前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第174話:異世界の娼婦館で気まずさMAX!? もう限界だよ、この状況!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
 最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は中世ヨーロッパのペスト大流行中の町中で、腐臭とパニックに耐える地獄を味わった。
 その前は江戸時代の花街で目立ちすぎたし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 半額の「激辛タンドリーチキン弁当」を食っただけじゃなく、美月が「太一ならこれくらい余裕だよね?」って持ってきた手作り激辛カレーコロッケも一緒に食っちまった。
 コンビニの辛さと美月の挑戦的な優しさ(辛さ)が胃の中で暴れてる感じだ。  
 学校から帰って少しテレビ見てたけど、我慢の限界が来た。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 甘い香水の匂いと、妖艶な笑い声が鼻と耳を襲ってきた。
 目の前には異世界の娼婦館、豪華な絨毯と燭台が並ぶ部屋。
 俺の便器は、その娼婦たちが客と戯れる部屋のど真ん中にポツンと出現。  
「うおっ、娼婦館!? 異世界かよ!」  
 周りには露出度の高いドレスを着た女たちが「ねえ、お客人、いらっしゃいよ~」って甘い声で誘ってる。
 エルフっぽい耳の女や、獣耳つけた女が客と絡んでて、部屋は薄暗い燭台の光でムーディーだ。
 絹のカーテンが揺れて、どこかからハープの音が流れてくる。
 異世界らしい豪華さと猥雑さが混ざった雰囲気の中、俺の便器がドーンと鎮座してて、場違いすぎるよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 タンドリーチキンの辛さと美月のカレーコロッケのスパイスが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、娼婦館のど真ん中で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 エルフ女が「あなた、いい筋肉ね~」って客の腕さすってるし、獣耳女が「もっと飲みなよ~」って酒注いでる。
 甘い声と笑い声が頭に響いて、気まずさと羞恥心がヤバいよ!  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、近くの娼婦が「ねえ、何か変な気配しない?」って俺の便器の方をチラッと見る。
 別の客が「確かに、何か臭うな…」って鼻をクンクン動かす。
 見えてないはずなのに、気配と匂いでバレかけてるじゃん!
 俺の心臓がバクバク加速して、腹もゴロゴロが止まらないよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音が部屋に響いた!」  
 ムーディーな静寂の中で音が反響して、娼婦たちが「何!?」って一斉に動き止める。
 エルフ女が「これ、魔法の仕業かしら?」って目を細め、獣耳女が「うわっ、くさっ!」って顔しかめる。
 客の一人が「誰だ、こんなとこで!?」ってキレ気味に立ち上がる。
 見えてないはずなのに、匂いで完全にバレてるじゃん!
 俺の羞恥心と気まずさが限界突破してる中、なんとか次のステップへ。
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 異世界の娼婦館で用を足すとか、俺の人生ハードすぎだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、娼婦たちの視線と甘い声に囲まれるだけで気まずさMAXだった。
 あの妖艶な雰囲気の中で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でもタンドリーチキンとカレーコロッケの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯も美月の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
 安いし美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 娼婦館で生き延びただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの異世界のムードと視線の中でミッションクリアしたんだからさ。  

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