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『初任務は王都護送!? 天才令嬢と絶対バレてはいけない“秘密の積荷”』
第21話『王都目前、森の盗賊団と交戦!』
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王都までは、あと半日の道のり。
深い森を抜け、見張り塔が立ち並ぶ街道が近づいたそのとき──
一行の進路を、何者かが塞いだ。
「止まってもらおうか。……エトワール家のお嬢さんよ」
森の木陰から現れたのは、
黒ずくめの服に身を包んだ男たち──十数名。
鋭い短剣を持ち、顔には布を巻いた盗賊たち。
「やはり、出たか……!」
ミレーユが、ゆっくりと馬車から降りる。
表情はいつものように冷静……だが、その瞳だけが鋭く光っていた。
「お嬢様は預かっていく。王都まで無事に届けるには、貴族の“人質”が必要でな」
「……誰が、お前たちのような下郎に屈するものですか」
「お前ら、ここで道を引け」
リリアがすでに剣を抜いて、低く構える。
「こっちは“ドリームバースト勇者”がいるのよ」
「やめろそのあだ名はやめろぉぉおおお!!」
流星が涙目で叫ぶが、戦闘の空気はすでに張り詰めていた。
◆ ◆ ◆
「来るぞ、散開!」
アリシアが素早く魔法陣を展開。
彼女の周囲に淡く光の盾が展開し、全員を包むように広がった。
「流星、正面の3体をお願い。リリア、左側を牽制して!」
「了解! 突っ込むぜ!!」
剣が閃き、流星が真正面に切り込む。
盗賊の短剣が振り下ろされる瞬間──
キンッ!!
「──悪いが俺、斬られるより斬る方が得意なんでな」
すかさず一閃。
盗賊が吹き飛ぶ。
リリアも森の木立を滑るように動き、数人を相手に斬撃の雨を浴びせる。
「甘い……その構えじゃ、肘から落ちるわよ」
刹那、剣が一閃。敵の腕から刃が弾け飛ぶ。
「……舐めるなよ、凡人どもが」
そのとき。
馬車の上に立つミレーユが、両手に魔力を込め始めていた。
淡い紫色の輝きが、杖の先からほとばしる。
「“エトワール家”の名において命じる──」
「──燃え尽きるがよい、下郎共!!!」
轟ッ!!
魔法陣が五重に展開され、上空から巨大な火の槍が降り注ぐ。
森を焦がすほどの熱量。盗賊たちは次々に逃げ惑い、魔力の波に飲み込まれていく。
「ひ……ひいいいぃぃ!! 魔女だあぁぁぁ!!」
「撤退だ撤退!!」
「誰だよあんなガキ護送中とか言ったの!! 騙されたぁ!!」
森に悲鳴がこだまし、盗賊たちは次々と散っていった。
◆ ◆ ◆
「……終わった、か」
焔の残滓の中で、流星が剣を収める。
リリアが横に並び、汗を拭った。
「ミレーユ、あんた……けっこうな火力じゃない」
「“けっこう”とか言うのやめなさい。
今のは、魔力温存してたから五割程度よ」
「おっかねぇなおい……」
流星が本音を漏らすと、アリシアがにやりと笑った。
「でも、ちょっと見直したでしょ?」
「うん。……戦闘中はマジで頼りになる」
「戦闘中“は”?」
「やかましい! 朝のあれは事故だって言ってるだろうがぁぁあ!」
三人に責められながら、流星は一人のどかに笑った。
王都はすぐそこ。
だが、戦いもトラブルも──きっとまだまだ続く。
深い森を抜け、見張り塔が立ち並ぶ街道が近づいたそのとき──
一行の進路を、何者かが塞いだ。
「止まってもらおうか。……エトワール家のお嬢さんよ」
森の木陰から現れたのは、
黒ずくめの服に身を包んだ男たち──十数名。
鋭い短剣を持ち、顔には布を巻いた盗賊たち。
「やはり、出たか……!」
ミレーユが、ゆっくりと馬車から降りる。
表情はいつものように冷静……だが、その瞳だけが鋭く光っていた。
「お嬢様は預かっていく。王都まで無事に届けるには、貴族の“人質”が必要でな」
「……誰が、お前たちのような下郎に屈するものですか」
「お前ら、ここで道を引け」
リリアがすでに剣を抜いて、低く構える。
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「やめろそのあだ名はやめろぉぉおおお!!」
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「来るぞ、散開!」
アリシアが素早く魔法陣を展開。
彼女の周囲に淡く光の盾が展開し、全員を包むように広がった。
「流星、正面の3体をお願い。リリア、左側を牽制して!」
「了解! 突っ込むぜ!!」
剣が閃き、流星が真正面に切り込む。
盗賊の短剣が振り下ろされる瞬間──
キンッ!!
「──悪いが俺、斬られるより斬る方が得意なんでな」
すかさず一閃。
盗賊が吹き飛ぶ。
リリアも森の木立を滑るように動き、数人を相手に斬撃の雨を浴びせる。
「甘い……その構えじゃ、肘から落ちるわよ」
刹那、剣が一閃。敵の腕から刃が弾け飛ぶ。
「……舐めるなよ、凡人どもが」
そのとき。
馬車の上に立つミレーユが、両手に魔力を込め始めていた。
淡い紫色の輝きが、杖の先からほとばしる。
「“エトワール家”の名において命じる──」
「──燃え尽きるがよい、下郎共!!!」
轟ッ!!
魔法陣が五重に展開され、上空から巨大な火の槍が降り注ぐ。
森を焦がすほどの熱量。盗賊たちは次々に逃げ惑い、魔力の波に飲み込まれていく。
「ひ……ひいいいぃぃ!! 魔女だあぁぁぁ!!」
「撤退だ撤退!!」
「誰だよあんなガキ護送中とか言ったの!! 騙されたぁ!!」
森に悲鳴がこだまし、盗賊たちは次々と散っていった。
◆ ◆ ◆
「……終わった、か」
焔の残滓の中で、流星が剣を収める。
リリアが横に並び、汗を拭った。
「ミレーユ、あんた……けっこうな火力じゃない」
「“けっこう”とか言うのやめなさい。
今のは、魔力温存してたから五割程度よ」
「おっかねぇなおい……」
流星が本音を漏らすと、アリシアがにやりと笑った。
「でも、ちょっと見直したでしょ?」
「うん。……戦闘中はマジで頼りになる」
「戦闘中“は”?」
「やかましい! 朝のあれは事故だって言ってるだろうがぁぁあ!」
三人に責められながら、流星は一人のどかに笑った。
王都はすぐそこ。
だが、戦いもトラブルも──きっとまだまだ続く。
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