同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四〇六話 「ヒロインたち、色仕掛けに大激怒──VTuberも中継参戦」

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 ──放課後。

 俺は駅前のカフェで、神名寺いおり先生と次回のネーム打ち合わせをしていた。

「このシーンは……もうちょっと、布団のシワを丁寧に描くと“動き”が伝わるの」

「う、動きってなんですか!? なんの!?」

「夢精に至る“物語の動き”よ? 弘弥先生、そんなことも分からないの?」

 あいかわらずの距離感。
 というか、距離ゼロ。
 さっきから、俺の膝に乗せたタブレット越しに、先生の太ももが完全に接触している。

(これもう耐えられない……心臓が先に限界来る……)

「……弘弥」

 背後から、冷たい声が降ってきた。

 ◆ ◆ ◆

 振り返ると、そこには――

 すみれ、碧純、ルナ、ひより、りあ、ことね。
 そして、なぜか全員制服姿のまま。

「えっ、みんな!? ど、どうしてここに!?」

「GPSと空間認識能力と偶然の産物です♡」とルナが軽くウィンクする。

「……弘弥くん、距離が……近すぎます」

 すみれの表情が怖い。笑ってるけど、目が笑ってない。

 碧純は俺の横に回り込むと、いおり先生をジト目で見つめた。

「弘弥は……“そういうの”に弱いんだから。
 いろいろ……こじらせて育ってきたんだから……」

「ど、どういう説明それ!?」

 ◆ ◆ ◆

 ルナは、俺の顔を覗き込むなり、爆笑した。

「やっば! 完全にオスの顔してたよ!? あれは理性ぶっ壊れる3秒前の顔だって!」

「そんな顔してないよ!? してないって言って!!」

「んー……じゃあ、してた証拠、アップするね」

「証拠ってなに!?」

 ◆ ◆ ◆

 そこへ突然、ことねがスマホを取り出し、真剣な顔で言った。

「弘弥くん、これはもはやVTuber活動レベルの危機。
 緊急配信します」

「えっ? 配信って、今!?」

 彼女はスマホを立てて、フレームに全員収めるようにしてライブをスタートした。

 🔴【ことねCh】生配信中!
『夢精作家に近づく謎の色気女を成敗せよ!』

「やばいやばい! コメント欄がすごいことに!」

 コメント例:
『誰だよそのお姉さん!!』
『公式ヒロインじゃなかったの!?』
『ちょっとその人の作品教えて!(検索中)』

 ◆ ◆ ◆

 いおり先生は、コーヒーを啜りながら落ち着いた表情で言った。

「ふふ……可愛いわね。嫉妬してくれるってことは、弘弥先生、ちゃんと愛されてるのね」

「違いますっ! これもう公開処刑ですから!!」

「でも……争われるだけの価値、あるんでしょ? あなた」

「やめてください! そういう風に持ち上げると変な方向に育つから!!」

 ◆ ◆ ◆

 配信は爆速でトレンド入り。

 #夢精作家守護隊
 #色仕掛け反対運動
 #夢精は清らかに

 ことね「私たちは“夢精”を、ただのエロじゃなくて、青春の証として守る! それがファンの誇りです!!」

 弘弥(※当事者)「俺の人生、どこへ向かってんの……」
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