『親王だけど、バレずに萌え活したいだけなのに女子に囲まれてる件』 〜茨城県つくば市で始まる、親王殿下の秋葉原文化潜入ライフ〜

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【第51話】 大阪は広い、けどオタは狭い──ついに見つかる!?

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「……っしゃあぁあ!来たぞ!オタクの自由領域──大阪ッ!!」

 早朝の関西国際空港から電車を乗り継ぎ、主人公・大和武尊は大阪の街に降り立っていた。
 身なりは完璧に地味オタクに擬態。ダボッとしたチェックシャツにアニメのトート、サブバッグにグッズ収納用のスーツケース。
 一般人から見れば「ただのアキバ系観光客」。──だが、その正体は、日本国皇位継承権第三位の親王殿下である。

(茨城を出るときは緊張したが、こっちは天国だ……誰も俺を知らない。オタクとして、ただただ“推し”を追える……!)

 道頓堀を歩けば、粉ものの香りが食欲を刺激し、戎橋を渡れば派手な看板と電飾が視界を埋める。
 ──だが武尊の目は、**一軒のビル地下にある“VTuber公式コラボカフェ”**以外、ほとんど見ていなかった。

 目的はただ一つ。“推し”こと姫月るなと、他VTuberたちのコラボカフェ。

(俺が、ここまで来た意味……魂の布教スポットがこの地にあるのだ!)

 予約していた整理券を受け取り、エレベーターで地下に降りると、武尊の眼前に広がるのは……神の庭だった。

 テーブルにはキャラごとのランチョンマット。壁一面にライブパネル。天井から吊るされる“るな様”の等身バナー。
 キャストボイスが流れる店内に足を踏み入れた瞬間、武尊は深く、深く息を吸った。

「ふぅ……ここが……俺の、世界だ」

 ──この日、武尊は人生最高の“推し充”を成し遂げた。
 限定ドリンク、アクキー、ランチプレート、ブラインド缶バッジ……すべてを、全力で、回収した。

 * * *

 その頃──つくばでは、大変な事態が起きていた。

「……やられた」

 睦月はアパートの天井裏に立ち尽くしていた。護衛のくノ一三人は顔を青ざめさせる。

 如月:「空港のルートを完全に欺かれた……今頃、関西でしょう」

 小春:「も、萌え活のために国家を抜けるって、どんな殿下ですかぁ~……」

 光川が転がり込んでくる。

「大変だ!武尊のTwitterに“例のコラボカフェ”の写真が上がってた!消されたけど、俺は保存した!」

 その一枚──コラボドリンク越しに撮影された推しパネルの写真には、ほんのりと武尊の影が映っていた。

 そして──ことねが、スマホの画面を見つめたままつぶやいた。

「……このアングル、私しか知らない。姫月るなの立ち位置、視線、撮影時の角度。これ、関係者しか見られない配置の写真……」

 VTuber“姫月るな”の中の人、小鳥遊ことね。
 彼女にとっては、あまりに“見覚えのある世界”だった。

 千夏は立ち上がった。

「つーか、それ……あたしが欲しかったやつじゃねぇか!」

 その手には、大阪限定グッズの通販カタログが握られていた。

 イザベラは両手を広げて叫ぶ。

「まぁぁぁたですのね!?我が殿下は……女心を、破壊しますわぁぁぁ!!」

「行くぞ!!」

 ──その号令と共に、ヒロイン全員、大阪追跡旅行編が幕を開けた。

 * * *

 数時間後。道頓堀。

 武尊はコラボカフェの隣にあるポップアップショップで、グッズ購入の整理券を受け取っていた。

 だが、胸騒ぎがした。

(……今、背中に何か……“殺気”のような)

 振り返ると──

「おいコラ貴様ァァ!! その手に持ってるその【アクリルスタンド姫月ver.大阪限定仕様】──それ、あたしが狙ってたやつじゃねぇかぁ!!」

 爆音のような怒声。

 突如現れた鬼爆の千夏。鬼のような形相で、武尊の手元のショッパーを睨んでいた。

「ち、千夏!なぜここに!?俺の行動は、完璧に秘匿したはず……!」

「完璧じゃねぇんだよバカヤロー!てめぇの愛が濃すぎて、漏れてんだよ全部!」

 道頓堀の喧騒を切り裂いて、二人の対決は幕を開けた。

 そこに──

「そのグッズ、私が監修したのよ」

 ことね、登場。

 さらに──

「殿下、お忍び旅には私もお供しますのが王族の務めですわ!」

 イザベラ、舞うように乱入。

 ──そして三人のヒロインに囲まれた主人公・大和武尊は、手に握る姫月るなのアクリルスタンドを見つめながら、震えた声でつぶやく。

「これが……“推し活の代償”……ッ!!」

 大阪・道頓堀。夜のネオンの下、ここに──

 正妻戦争 in OSAKAが、堂々開幕した。
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