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本能寺から始める常陸之介寛浩

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6月/初夏/修学旅行 in 鴨川沿い/夜、カップルが等間隔に座っている土手

サイコパス風 「この並び、数えたら9組。私たちが“10”ね。わたしの中では、もう殺し文句、用意済み」

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 タイトル:『この並び、数えたら9組。私たちが“10”ね。わたしの中では、もう殺し文句、用意済み』

 🎧一人芝居台本(シチュエーションボイス向け)/心理不安系・サイコパス風女子

【舞台背景・情景設定】
 6月、修学旅行最終夜。
 場所は京都、鴨川沿いの土手。
 夜の帳が下りる頃、土手には“等間隔に座るカップル”が、ちょうど9組。
 ──そこに並んだ10組目が、あなたと「彼女」。
 川のせせらぎ、街灯のまばらな光。
 空は曇りがち、でも時折覗く月が土手の輪郭を静かに浮かび上がらせる。
 あたりの空気はどこか甘く、それでいて、妙に冷たい。
 あなたの隣に座るのは、微笑みながら数を数えていた少女──彼女の囁きから、物語が始まる。

(※ここから台本)

 ねえ、静かにして。
 いいから、ほら……目、つぶって。
 聞こえる? 
 鴨川の音。
 ……ちがう、そこじゃない。
 もっと奥。もっと、深いとこ。

 ……ほら。
 今、ひとつ、息をのんだ音。
 さっきキスしてた二人。
 彼、目をそらしたの。
 あの子の涙に気づいてないんだよ、バレバレ。

(間)

 ……ふふっ。
 この並び、数えたら9組。
 私たちが“10”ね。
 ちょうどいい数字。
 完璧な“輪”。
 円環の終端。

 ──わたしの中では、もう、殺し文句、用意済み。

(風が吹く)

 ……冗談。
 じゃないよ?

 だって、今夜が最後なんでしょ。
 修学旅行の夜って、特別だって、誰が言ったんだっけ?
 “特別”って、“終わりがある”ってことだよね。
 じゃあその最後の夜に、私が選んだ言葉を、あんたの鼓膜に焼きつけてやるのは──
 間違ってないでしょ?

(少し間)

 ……さっきから、チラチラ見てるよね。
 他のカップル。
 あーしろ、こーしろって、参考にしてんの?
 可愛いね。
 でもさ──

 私たち、そんなふうにならないよ?

(微笑み混じり)

 むしろ、
 なれないように、してるの。

 ねえ、あんたってさ、
 “自分が優しい”と思ってるでしょ?
 人を傷つけたくないって、思ってるでしょ?
 でもそれって、ただの逃げだよ。

 本当に優しい人ってのは、
 誰か一人を、確実に選んで、
 その分だけ、他の誰かを殺せるやつ。

(小さく笑う)

 ──心の中で、ね?

(間)

 わたしさ、今日の班行動で、ちょっとだけ試したの。
 他の女の子の名前、わざと出してみたり、
 ちょっと無視したり、あえて話しかけなかったり──

 ね?気づいてたでしょ?
 あんた、笑ってごまかしてたけど、
 目が、泳いでた。

 うんうん、そう、それでいいの。
 その反応が、欲しかったの。
 だってさ、
 人の“ほんとの気持ち”って、
【傷つけたあと】にしか出てこないじゃん。

(間)

 ……なんで黙るの?
 怖い?
 怖がってる?
 ねぇ、
 怖がってよ。

 私ね、
 そういう顔が、
 一番好きなの。
 “自分が試されてる”って気づいた瞬間の顔。
 ──たまんないよね。

(風。遠くで笑い声)

 ああ、あのペア、もう手つないだ。
 やっぱりあの子、積極的だなあ。
 でも、あれ、嘘だよ。
 あの子、今日の昼、別の男子とLINEしてたもん。
 見たよ、スクショまである。

(スマホの画面を見せるような間)

 ……見せないけどね。

(笑う)

 こうやって人って、
 どんどん裏切っていくんだよ。
 善意とか友情とか、恋愛とか──
 ほんとは、全部仮面なのに。

 だから、
 あたしは、
 自分の言葉で、“最後の夜”を終わらせるの。

 ねえ、
 あんた、
 あたしのこと、
 好きなの?

(間)

 黙るなって言ってんの。
 どうせさ、
「嫌いじゃない」とか「いい子だと思う」とか、
 そういう“当たり障りのない優しさ”を並べるんでしょ?

 ──だったら、
 今ここで、あたしのこと、刺してよ。

(微笑)

 言葉で、
 はっきりと、
 ナイフみたいに。

「好きじゃない」って。

(長めの間)

 ……言えないでしょ。
 ねえ、
 どうして、言えないの?

 あたしが、
 “怖い女”だから?
 “面倒な奴”だから?
 “おかしい子”だから?

 ──ふふ。
 全部当たり。
 でもね、それでも、
 あんたの隣にいられるなら、
 あたし、狂ってるほうが楽なの。

(沈黙)

 だからさ、
 今夜、ここで決めよう。
 あたしの言葉を、
 あんたの心に、残すかどうか。

 “鴨川の10組目”として、
 **“一番不幸そうで、一番濃密だったペア”**として、
 伝説にしてやろうよ。

 ねえ──
 “殺し文句”、聞きたい?

(目を見つめる間)

 ──「わたし以外、殺してもいいから。あんたの最期の涙だけ、わたしの胸で流して」。

 ……ね?
 すごいでしょ?
 ちゃんと用意してたの。

(少し微笑み、風に吹かれる)

 ──冗談、だよ。
 ……たぶんね?

(立ち上がる足音)

 さて、帰ろっか。
 クラスに戻る前に、
 “私たちが付き合ってる”ってこと、
 誰かに言いふらしとくね。

 止めたいなら──
 抱きしめてみたら?

(去っていく足音。
 沈黙。鴨川の流れだけが、残る)
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