同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三五三話 「様子がおかしい転校生──ヒロインたちの探り合い」

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「なあ、弘弥。……最近、クラスに“様子おかしい女子”いない?」

 昼休みの購買帰り、ルナが唐突にそう言った。

「え、なに、いきなり?」

「いやさ~……なんか、転校生の“ことねちゃん”」

「“妙に声がいい”と思わない?」

 すみれがさらっと言葉を継いだ。

「……それって……?」

「アナウンサーの卵とか?」「いや、配信者とか……」

(やばい……それ以上はいけない……!)

 ◆ ◆ ◆

「あとさ、ことねちゃんって……なんか既視感ない?」

 ルナが眉をひそめる。

「昨日、ことねちゃんが“ご主人様”って言ってたんだよね~」

「“ご主人様”ってさ、VTuberがよく使うワードだよね?」

「私も思った。“トーン”が“それっぽい”のよ。
 語尾の余韻、息の使い方……妙にプロ」

 すみれが鋭い。

(オ、オタクすぎる分析力……!)

 ◆ ◆ ◆

「真壁くんは、どう思う?」

 急に話を振ってきたのは、ひより。

「彼女の声、過去ログに残していい? 個人観察対象に指定したいんだけど」

「やめてええええええええ!!」

「ん? そんなに慌てるってことは、何か“隠してる”ってことだよね?」

 あゆむがジト目で詰め寄ってくる。

「ち、違うって!! 俺はただ! 平和に過ごしたいだけで!!」

「じゃあ、最近“ことのは*ことね”って名前に聞き覚えない?」

「ぎくぅっ!!!?」

 ◆ ◆ ◆

「はーい! 弘弥せんせーい♪」

 そのとき、タイミング最悪で現れたのが――
 当の本人、ことね。

「お昼、ひとり? じゃあ一緒しても……あれ、なんか空気ピリピリしてる?」

「ことねちゃん……弘弥くんと“先生”呼びする関係なんだ?」

 すみれの笑顔が引きつる。

「“せんせー”って、ファンネームじゃないよね?」

 ルナの目が鋭い。

「弘弥くんの書くラノベのキャラ名って、“ことのは”ってなかったっけ?」

 あゆむが過去作を検索し始めた。

「やばい、これもう“地雷踏む祭り”の匂いしかしない」
 俺の背中から冷や汗が止まらなかった。

 ◆ ◆ ◆

 その後、教室に戻っても――

「ねぇ、あの転校生……“ぽっぺちゃんの声”に似てない?」

「いや、それは……気のせい……だと思う……多分……おそらく……」

「弘弥の反応、分かりやすっ」

「推しを、クラスで飼ってるってどんな気分~?」

「飼ってないから!!」

(本当に……平和は、どこへ行ったんだ……)
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