同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三五二話 「正体バレたら即死!?“ことね”がまさかのクラスメイトだった件」

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 ──前夜、俺は人生最大の震えを体験した。
 こっそり新規開拓したVTuber、“ことのは*ことね”。

 その子が――俺のフルネームを呼んだ。
 しかもガチで俺の作品のファンらしい。

「はは……偶然……偶然だよな……? 同姓同名か、偶然に決まってる……!」

 完全にテンパりながら布団に潜り、俺は朝を迎えた。

 そして翌朝、登校。

 静かすぎる朝の教室で、俺の心臓は鳴り響いていた。
 カタカタと指先が震える。冷や汗が背中を伝う。

 そんな中、教室のドアが開いた。

「えー、みんな席についてー。今日から新しい転校生が来るぞー」

 担任・黒沢先生が手帳を開きながら言う。

(あっ……新キャラか……?)

 そして、その次の瞬間――

「転校生、入ってきて」

 ガラリ、とドアが開き、
 教室に入ってきたのは――

「こんにちは……えっと、“ことのは ことね”です。よろしくお願いします」

 \\\ちょっと待てえええええええ!!!!///

 ◆ ◆ ◆

 その瞬間、俺の思考が吹き飛んだ。

(こ、こ、こ、ことね!?!?!?
 “ことのは*ことね”って、名前そのままじゃねえかああああ!!!)

 ふわっとしたツインテール。
 柔らかそうなセーターに、優しげな笑顔。

 でも、でもでもでもっ!

「ど、どっかで見たような……」

 すみれがぽつりとつぶやく。

「ねー、なんかこの子、“声”が妙に聞き覚えあるんだけどー」

 ルナが首を傾げる。

(みんな、気づくな!お願いだから気づくな!!)

「ことねちゃん、好きなことは?」

 黒沢先生の質問に、彼女は笑って答えた。

「読書……と、あと、少しだけ……配信活動とか」

(言ったあああああああああ!!!!)

 ◆ ◆ ◆

 昼休み。
 逃げるように屋上へ。

 俺はフェンスにもたれて、叫んだ。

「嘘だろ……嘘だろ……
 VTuberが! クラスメイト!?!?」

 しかも――あの発言、俺のフルネームを知っていたこと。
 ファンだと明言したこと。
「私をモデルにしてね」なんて……!

「下手すれば、“こっち”の正体までバレてんじゃねえのか!?」

 その時、背後から声がした。

「……先生、逃げてもいいけど――」

「……“推しから逃げられる”とは限らない、よ?」

 振り向くと、そこには――

 昼休みにしてはやけに完璧な笑顔のことのは ことねが、
 俺を見つめて立っていた。

(え……今、“先生”って言ったよな!?)
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