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【神の名を騙る島──南海の隠された禁風俗と、神官戦争編】
第75話『調査潜入!神殿女官とサウナ密着コース』
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「──この格好、本当に効果あるの?」
「あるに決まってるでしょ。神殿の女官は神聖さと魅力が同居しているの。つまり“エロ可愛くて真面目”が正解よ」
南海の孤島アナナス。その中枢に位置する《神託の大殿》へと潜入するため、アリシアとミレーユは“神殿女官”に変装していた。
露出度の高い神官服。布地は薄く、胸元から脇、太ももまで大胆に露わ。
普段なら絶対に着ないであろう装いに、アリシアは顔を赤らめている。
「こ、こんな恰好で……まさか神殿に正面から入るなんて……!」
「“神の導き”を体現するためには、見た目も必要なのです!」
ミレーユはノリノリだった。
普段の王族然とした厳格さを忘れたかのように、腰に花飾りまで差し込み、まるでリゾートのアイドルのような仕上がりになっている。
二人は練習した通りに胸に手を当て、神妙な顔で神殿正門へと歩いていった。
その奥──
「ん~~~っ、気持ちいい……」
問題の主人公はというと、すでに“罠”のど真ん中にいた。
薄明かりのサウナルーム。蒸気が立ち上り、鼻孔をくすぐるのはラベンダーの香。
そして流星の背中には、柔らかく、しっとりとした手が丁寧に這っていた。
「ここ……お疲れですね。少し力を入れますね」
「んあっ、そこ、やばっ……!」
泡立てられた石鹸の泡が、ぬるぬると背中から腰、そして肩へと滑り、時折、耳元へ吐息がかかる。
「神様は、日々を生きる者の“疲れ”を洗い流すのが、お好きなのです」
「なんというご都合主義……!」
もはや戦意ゼロである。
そもそも「お試しサウナ体験コース無料」という看板に釣られてついて来てしまった時点で流星の負けは確定していた。
「……このまま、天に召されてもいいかも……」
「ふふ。神の元へ還る準備は、すでに整っているのです──」
そんな危険なことを囁くこの美女。
名を《セリナ》。神殿付の“癒し神官”であり、このサウナで“精神導引”なるものを行っているという。
つまり──“洗体による信仰誘導”である。
「お身体、だいぶほぐれてきましたね。心の方も、ほぐれてきていませんか?」
「ほぐれすぎて、溶けそうです……」
流星の目がトロンとしてきた、その時だった。
「────そこまでよっ!!」
サウナ室の扉が勢いよく開いた。
アリシアとミレーユが、湯気の中から出現した。
女神官服姿のまま、両手を腰に当てて仁王立ち。
「なっ……!? 貴方たち、どうやってここに──!」
セリナが思わず叫ぶ。
「この人を惑わすのはやめなさい! 癒しと洗脳は違うって、いい加減に理解しなさいよ!!」
アリシアが激高するのも無理はない。
彼女にとって、流星が“快楽に呑まれて堕ちる”など、許容できるはずがなかった。
「なにが“神に近づく”よ……この島、最初から全部が“堕落の楽園”じゃない!」
セリナは冷たく微笑んだ。
「違います。これは“救済”です。人々を苦しみから解放する、聖なる奉仕」
ミレーユが歩み出る。
「では、なぜ“外部”にはそれを隠しているのですか? 風俗禁止法という名で、“選択の自由”を奪っているのは、あなたたちでしょう?」
サウナ内の空気が、ぴしりと音を立てて張り詰める。
その中、ようやく正気に戻った流星が立ち上がった。
「……ああ、すっげぇ気持ちよかったけどさ」
裸タオル一枚で、湯気の中に立つ流星は、不思議な威厳を纏っていた。
「けどよ、俺が求めてる風俗ってのは、もっとこう──現実と地続きの、笑って過ごせる場所なんだよ」
「あなたのような煩悩の化身に、信仰の本質が理解できると?」
「……その煩悩で、いくつ事件解決してきたと思ってんだコラ」
ミレーユ、アリシア、そして流星が並んでセリナと対峙する。
──この場で、何かが始まる。
そう予感させる瞬間だった。
「ここで終わらせましょう。“神の名を騙る癒し”なんて、真っ平ごめんだわ」
アリシアの手に、魔法陣が浮かぶ。
「わたしたちの信じる癒しは、あなたたちのそれとは違う!」
「──神殿戦争だな、これは」
サウナ室に、決戦の空気が漂い始めていた──。
「あるに決まってるでしょ。神殿の女官は神聖さと魅力が同居しているの。つまり“エロ可愛くて真面目”が正解よ」
南海の孤島アナナス。その中枢に位置する《神託の大殿》へと潜入するため、アリシアとミレーユは“神殿女官”に変装していた。
露出度の高い神官服。布地は薄く、胸元から脇、太ももまで大胆に露わ。
普段なら絶対に着ないであろう装いに、アリシアは顔を赤らめている。
「こ、こんな恰好で……まさか神殿に正面から入るなんて……!」
「“神の導き”を体現するためには、見た目も必要なのです!」
ミレーユはノリノリだった。
普段の王族然とした厳格さを忘れたかのように、腰に花飾りまで差し込み、まるでリゾートのアイドルのような仕上がりになっている。
二人は練習した通りに胸に手を当て、神妙な顔で神殿正門へと歩いていった。
その奥──
「ん~~~っ、気持ちいい……」
問題の主人公はというと、すでに“罠”のど真ん中にいた。
薄明かりのサウナルーム。蒸気が立ち上り、鼻孔をくすぐるのはラベンダーの香。
そして流星の背中には、柔らかく、しっとりとした手が丁寧に這っていた。
「ここ……お疲れですね。少し力を入れますね」
「んあっ、そこ、やばっ……!」
泡立てられた石鹸の泡が、ぬるぬると背中から腰、そして肩へと滑り、時折、耳元へ吐息がかかる。
「神様は、日々を生きる者の“疲れ”を洗い流すのが、お好きなのです」
「なんというご都合主義……!」
もはや戦意ゼロである。
そもそも「お試しサウナ体験コース無料」という看板に釣られてついて来てしまった時点で流星の負けは確定していた。
「……このまま、天に召されてもいいかも……」
「ふふ。神の元へ還る準備は、すでに整っているのです──」
そんな危険なことを囁くこの美女。
名を《セリナ》。神殿付の“癒し神官”であり、このサウナで“精神導引”なるものを行っているという。
つまり──“洗体による信仰誘導”である。
「お身体、だいぶほぐれてきましたね。心の方も、ほぐれてきていませんか?」
「ほぐれすぎて、溶けそうです……」
流星の目がトロンとしてきた、その時だった。
「────そこまでよっ!!」
サウナ室の扉が勢いよく開いた。
アリシアとミレーユが、湯気の中から出現した。
女神官服姿のまま、両手を腰に当てて仁王立ち。
「なっ……!? 貴方たち、どうやってここに──!」
セリナが思わず叫ぶ。
「この人を惑わすのはやめなさい! 癒しと洗脳は違うって、いい加減に理解しなさいよ!!」
アリシアが激高するのも無理はない。
彼女にとって、流星が“快楽に呑まれて堕ちる”など、許容できるはずがなかった。
「なにが“神に近づく”よ……この島、最初から全部が“堕落の楽園”じゃない!」
セリナは冷たく微笑んだ。
「違います。これは“救済”です。人々を苦しみから解放する、聖なる奉仕」
ミレーユが歩み出る。
「では、なぜ“外部”にはそれを隠しているのですか? 風俗禁止法という名で、“選択の自由”を奪っているのは、あなたたちでしょう?」
サウナ内の空気が、ぴしりと音を立てて張り詰める。
その中、ようやく正気に戻った流星が立ち上がった。
「……ああ、すっげぇ気持ちよかったけどさ」
裸タオル一枚で、湯気の中に立つ流星は、不思議な威厳を纏っていた。
「けどよ、俺が求めてる風俗ってのは、もっとこう──現実と地続きの、笑って過ごせる場所なんだよ」
「あなたのような煩悩の化身に、信仰の本質が理解できると?」
「……その煩悩で、いくつ事件解決してきたと思ってんだコラ」
ミレーユ、アリシア、そして流星が並んでセリナと対峙する。
──この場で、何かが始まる。
そう予感させる瞬間だった。
「ここで終わらせましょう。“神の名を騙る癒し”なんて、真っ平ごめんだわ」
アリシアの手に、魔法陣が浮かぶ。
「わたしたちの信じる癒しは、あなたたちのそれとは違う!」
「──神殿戦争だな、これは」
サウナ室に、決戦の空気が漂い始めていた──。
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