同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
462 / 630

第四五五話「実物資料?届いたブラジャーたち」

しおりを挟む
「……えーっと、これ、マジで?」

 真壁弘弥は、編集部の一室で、目の前に広がる光景に戦慄していた。

 机の上には、色とりどりの――それも、サイズも形も香りも異なる――ブラジャーたちが整然と並んでいた。

「えーと、こちら“白神ルナ提供、香水付き”……こっちは“水無瀬すみれ提供、柔軟剤の香り重視”……で、これは“黒瀬りあ提供、未洗濯。香りそのまま”……」

「未洗濯!?」
 思わず手を引っ込める。

「なにこれ!?なんの試練!?」

 横にいた担当編集の美月が、青ざめた顔で問いかけてきた。

「……これ、資料ってことで……いいのよね?ね? 弘弥先生?」

「資料なわけあるかああああ!!」

 弘弥が机を挟んで全力否定した瞬間、どこからか紙袋が追加で届いた。

『睦月より 黒 シンプル 勝負用』
『小春より クマさん柄 ふわふわ仕様 洗い立て』
『如月より 未記名(封筒に“殿下へ”とだけ書かれている)』

「いや、勝負ってなんだ……なにと戦ってるの睦月!?」
「ていうか殿下宛てって誰だよ、くノ一か!? お前ら本当にくノ一だったのか!?」

 もはや、机の上は“女性用下着展示会”状態である。

「弘弥先生……ぶっちゃけ、どれが一番、来ます?」

 美月が、恐る恐る聞いた。

「俺にその問いを投げるなあああ!」

 思わず天を仰ぎ、叫ぶ。

 が、弘弥は心の中でこう呟いていた。

(俺は今、ブラの海に……溺れている)

 編集部の裏事情
 ――なぜ、こんなことになったのか?

 発端は、あの“支え愛論”のバズだった。
「ブラは恋と同じ。包み込み、支え、整えるもの」
 その一文がSNSで爆発的に拡散され、さらにはメインヒロインの原型が誰か、という“モデル論争”まで起こる始末。

 その中で、ヒロインたちがそれぞれの“実物資料”を提供し始めたのだった。

「私のがモデルだって証明したいの」
「彼の原点は私よ」
「見て、わたしの“ふわふわ”……」

 思い思いの想いが、布とレースに込められ、編集部に送りつけられたのだ。

 そして。

「これ、もし洗濯してないものが混じってたら、ヤバくない?」

「ていうか、香り嗅いで比較しようとしてるの誰よ!? りあちゃんでしょ絶対!!」

 美月が混乱する横で、弘弥はすでに魂がどこかへ飛んでいた。

 静寂の中の一言
「……弘弥先生?」

 編集者・美月が、ためらいがちに聞く。

「はい……?」

「これ、本当に“資料”ですよね……?」

「うん……うん、資料……たぶん……」

「たぶん、って何!?!?」

 バンッ!

 思わず机を叩いた美月の手が、ブラの山を軽く崩す。

 その瞬間、ひときわ目立つレースと刺繍の一着が、ふわりと宙に舞った。

「うおっ、これは……!!」

 思わずキャッチしたその一着。

 ――淡いピンクに、微かに薔薇の香りが残る、少女らしい優しさと、微妙な艶の共存した逸品。

「……こ、これは、誰の……」

「それ、私の」

 不意に、背後から声がした。

 振り返ると、そこには碧純がいた。

「……見たなら、責任、取ってね」

 にっこりと微笑むその顔には、怒気も照れも、愛情も、全部が混ざっていた。

「な、なんの責任!?」

「“ときめき”の、その先よ……」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...