同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三七六話 「ステージ上の大事故──正体バレ寸前の緊急展開」

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 ──イベントホールのステージ。
 照明が当たった瞬間、俺は本気で気を失いそうになっていた。

 前方には満席の観客、カメラ、レポーター、
 そして舞台袖から――ヒロインたちの地雷コスプレ軍団がぞろぞろと登壇しようとしていた。

(やばいやばいやばいやばい!!!)

「それではここで、スペシャルゲスト! 原作者の……M・K・B先生のご登場です!!」

 \\\ キャーーーーッ!!!!! ///

(もう帰りたい)

 ◆ ◆ ◆

 登壇後。
 マイクを持った俺は、司会者のトークに頷きながら、
「はい」「ええ」「たしかに」とテンプレ返答に逃げていた。

 だが――

「では!せっかくなので“原作者先生の創作メモ”を、一部朗読させていただきましょう!」

「はっ?」

「こちら、事前にスタッフがご提供いただいたノートから──
 “ヒロイン構成に関するアイデア”を抜粋しました!」

(誰だよそんなの渡したの!?!?)

 ◆ ◆ ◆

 司会者が読み始める。

「“ギャルはパンツ3枚、委員長は控えめ2枚、妹系は1枚からの増量路線”……?」

 \ザワ……/

「えっ、これ本当に原作者のメモ……?」

「え、パンツ何枚って何!?!?」

「“夢精率上昇キャラ=正妻候補最有力”と書いてありますが……?」

 \\\ 場内騒然 ///

「まてまてまてまて!!!それは公開用じゃないっ!!」

 ◆ ◆ ◆

 ステージ袖から――来た。
 見覚えのある制服、見覚えのある猫耳、見覚えのあるスカート丈のギリギリ具合。

 ヒロインたちが、登壇してきた。全員。

「弘弥~! パンツ枚数査定、今ここで実演してもいい~?」

「“夢精率最有力”って私のことだよね♡?」

「“パンツの質感も重要”って記述あったけど、参考用に持ってきたよ~」

「ステージ上で脱ぐなーーー!!!!!」

 \\\ 地獄、完成。 ///

 ◆ ◆ ◆

 観客、ドン引きと爆笑のあいだ。
 スタッフ、目を逸らす。
 プロデューサー、両手で顔を覆いながら肩を震わせて笑ってる。

「そしてこちらが、原作者先生が実際に使っていた――
 “夢精ネタメモ”でございます!!!」

「それだけはやめてぇぇぇぇ!!!!!」

 ◆ ◆ ◆

 そして、事件は起きた。

 スタッフのひとりが、俺の本名入りのメモ書きを手にして、
 カメラ前にちらりと映してしまったのだ。

 真壁弘弥/夢精回・セリフメモ案

「映った……? これ……映った……?」

 観客の一部が、スマホを構え、何かを囁いている。

「弘弥……?」

「まさか、“弘弥”って、先生の本名……?」

「えっ、えっ!?!? えっ!?!」

(終わったあああああああああ!!!!)

 ◆ ◆ ◆

「ステージを照らすライトの下、
 俺の“正体バレ”寸前の顔が、
 多分、史上最高に青ざめていたと思う」

 だが、そのとき――

「失礼します」

 カツン、カツンとヒール音を響かせて現れたのは、
 氷室プロデューサーだった。

「今のは放送事故として、全カット。編集で全部消します」

「神かッ!!」

 ◆ ◆ ◆

 イベントは、拍手と混乱の中、無事(?)終了。

 控室に戻った俺は、力尽きて崩れ落ちた。

「……死ぬかと思った……」

「でも、盛り上がってたよ?“正体不明の童貞原作者”ってバズってる♡」

「消してええええええええ!!!!」
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