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第2章 『清洲の乱舞──わし、モテ期来たかもしれん』
第十七話『利家、恋に落ちる!?』
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昼下がりの清洲城、陽ざしが優しく差し込む廊下。
日吉丸は、いつもより落ち着かない様子の利家に首をかしげていた。
「なあ、利家。さっきからうろちょろして、どうしたんや?」
「う、うるせぇな! ……ちょっと、こう、なあ……考え事や」
「おまえが“考え事”て、天変地異の前触れやないか?」
「ぶっ飛ばすぞ」
やれやれとため息をつきながら、利家はちらっと向こうの回廊を見た。
そこには、ふたりの女中が洗濯物を干している。そのうちのひとり、色白で面差しの整った娘が、ふと風に袖を押さえながら笑った。
「……あの子や」
「ん?」
「……あの、女中の子。小梅って名前らしい」
「あ~、新しく来た子やな。えらい綺麗な顔しとるけど……まさか」
利家はうつむきながら、耳まで赤くなっていた。
「……惚れた」
「ぶふっ!?」
日吉丸は盛大に吹き出した。
「え、え、あの利家が!? 乙女やん!? 顔真っ赤やん!? おしのがわしの弁当くれたときより赤いやん!」
「うるせぇっ! 黙れ!! ……でも、どうしてええかわからんのや。そういうの、わし、からきしやで……」
「……よし、まかせとき」
日吉丸はにやりと笑った。
「天下人になる男の恋愛指南、見せたるがね!」
こうして日吉丸は、利家の恋のキューピッドを買って出た。
■作戦その一:偶然の遭遇
「そこの水桶、よいしょっと……あ」
「あら、利家さま。ありがとうございます」
「い、いえっ! 重たそうやったで、つい……」
見事な流れ。
■作戦その二:さりげない褒め言葉
「洗濯物、よう乾いてますな」
「そう言っていただけると、うれしいです」
日吉丸の影のナビゲートが効き、利家の言葉もだんだん自然になっていく。
──だが、その夜。
湯殿にて、日吉丸が小梅に話しかけていたときのこと。
「日吉丸さまも、お優しいですね」
「はは……利家が気にしとるの、あんたやて……いや、これは内緒やけど」
「ふふ。では、その優しさのお礼に……」
──滑った。
足元の桶につまずいた小梅が、日吉丸の胸元に倒れ込んでくる。
「──ひゃあっ!」
「わぁっ!? ……お、おおおい、小梅ぇぇぇっ!!」
ずるり。
胸元に押し当てられた柔らかさと、髪の香り。
お湯の中、日吉丸はほとんど溺れかけた。
「こ、これは事故やっ、事故やて!!」
と、そのとき戸の向こうから、ドスのきいた声。
「──“事故”言うたか」
「ね、ねねぇぇぇぇ!? なんでそこにぃぃぃ!?」
「ふーん、ほんなら利家の恋、応援しとるんちゃうかったん?」
「ま、待て! わし、ほんまに無実やて!!」
──結局、その後数日、日吉丸はねねから“無言の圧力”を受け続けることになる。
一方、利家の恋は……?
「おまえ、なんで女湯で事故ってんだよ」
「わしも聞きたいがね!」
だが、そのときふたりは知らなかった。
小梅が、その一件で日吉丸にもちょっとだけ“心を寄せていた”ことを──。
日吉丸は、いつもより落ち着かない様子の利家に首をかしげていた。
「なあ、利家。さっきからうろちょろして、どうしたんや?」
「う、うるせぇな! ……ちょっと、こう、なあ……考え事や」
「おまえが“考え事”て、天変地異の前触れやないか?」
「ぶっ飛ばすぞ」
やれやれとため息をつきながら、利家はちらっと向こうの回廊を見た。
そこには、ふたりの女中が洗濯物を干している。そのうちのひとり、色白で面差しの整った娘が、ふと風に袖を押さえながら笑った。
「……あの子や」
「ん?」
「……あの、女中の子。小梅って名前らしい」
「あ~、新しく来た子やな。えらい綺麗な顔しとるけど……まさか」
利家はうつむきながら、耳まで赤くなっていた。
「……惚れた」
「ぶふっ!?」
日吉丸は盛大に吹き出した。
「え、え、あの利家が!? 乙女やん!? 顔真っ赤やん!? おしのがわしの弁当くれたときより赤いやん!」
「うるせぇっ! 黙れ!! ……でも、どうしてええかわからんのや。そういうの、わし、からきしやで……」
「……よし、まかせとき」
日吉丸はにやりと笑った。
「天下人になる男の恋愛指南、見せたるがね!」
こうして日吉丸は、利家の恋のキューピッドを買って出た。
■作戦その一:偶然の遭遇
「そこの水桶、よいしょっと……あ」
「あら、利家さま。ありがとうございます」
「い、いえっ! 重たそうやったで、つい……」
見事な流れ。
■作戦その二:さりげない褒め言葉
「洗濯物、よう乾いてますな」
「そう言っていただけると、うれしいです」
日吉丸の影のナビゲートが効き、利家の言葉もだんだん自然になっていく。
──だが、その夜。
湯殿にて、日吉丸が小梅に話しかけていたときのこと。
「日吉丸さまも、お優しいですね」
「はは……利家が気にしとるの、あんたやて……いや、これは内緒やけど」
「ふふ。では、その優しさのお礼に……」
──滑った。
足元の桶につまずいた小梅が、日吉丸の胸元に倒れ込んでくる。
「──ひゃあっ!」
「わぁっ!? ……お、おおおい、小梅ぇぇぇっ!!」
ずるり。
胸元に押し当てられた柔らかさと、髪の香り。
お湯の中、日吉丸はほとんど溺れかけた。
「こ、これは事故やっ、事故やて!!」
と、そのとき戸の向こうから、ドスのきいた声。
「──“事故”言うたか」
「ね、ねねぇぇぇぇ!? なんでそこにぃぃぃ!?」
「ふーん、ほんなら利家の恋、応援しとるんちゃうかったん?」
「ま、待て! わし、ほんまに無実やて!!」
──結局、その後数日、日吉丸はねねから“無言の圧力”を受け続けることになる。
一方、利家の恋は……?
「おまえ、なんで女湯で事故ってんだよ」
「わしも聞きたいがね!」
だが、そのときふたりは知らなかった。
小梅が、その一件で日吉丸にもちょっとだけ“心を寄せていた”ことを──。
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