『下血により死んだライトノベル作家・常陸之介寛浩は転生するとフンコロガシになっていた件』》

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第2章『うんちコンテスト!』

第13話『まさかの“ぬすみ転がし”事件!?』

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──事件は、本番当日の早朝に起きた。

 

「ひ、ヒロヒロ――大変だよッ!!」

ころりんの絶叫で、ヒロヒロはテントから飛び起きた。
寝ぐせの代わりに背中のフン毛が逆立っている。

「え、なに!? まさか……クサ丸が脱臭したとか!?」

「もっとやばいの! 《香気部門》の、クサ丸の勝負フンが消えたの!!」

「……え?」

「盗まれたの……! しかも、残された痕跡が──“転がし跡”なの!」

ヒロヒロの脳裏に、バッドな想像がよぎる。

「まさか……まさか俺、疑われてる……!?」

「……うん……わりとがっつり」

 



 

事件が起きたのは未明。
出場者の専用保管スペース、《糞冷室(ふんれいしつ)》に保管されていた
クサ丸のエントリー球《黒熟魔球・デスうんち》が、忽然と姿を消したのだ。

「そして──現場には“人間系の足跡と転がし跡”が残っていた」

そう語るのは警備虫《ケン・カブト》警部。
見るからにごついカブトムシで、正義感も角も強い。

「ヒロヒロ、お前の足跡と一致する部分がある。
そして、これは未確認情報だが──“君の名前がフンの表面に掘られていた”との証言もある」

「絶ッッッッ対にやってないけど!?」

 



 

一時、ヒロヒロは参考虫として拘留される事態に。

(注:フン界の“拘留”は、干し草の輪っかに包まれて拘束されるだけのわりと快適な環境)

「冤罪だぁぁぁぁぁあああッ!! フン界にも“誤認虫”ってあるんだぁぁあああ!!」

ころりんが、涙目で必死に訴えかける。

「ヒロヒロはね、昨日の夜ずっと“あたしのうんち”に香りのメモ取ってたの!
こっそり嗅いでたの! 嗅ぎすぎてちょっと頭痛くなってたの!! それが証明でしょ!!」

「なんか逆に怪しく聞こえるけどありがとう!!」

 



そして夕方。
警備虫団による調査の結果、新たな手がかりが──

「クサ丸の控室から、“香料粉末”の空き袋が発見された。
しかも……ヒロヒロ君が使っていたものと同じ香りの“ミント系”。
ただし──“ころりん特製の品”とは微妙に成分が違う」

「つまり……ニセモノ!?」

「偽物が、君を犯虫に仕立て上げようとしていた……可能性が高い」

 



そのころ、大会実行委員会は緊急会議を開き、こう宣言した。

「本大会は予定どおり開催する。
だが《香気部門》は審査基準を一時停止、
《転がし部門》における“共鳴発光”による評価を重視とする!」

──
“光るフン”を持つ者が、勝つ。
それが、新たな審判基準。

「ヒロヒロ、これはチャンスだよ……!」

「でも、クサ丸……出場するのかな、あんなことの被害者になって……」

その答えは、会場に響き渡る一声だった。

 

「ふん──“盗まれたから出ない”など、下策。
我が転がしは、どのフンでも“光らせる”。
汝ら、見ているがよい。我が臭気は、もはや物質ではない。概念だ」

 

観客:
「くっさ!!」
「カッコいいのにくさい!!」
「やばい! 尊い!!」

 

ヒロヒロ、額を押さえて叫ぶ。

「なんなんだよあいつッ!! くせぇのに主人公属性持ってんじゃねぇかッ!!」

ころりん:
「……ねぇ、ヒロヒロ。絶対、勝とうね?」

ヒロヒロ:
「……ああ。俺たちは“命で転がす”。誤解も、不安も、全部吹き飛ばすくらい、正しいフンで、光らせてやるよ」

 

──盗まれたフン。冤罪。漂う疑惑。
それでも、フンは転がる。
命と、真実と、プライドを乗せて。

 

光を放つその瞬間まで──あと少し。
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