『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第125話『超陽キャなのに、どこかズレてる?』

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「ヨロシクゥ☆」

 教壇の前で、
 サバナ・ムトワは
 ダブルピースを決めながらウィンクした。

 眩しかった。

 ギラギラしていた。

 まるで、
 太陽そのものみたいな存在感だった。

「うわぁ……すげぇ……」

「完全にパリピだ……」

 クラスの空気が、
 ざわざわと波打つ。

 男子たちはポカンと口を開け、
 女子たちはヒソヒソ声で囁き合っていた。

(陽キャ……)

(超陽キャ……)

 ハルカは、
 ただただ圧倒されていた。

(エミリとはまた違う……)

(今度はパワーで押してくるタイプ……!!)

 でも。

(……なんか)

(どこかズレてる気がする……)

 そんな直感も、
 ひしひしと感じていた。

 ***

「席は……ハルカたちの後ろだな」

 先生に案内され、
 サバナはハルカたちの後ろの席に決まった。

「イエーイ☆」

「後ろの席サイコー!!」

 ハルカたちに向かって、
 またもやダブルピースをかますサバナ。

(……元気なのはいいんだけどさ)

(テンション高すぎて怖い……)

 ハルカは苦笑しながら、
 ナナとミキに目配せした。

 二人も、微妙な顔で頷き返してくる。

(やっぱり……みんな感じてる……)

(この子、絶対、なんかある……!!)

 そんな空気が、
 教室中にじわじわ広がっていた。

 ***

 午前中の授業中──

 サバナは、思った以上に真面目だった。

 先生の話をちゃんと聞き、
 ノートも取る。

(あれ、意外と普通かも……?)

 ハルカたちは、
 少しだけ安心しかけた。

 ──だが。

 給食の時間。

「なぁなぁ!」

 サバナが、
 元気いっぱいにハルカたちのテーブルに乗り込んできた。

「このミルク、搾りたてじゃないの?」

「えっ?」

 一同、固まる。

「ほら、給食の牛乳!」

「これって、朝、牛から絞ってきたんでしょ?」

「いやいやいやいや!!」

 ミキが全力で否定した。

「そんなわけないでしょ!!」

「パックに詰めて、工場から来てるんだってば!!」

「えっ、マジで!?」

 サバナ、素で驚く。

「だって、うちの村じゃ、朝しぼったやつ、そのままゴクゴクだよ?」

「うちの村」ってサラッと言った。

(やっぱり……!)

(やっぱりこの子、普通じゃないぃぃぃ!!)

 ハルカは、
 心の中でテーブルに突っ伏した。

 ***

 さらに。

「ねぇ、このパン、めっちゃふわふわだね!」

 サバナが、
 嬉しそうにパンをちぎりながら言った。

「うちの村のパン、石みたいに硬いよー!」

「噛み切るのに30分かかるの!」

「どんだけサバイバル!!?」

 ナナが、素でツッコんだ。

「でも、丈夫な歯が育つんだよ☆」

 にこにこ笑うサバナ。

(いや、そういう問題じゃない……)

 ハルカたちは、
 頭を抱えた。

 この子。

 根本的に世界が違う。

(間違いない……)

(またとんでもない異文化爆弾、来たわ……!!)

 ハルカは、
 今日何度目かのため息をついた。

 ***

 そして。

 午後の体育。

 サバナは、
 ありえない運動神経を発揮した。

 50メートル走、
 一人だけ異次元のスピードでゴール。

 ハンドボール投げ、
 男子の記録を軽々超える。

「すげぇ……!」

「野生児だ……!」

 男子たちも、目を丸くしていた。

 サバナは、
 ぜぇぜぇ言いながら言った。

「へへっ、まだ本気出してないけどね☆」

(絶対、本気出したらやばい)

 ハルカたちは、
 震えながら頷き合った。

 ***

「でもでも!」

「わたし、日本に来て超楽しい!」

 体育のあと、
 サバナは爽やかに笑った。

「いろんな文化があって、超オモロー!」

「オモローって久々に聞いたな……」

 ミキがぼそっと呟く。

「これからも、よろしくね☆」

 サバナは、
 ハルカたちに向かってダブルピースを決めた。

(……まあ)

(いい子なんだけどさ)

(……絶対、波乱しかないよね)

 ハルカは、
 遠い目で夕暮れ空を見上げた。

 こうして。

 異文化爆弾・サバナを迎えた日常が、
 またにぎやかに──いや、騒がしく転がり始めた。

(続く)

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