」

 ◆ ◆ ◆

「で、なんで私たち、今ここに集められてると思う?」

「ことねちゃんが、“弘弥のことを先生って呼んだ件”」

「“ご主人様呼び”した件」

「“耳がバカになる声”で男子のファンを釣ってる件」

「“推し活禁止令”をこっそり破ってた件」

「全部俺のせいじゃねぇぇぇぇぇえええ!!!」

 ◆ ◆ ◆

「つか、弘弥、ぶっちゃけ“あの子の声”、好きでしょ?」

「いや……まぁ、否定はしないけど……!」

「自爆したああああああ!!」

「やっぱり好きなんじゃん!!!」
「ほら見ろ!!!」
「観察記録にも記述済み!」

「ひぇぇええええ!!!」

 ◆ ◆ ◆

「でもさぁ、思ったんだよね」

 俺はぼそっとつぶやいた。

「俺も……VTuberになろうかな、って」

 \\\……は?///

 沈黙。
 そして、空気が凍る音が聞こえた気がした。

「今、なんて……?」

「いや……その、VTuberって、個人で表現できる場だし……
 俺、声はそこそこだし、顔出さないし、原稿読んだりできるし……」

「“ぽっぺしか勝たん”ってスパチャしたやつが言うなぁぁあああ!!!」

「爆破します!」
「バ美肉されてネットの海に放流されたら終わりです!」
「弘弥、私がモデリングするって言ったら、やるの!?」

「やめて!? ヒロインたちが“中の人”プロデュースする展開怖いから!!」

 ◆ ◆ ◆

「ねぇ弘弥、どっち取るの?」

 すみれが真正面から聞いてくる。

「“クラスで一緒に過ごす現実ヒロインたち”と、
 “画面越しの推しV”――どっちがいいの?」

「え、選択肢として並べられるの!? それ!?!?」

「弘弥VTuber化案、却下!」

「このままじゃ、“ハーレム実況配信”とか始めそうで怖い」

「“夢精報告ラジオ”とかタイトルになりそう」

「やめて!?!? どんな地獄チャンネルなのそれぇぇぇえええ!!!」

 ◆ ◆ ◆

 最終的に、俺のVTuber計画はヒロインズの総力で潰された。

 そして全員から言われたのは――

「配信はしてもいい。でも、“推しは現実から選びなさい”」

 俺は、小さくうなずいた。

(……俺の人生、常に全方位地雷原)
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