『下血により死んだライトノベル作家・常陸之介寛浩は転生するとフンコロガシになっていた件』》

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第2章『うんちコンテスト!』

第14話『フン力測定器、ぶっ壊れる』

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その朝、うんちが騒いだ。

正確には、うんちではなく――うんちを転がす虫たちが。

そしてその原因は、他でもない。

 

「……ま、またか……! なんで……!?
またフン力測定器が壊れたぞッ!!」

 



 

場所はコンテスト本戦の受付会場。
出場者たちはまず、自分とフン球の“フン力(ふんりょく)値”を測定器に通し、出力レベルと共鳴率を数値化して登録することになっていた。

「まぁ、儀式みたいなもんだよ。大体みんな100~200あれば上出来」

ころりんが隣でそう言ったときだった。

測定官の虫が、ヒロヒロに向かってこう言った。

「――さぁ、次の方、聖糞村代表……ヒロヒロさん。
フン球を測定台に転がして、前脚をセンサーに添えてください」

「は、はいっ。……緊張するなぁ」

ヒロヒロは深呼吸をひとつして、訓練で磨き上げた“ころりんNo.2”をそっと機器の上に転がした。
彼の脚がフンに触れたその瞬間。

 

ガコン! ガッッッ……ピピピピピピピピピ……

 

「あ、あれっ……? 音、変じゃない?」

「……まさか、また……」

 

【表示:F.E.(Fecal Energy)エラー】
【表示:共鳴値=計測不能】
【表示:安全装置作動/測定停止】

 

ブゥゥゥゥゥン……

測定器が、白煙を吹いて停止した。

 

「計測不能!?」「白煙!?」「フンで煙出たぞ!?」「だれか消火フンもってきて!」

「やめて落ち着いて! 消火フンって何!?」

 

ころりんが、血相を変えてヒロヒロに駆け寄る。

「ヒロヒロ、だいじょ――うっ! く、くっさ!! いや、でもこの匂い……記憶のにおいだ……!」

「おれの……うんち、なにが起きてんの!?」

 

測定虫長(モル=センサ)は、口を開ける。
いや、口はないが、音波で語る。

「こ……これは……恐ろしいまでの“感応性”……!
このフン球、生きている他者の感情をそのまま共鳴エネルギー化している……!
まるで、“うんちに憑依している”ような……いや、“物語が宿っている”……!」

「……物語……」

ヒロヒロの中で、ひとつの感覚が腑に落ちた。

「……俺、やっぱり“書いてる”んだ……
うんちって、命の終わりじゃなくて、“続き”だったんだ。
これは、ころりんの命の続きを転がしてる物語なんだよ……!」

 

周囲にいた他の虫たちが、ざわつき出す。

「見ろ、うっすら光ってる……!」

「しかも、嫌な匂いがしない……むしろ“泣きたくなる”匂いだ……」

「共鳴波が、測定不能レベルってことは……“次元越えクラス”じゃ……!?」

 

それを見ていたクサ丸が、ゆっくりと口元(らしき部分)を歪めた。

「――ふん。
数字で測れるものなど、所詮“便の上澄み”にすぎぬ。
だが、おもしろい……
お前のフンには、“物語がある”」

「……クサ丸?」

「次の“転がし部門”……
我が“デスうんちZ”と、貴様の“命フン”――ぶつけあってみるとしよう」

ヒロヒロが、力強く頷く。

「望むところだよ。“命”で勝負だ」

 



 

その日、フン力測定器は修理不能と判断され、予備機を導入するもヒロヒロだけ“また壊す”事態に。
大会審査員は、特例として彼に《F(ふん)ランク:測定不能(光度基準で評価)》の称号を与えた。

観客たちは、この新人にざわつき出す。

 

「もしかして……今年、“金糞玉”……ありえるんじゃ……!?」

「伝説の“記憶フン”……!?」

「フン界に、新時代が来る……!」

 

だがその裏で──
測定官の一人が、誰にも聞こえないよう、つぶやいた。

 

「……まさか、“神の排泄記録”に触れ始めているのか……?」

 

 

──転がし部門、開幕まであと一日。
フンは、すでに転がり始めていた。
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