同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『君と、納豆と、発酵と。──美少女納豆実験編』

【第五六八話】『納豆味比べ会──この青春、粘ってます!』

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 朝──。

 リビングには、タオルに包まれた“発酵の成果”がずらりと並べられていた。

「いざ、実食タイムだ!!」

 ルナが威勢よく叫ぶが、誰の顔にも不安の色が濃い。

「これ……本当に大丈夫なやつ?」

 すみれが慎重にタッパーの蓋を開けた瞬間、もわっとした納豆の香りが空間を包む。

「うっ、すごい香り……これは本格派ですわね」

 エレノアが鼻を押さえながらも頷いた。

「お兄、これ食べるんだよね……?」
 碧純が不安そうに覗き込む。

「うん……これは……青春の味だから……」

 弘弥は震える手で割り箸を構え、一番手として“すみれ納豆”を一口──

「……うまい! なんだこれ、発酵の奥に温もりが……!」

「でしょ!? 私、発酵温度と湿度、完璧に管理したから!」

 すみれがどや顔を決める。

 続いてルナの納豆を試す。

「これは……香ばしさと暴力の香り……!」

「だって私、寝るときぐるぐる巻きになって抱えてたもん。汗ドバドバで!」

「その情報いらなかった!!」

 ミレーヌの納豆は──

「うまいけど、なんかこう……貴族的というか、気品が……」

「わたくしの体温と格式が染み込んでいますの」

「格式の染み込んだ納豆って何!?」

 そしてひよりの納豆を食べようとした瞬間、

「注意。わたくしの納豆は、通常の2倍の粘度と1.5倍の臭気を確認しております」

「データでビビらせるなよ!!」

 しかし、恐る恐る口にすると、

「これは……攻めた味! でも嫌いじゃない!」

「やった……青春が認知された」

 最後に碧純の納豆を口にした瞬間──

「これ……めっちゃ優しい味する……」

「……っ、嬉しい。お兄が、食べてくれたってだけで……わたし、十分だよ……」

 ヒロインたちはそれぞれ、自分の納豆の評価を待っていた。

 弘弥は、ぽつりと口にした。

「美少女のぬくもりが……旨味になってる……」

 瞬間、ヒロイン全員のツッコミが飛ぶ。

「「その言い方やめろ!!!」」

 納豆は粘っていた。

 青春も、きっとそれくらい、粘っていい。

(つづく)







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