同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【第五五二話】『ドミノ倒し的修羅場──潜んでたヒロインたち大爆発』

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「お、おまえら……なにしてんだああああああ!!!」

 叫んだ瞬間。
 俺の腕の中から、碧純が飛び出した。

「ち、違うの兄! これは、単なるぬくもり調査でっ……!」

 顔を真っ赤にして、手をぶんぶん振っている。

(……いやいやいや、無理がある!!)

 だが俺がツッコむ暇もなく──

「に、兄ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 今度はルナが、布団の山から跳ね起きた。

 ギャル巻きタオル姿で、
 顔面真っ赤、全力ダッシュ。

「なんで私だけ抱き方雑だったんだよぉぉぉぉ!!」

(え、そこ!?)

 ◆

 ドタドタドタ!!

 次に、すみれがそろそろと抱き枕カバーから顔を出した。

「……状況説明を求めます……」

 寝ぼけたような目で、
 しかし明らかに顔が赤い。

(いや、説明も何も!! 俺が知りたいわ!!)

 ◆

「ぴぎゃっ!」

 今度は、ひよりが転がり出た。

 シュバッとノートを取り出し、
「観察対象、混乱フェーズ突入。記録開始」と無表情にメモる。

(やめろぉぉぉぉぉ!!! この黒歴史を未来に残すなぁぁぁぁぁ!!!)

 ◆

 最後に──

「先生ぇぇぇぇぇぇ!!」

 ミレーヌが涙目でダイブしてきた。

 全身ぶどうの香り(なぜか)を漂わせながら、俺にしがみつく。

「わたくし、がんばったのにですの!! 兄様、わたくしのことぎゅってしてくれなかったですの!!」

(知らんがなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)

 ◆

 結果──

 抱き枕だと思っていたものすべてが、
 生身の美少女たちだったことが発覚した。

 しかも、みんな、
 今にも泣きそうだったり、怒りそうだったり、恥ずかしさで爆発寸前だったりする。

 部屋は、
 カオス。
 まごうことなきカオス。

 ◆

「ねぇ兄、説明して?」
 碧純が、ぐいっと顔を近づける。

「なんで兄、私の時だけそんな適当な抱き方だったわけ?」
 ルナが腕組みして睨んでくる。

「感触記録の平均データ、私だけ妙に雑でした。」
 ひよりがノートを突きつける。

「兄様、せめて“もう少し丁寧に扱う”とか、そういう心遣いを……!」
 ミレーヌが涙目で訴える。

「……ぬくもりの優先度、是正要求。」
 すみれは冷静な顔をしているが、明らかに怒ってる。

 ◆

「えええええええええええええ!!!?」

 俺は全力で頭を抱えた。

「だ、だって! 抱き枕だと思ってたんだよ!! みんなが入ってるなんて思わないだろ普通!!」

 必死に弁解するが、
 少女たちの目は冷たい。

 ◆

「でも、兄、すっごい幸せそうだったよね?」

「にへら~って顔してたよ?」

「何回もスリスリしてたよね?」

「放出もすごかったですよ?」

「生理現象、ばっちり記録済みです。」

「し、しんでしまううううううう!!!!」

 ◆

 床に頭を擦り付け、土下座寸前の俺。

 だが、少女たちは見逃さなかった。

 この青春ドタバタ劇の主役が、
 自分たちであることを。

 ◆

「いい?」

 碧純が、
 にっこり笑った。

 怖い。
 すごく怖い。

「今度から──」

「リアルを、もっと大事にしなさい?」

「……はいぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 俺は全力で叫んだ。

 ◆

 その夜。

 抱き枕カバーたちは、
 押し入れの奥深くに封印され──

 代わりに、
 本物のヒロインたちが、俺の隣に雑魚寝することになった。

 ぬくもり。
 体温。
 鼓動。

 すべてが、
 本物だった。

(──これが、リアルか……)

 ぼんやりと考えながら、
 俺は眠りに落ちた。

 まだ、
 ドタバタの続きを知らないままに──。

【続く】
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