前世で陰キャ非モテだった俺、異世界転生したら【好感度限界突破】で美少女たちが勝手に惚れてくるんだが!?〜外れスキル扱いされた俺、実は触れただ
常陸之介寛浩📚️書籍・本能寺から始める
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第20話 封印暴走、魔王令嬢を救うために好感度スキルが覚醒する
夜の王都を走るのは、思っていたよりも目立つ。
石畳を蹴る音。
寝静まり始めた通りに響く息遣い。
腰に剣を下げたセリカさんの足音。
フードを押さえながら走るリリアの白い横顔。
俺たちは、宿からギルドへ向かっていた。
頭の奥には、ミュレアの声がまだ残っている。
『……レン』
いつものような余裕はなかった。
人をからかい、運命の男だの未来の伴侶だのと好き勝手に言っていた魔王令嬢の声ではない。
苦しそうで、遠くて、今にも途切れそうな声だった。
俺の視界には、赤い表示が出続けている。
破滅フラグ:ミュレア・ノクターン消滅
原因:密偵残留術式による封印暴走
進行中
対処法:封印術式の再定義、好感度リンクによる存在補助
消滅。
その二文字が、嫌なほど重い。
解放ではない。
逃亡でもない。
暴走でもない。
消滅。
封印の中にいた存在が、封印ごと削られて消える。
それがどれほどの苦痛なのか、俺には分からない。
けれど、分からないからといって放っておけるほど、俺は器用ではなかった。
「レン、足元」
セリカさんの声で、俺ははっとする。
石畳の段差につまずきかけていた。
「あ、すみません」
「考えるのは分かるけど、転んだら迷宮に着く前に終わるわよ」
「はい」
セリカさんは息を乱していない。
さすがだ。
リリアは少し息が上がっているが、それでも足を止めない。
「リリア、無理しないでください」
「今、それを言うのはレンも同じです」
「俺は」
「レンもです」
言い返せなかった。
リリアの声は優しいのに、こういう時は強い。
ギルドの建物が見えてきた。
夜でも、冒険者ギルドの明かりは完全には消えない。
夜間依頼や緊急対応に備えて、入口付近には常に灯りがある。
扉を開けると、中にいた職員が驚いてこちらを見た。
「レンさん? リアさん、セリカさんまで……どうしました?」
「ギルド長はいますか!」
俺が聞くと、職員は表情を変えた。
「奥にいらっしゃいます。緊急ですか?」
「古代迷宮の封印が暴走しています。ミュレアが……封印対象が消えるかもしれません」
職員の顔から血の気が引いた。
「すぐ呼びます!」
彼は奥へ走っていった。
数十秒後、ギルド長ダリウスさんが現れた。
夜だというのに、まだ執務服のままだ。
この人は本当に休んでいるのだろうか。
「レン、何が見えた」
挨拶もなく本題。
ありがたい。
「密偵が残した術式で、古代迷宮の封印が暴走しています。このままだとミュレアが解放されるんじゃなくて、封印ごと魂を削られるみたいです」
ダリウスさんの目が細くなる。
「確度は?」
「表示は緊急警告です。進行猶予は短いと出ています」
「……厄介だな」
ダリウスさんはすぐに職員へ指示を出した。
「オルフェを呼べ。夜間待機の術師も全員だ。ガルムとニルにも声をかけろ。戦闘になる可能性がある」
「はい!」
ギルドが一気に動き始めた。
リリアがダリウスさんを見る。
「私も行きます」
「止めても行くだろう」
「はい」
「なら止めん。ただし無茶はするな」
「分かっています」
セリカさんも一歩前に出る。
「私も同行します」
「お前は前衛だ。レンとリアを守れ」
「言われなくても」
セリカさんは迷いなく答えた。
ダリウスさんは最後に俺を見る。
「レン」
「はい」
「お前の力が必要になる可能性が高い」
「分かっています」
「だが、お前一人で抱えるな。見えるものは全部言え。分からないものは分からないと言え。勝手に判断するな」
まるで、俺がやりそうなことを全部先に塞いでいるようだった。
「……はい」
「返事が一拍遅い」
「すみません」
「遅いということは、何か一人でやる気だったな」
「少しだけ」
ダリウスさんがため息をついた。
セリカさんが俺の後頭部を軽く指で突く。
「ほら」
リリアも静かに言う。
「約束しましたよね」
「しました」
「では、守ってください」
「はい」
俺は両手を上げた。
「今回はちゃんと言います。全部」
リリアはようやく少しだけ表情を緩めた。
セリカさんも頷く。
「ならよし」
数分後、最低限の調査隊が再編成された。
ダリウスさん。
魔法使いのオルフェさん。
大盾のガルムさん。
斥候のニルさん。
そして俺、リリア、セリカさん。
夜の古代迷宮へ向かうには、かなり少ない人数だ。
だが、大人数で動けば準備に時間がかかる。
今回は速度優先だった。
ギルドを出る直前、エマさんが駆け寄ってきた。
「レンさん」
「エマさん」
「これを」
彼女が渡してくれたのは、小さな布袋だった。
「回復用の薬と、灯り石です。迷宮用の備品から持ってきました」
「ありがとうございます」
「どうか、皆さん無事で戻ってください」
その声は震えていた。
昨日まで自分のことで精一杯だったはずの彼女が、今は俺たちを心配してくれている。
俺は頷いた。
「戻ります」
セリカさんが横から言う。
「戻らせるわ」
リリアも頷く。
「必ず」
エマさんは胸の前で手を握った。
俺たちは夜の王都へ飛び出した。
◇
古代迷宮の入口は、昼に見た時よりも不気味だった。
石柱の影が、月明かりで長く伸びている。
地上に開いた黒い階段は、まるで何かの喉のように見えた。
入口に近づいた瞬間、空気が震えた。
耳ではない。
身体の内側が揺れる。
俺の視界が赤く染まる。
古代迷宮封印術式:暴走進行中
深部封印区画:危険度極大
ミュレア・ノクターン存在強度:低下中
推奨:即時介入
存在強度。
低下中。
嫌な表示だ。
「まずいです。かなり進んでます」
俺が言うと、ダリウスさんは短く頷いた。
「走るぞ」
迷宮に入る。
前回通った上層の通路は、紫色の光に染まっていた。
壁の鉱石が不規則に点滅し、床の紋様がひび割れるように光っている。
魔物反応は少ない。
いや、違う。
魔物たちも逃げている。
周辺魔物反応:散開
原因:封印術式暴走による魔力圧上昇
強いものから逃げる。
生き物として当然の反応だ。
だが、俺たちは逆にその中心へ向かっている。
何をやっているのだろう、と思わなくもない。
けれど足は止まらない。
中層へ続く通路に入った時、ミュレアの声が聞こえた。
『……来たか』
弱い。
今にも消えそうな声だった。
「来ました」
『本当に来るとはのう。そなた、馬鹿じゃな』
「よく言われます」
「誰に言われてるのよ」
セリカさんが走りながら突っ込む。
「主に自分に」
「それは言われてるとは言わないわ」
こんな状況でも、セリカさんは突っ込んでくれる。
少しだけ緊張が和らいだ。
ミュレアがかすかに笑う。
『ふふ……賑やかなことじゃ』
「しゃべらなくていいです。消耗するなら」
『妾に命令するとは、たいした男よ』
「今は本気で黙ってください」
『……では、少しだけ黙ろう』
珍しく素直だった。
それが余計に危険な状態だと感じさせた。
円形部屋に着くと、前回回収した偽装封印石の跡が黒く脈打っていた。
そこから伸びる紫の筋が、下層封印扉の方へ流れている。
オルフェさんが青ざめる。
「術式が逆流しています。これは……密偵たちが保険として仕込んでいた破壊術式です」
「保険?」
俺が聞くと、オルフェさんは歯を食いしばった。
「自分たちが捕らえられた場合、証拠ごと封印対象を壊すつもりだったのでしょう。封印石の偽装部分に遅延術式が仕込まれていました」
証拠ごと。
ミュレアごと。
リリアが静かに息を呑んだ。
「そんな……」
セリカさんの声が低くなる。
「本当に、人を何だと思っているの」
ダリウスさんが指示を飛ばす。
「オルフェ、解除できるか」
「時間があれば。しかし、暴走が深部へ流れ込んでいます。この場で止めるには足りません」
俺の表示も同じだった。
現地点での解除成功率:低
深部封印核への介入が必要
必要要素:聖力安定化、外部術式切断、好感度リンクによる存在補助
やっぱり深部へ行くしかない。
行きたくない。
でも、行くしかない。
「深部の封印核に触れないと止まりません」
俺が言うと、ダリウスさんは一瞬だけ目を閉じた。
「……行くぞ。だが、全員ではない。戦闘担当はここで通路を確保する。深部へ行くのは最低人数だ」
「俺は行きます」
「私も行きます」
リリアが即座に言った。
セリカさんも剣を抜く。
「当然、私も」
ダリウスさんは三人を見た。
「お前たち三人は、止めても無理だろうな」
「はい」
「なら行け。俺とガルムは中層を維持する。ニルは退路確認。オルフェは可能な限りここから術式を抑えろ」
オルフェさんが頷く。
「深部へ行くなら、これを」
彼は小さな青い札を三枚渡してくれた。
「一時的な精神干渉防御札です。完全ではありませんが、ないよりはましです」
「ありがとうございます」
札を受け取ると、少しだけ頭が冷える感覚があった。
リリアとセリカさんもそれぞれ札を持つ。
ダリウスさんが最後に言った。
「レン。判断を迷ったら戻れ」
「分かりました」
「いや、お前は戻らない顔をしている」
「そんなに出ていますか」
「出ている」
ギルド長にまで言われた。
セリカさんが俺の肩を軽く叩く。
「大丈夫。戻る判断は私がする」
リリアも言った。
「私も止めます」
「……頼りにしています」
それは本音だった。
三人で、下層への扉を抜ける。
◇
下層は、上層とは別の場所のようだった。
天井が低く、壁は黒い石でできている。
ところどころに鎖のような装飾が埋め込まれ、床には古い血の跡にも似た赤黒い線が走っていた。
魔力が濃い。
空気を吸うだけで肺が重くなる。
リリアがすぐに白い光を広げてくれた。
「少し、楽になりますか」
「はい。助かります」
セリカさんも息を整えながら言う。
「これは長くいたくない場所ね」
「同感です」
進むたびに、ミュレアの声が近づく。
『……レン』
「もう少しです」
『無理をするな、と言ってやりたいところじゃが……妾が言うと笑えるのう』
「笑えません」
『そうか』
声が弱い。
俺は足を速めようとした。
だが、セリカさんが腕で制した。
「焦らない。罠がある」
「え?」
見ると、床の赤黒い線がわずかに動いていた。
表示が遅れて出る。
罠:封印反応式拘束陣
効果:侵入者の魔力を吸収し拘束
解除:聖力による中和、剣気による線切断
「罠です。魔力を吸って拘束します」
「リア」
「はい」
リリアが手をかざし、白い光を床へ流す。
赤黒い線が薄くなる。
セリカさんの剣が、その線を正確に断った。
道が開く。
「ありがとうございます」
「焦ると見落とすわよ」
「はい」
「ミュレアを助けたいのは分かる。でも、あなたが倒れたら終わり」
「……はい」
助けたい。
そう言われて、反射的に否定できなかった。
俺はもう、ミュレアを助けたいと思っているのかもしれない。
危険だと分かっていても。
魔王令嬢だと分かっていても。
封印の奥で弱った声を聞いてしまったから。
その時点で、俺はもう見捨てられなくなっている。
リリアが静かに言った。
「レンは、そういう人です」
「良いことなのか、悪いことなのか分かりません」
「両方だと思います」
正直な答えだった。
「だから、私たちがいます」
その言葉に、セリカさんも頷く。
「危ないところは引っ張って止めるわ」
「物理的にですか」
「必要なら」
「怖いけど頼もしい」
少しだけ笑えた。
そのおかげで、足が動いた。
◇
深部の封印区画は、広い石の間だった。
以前、幻視で見た場所と同じだ。
巨大な魔法陣。
天井から垂れる鎖。
黒紫の結晶。
その中心に、ミュレア・ノクターンがいた。
黒髪。
金色の瞳。
小さな角。
豪奢な黒いドレス。
ただ、以前のような余裕はない。
彼女の身体は半透明に揺らいでいた。
鎖が紫の光を放ち、そのたびにミュレアの存在が薄くなる。
俺の表示が赤く点滅する。
ミュレア・ノクターン
状態:封印暴走、存在強度低下、魂損傷進行
好感度:35 → 42
備考:レンが来たことに安堵しています
破滅フラグ:消滅
安堵。
こんな状況で、それが見えた。
ミュレアは俺たちを見ると、弱々しく笑った。
「……本当に来たか。馬鹿者どもめ」
「第一声がそれですか」
「褒めておる」
「絶対違います」
ミュレアは小さく笑ったが、すぐに苦しそうに顔を歪めた。
鎖が光る。
彼女の輪郭がまた揺らいだ。
リリアが息を呑む。
「ひどい……封印が彼女を削っている」
セリカさんが剣を構える。
「どこを斬ればいい?」
俺の視界に表示が出る。
暴走鎖:外部術式により変質
斬撃可能箇所:三点
注意:全切断で封印崩壊
推奨:一部切断、聖力安定化、好感度リンクで存在補助
「全部斬ったら駄目です。三本のうち、右奥と左手前だけ。中央の鎖は残してください」
「分かった」
セリカさんは迷わない。
リリアには別の表示が出る。
聖力安定化可能箇所:魔法陣外周
注意:対聖女用術式残滓あり
推奨:レンとのリンク補助
「リリアは魔法陣の外周を安定させてください。でも対聖女用の残滓があります。無理ならすぐに」
「分かっています」
リリアは両手を広げた。
白い光が床の魔法陣へ流れていく。
しかし、赤黒い筋がその光を弾こうとする。
リリアの表情が苦しそうに歪んだ。
「リリア!」
「大丈夫です……まだ、できます」
ミュレアが薄く目を開く。
「白き娘……そなた、妾を助けるのか」
「まだ、助けると決めたわけではありません」
「ふふ……レンに似てきたのう」
「それは少し複雑です」
「俺も複雑です」
こんな状況なのに、少しだけ会話が戻る。
でも、時間はない。
表示が進む。
存在強度:低下
猶予:極短
俺はミュレアへ近づいた。
鎖の内側に入ると、身体が重くなる。
まるで水の中を歩いているようだった。
ミュレアが俺を見る。
「来るな。そなたまで巻き込まれるぞ」
「もう来ました」
「本当に馬鹿じゃな」
「よく言われます」
「誰にじゃ」
「今日はたぶん全員に」
ミュレアの金色の瞳が、ほんの少し揺れた。
「……妾は魔王令嬢ぞ。人間から恐れられ、封じられた者じゃ」
「はい」
「助けたところで、礼など言わぬぞ」
「それは困りますね」
「困るのか」
「少しは言ってほしいです」
ミュレアは一瞬ぽかんとした。
そして、苦しそうなのに笑った。
「そなた、本当に変な男じゃ」
「自覚はあります」
俺は彼女の前に膝をついた。
直接触れていいのか分からない。
だが、表示は出ている。
好感度リンク接続可能
対象:ミュレア・ノクターン
条件:対象の同意
注意:対象の記憶・孤独・封印苦痛が流入します
対象の同意。
俺はミュレアを見る。
「ミュレア」
「何じゃ」
「リンクしないと、たぶん助けられません」
「リンク?」
「俺の力で、あなたの存在を繋ぎ止めます。ただ、その……記憶とか感情が流れてくるみたいです」
「妾の内側を見るということか」
「はい」
「不敬じゃな」
「ですよね」
「だが、妾は消えたくない」
初めてだった。
ミュレアが、はっきり弱音を吐いたのは。
「妾は外に出たい。空を見たい。風を感じたい。誰かの所有物ではなく、妾自身として」
その声は震えていた。
「だから、許す」
ミュレアは俺へ手を伸ばした。
「レン。妾を繋ぎ止めよ」
俺は、その手を取った。
瞬間、視界が白く弾けた。
◇
そこは、暗い部屋だった。
石の壁。
高い窓。
外には赤い月。
幼いミュレアが、一人で座っている。
今より少し幼い顔。
黒い髪は短く、金色の瞳はまだ鋭さよりも寂しさが勝っていた。
周囲には誰もいない。
ただ、扉の外から大人たちの声がする。
『魔王家の娘として、弱音を吐くな』
『人間との和平など愚かな夢だ』
『姫は利用価値がある。前線に出すには惜しい』
場面が変わる。
戦場。
人間と魔族が殺し合っている。
ミュレアは叫んでいた。
やめよ、と。
もう十分だ、と。
和平を、と。
しかし、誰も聞かない。
魔族の強硬派は彼女を裏切り、人間側の聖職者は彼女を災厄と呼んだ。
また場面が変わる。
封印の間。
鎖。
魔法陣。
白いローブの者たち。
魔族の影。
ミュレアは一人で立っている。
誇り高く、顔を上げて。
でも、心の奥では叫んでいた。
誰か。
誰か、私を私として見て。
魔王令嬢ではなく。
和平の駒ではなく。
災厄の魔姫ではなく。
私を。
その叫びに、前世の俺の記憶が重なった。
暗い部屋。
誰にも呼ばれないスマホ。
休日の予定が何もないカレンダー。
職場で笑い声の輪に入れず、曖昧に笑うだけの自分。
選ばれなかった記憶。
見られなかった記憶。
必要とされなかった記憶。
同じではない。
俺の孤独と、ミュレアの封印は違う。
苦しみを比べることはできない。
でも。
誰にも、自分自身として見てもらえない痛みなら。
ほんの少しだけ、分かる気がした。
「……ミュレア」
暗闇の中で、俺は彼女の名を呼んだ。
幼いミュレアが振り返る。
「誰じゃ」
「レンです」
「妾を笑いに来たか」
「違います」
「なら哀れみに来たか」
「それも違います」
「では何をしに来た」
俺は少し考えた。
格好いい答えは浮かばなかった。
「迎えに、ではないです。まだ危険なので」
「正直すぎる」
「でも、消えないように繋ぎ止めに来ました」
ミュレアは目を丸くする。
俺は続ける。
「俺はあなたを全部信用しているわけじゃありません。外に出していいのかも分かりません」
「ひどい男じゃ」
「でも、誰かの所有物として消されていいとも思いません」
ミュレアの表情が、少しだけ揺れた。
「私は……」
一人称が、少し変わった。
「妾は、まだ外を見たい」
「はい」
「空を見たい」
「はい」
「誰かに、私を私として呼ばれたい」
俺は頷いた。
「ミュレア」
名前を呼ぶ。
魔王令嬢ではなく。
封印対象ではなく。
災厄でもなく。
ミュレア。
彼女の金色の瞳に、涙のような光が浮かんだ。
「……変な男じゃ」
「よく言われます」
「なら、繋げ。レン」
彼女は手を差し出した。
「妾は、まだ消えぬ」
俺はその手を取った。
◇
現実に戻った瞬間、凄まじい圧が身体にかかった。
「レン!」
リリアの声。
「こっちは持たないわよ!」
セリカさんの声。
見ると、セリカさんは暴走した鎖を二本斬っていた。
リリアは魔法陣の外周に聖力を流し込み、必死に安定させている。
ミュレアの身体は、先ほどより少しだけ輪郭を取り戻していた。
だが、まだ危うい。
好感度リンク:成立
対象:ミュレア・ノクターン
好感度:42 → 78
新機能解放:存在補助
新機能解放:破滅フラグ直接干渉・限定
一気に上がった。
それどころではない。
俺はミュレアの手を握ったまま、叫んだ。
「リリア、外周の白い光を中央へ! セリカさん、中央の鎖は斬らずに、黒い筋だけを切ってください!」
「分かりました!」
「任せなさい!」
リリアの聖力が、魔法陣を包む。
セリカさんの剣が、中央の鎖に絡みついた黒い術式だけを断つ。
俺は好感度リンクを通じて、ミュレアの存在を繋ぎ止めた。
言葉にすると意味が分からない。
でも、感覚としては、ほどけそうな糸を必死に結び直すようだった。
封印の鎖は完全に壊してはいけない。
だが、暴走術式だけは取り除かなければならない。
ミュレアの存在を支えながら、封印を再定義する。
表示が次々に流れる。
封印暴走術式:分離中
ミュレア存在強度:回復
聖力安定化:成功
剣気干渉:成功
好感度リンク:安定
あと少し。
俺は歯を食いしばる。
身体が熱い。
頭の奥が焼けるようだ。
前世の記憶、今世の記憶、ミュレアの孤独、リリアの聖力、セリカさんの剣気。
全部が一瞬、混ざった。
でも、崩れない。
一人ではないから。
俺は叫んだ。
「ミュレア、消えたくないなら自分でも言ってください!」
「何をじゃ!」
「あなたは誰かの所有物じゃないって!」
ミュレアの目が見開かれる。
リリアが息を呑んだ。
それは、かつてリリア自身が言った言葉でもあった。
ミュレアは一瞬だけ黙り、それから金色の瞳を強く輝かせた。
「妾は、ミュレア・ノクターン!」
封印の間に、彼女の声が響いた。
「魔王の血を引く者であり、誰の所有物でもない!」
鎖が悲鳴のような音を立てる。
「妾の名も、力も、運命も――妾のものじゃ!」
最後の黒い術式が砕けた。
紫の光がはじけ、封印の間全体が白と赤と金の光に包まれる。
俺はミュレアの手を握ったまま、衝撃に耐えた。
リリアの聖力が俺たちを包む。
セリカさんの剣気が暴走の余波を斬り払う。
そして、封印の鎖が音を立てて静まった。
沈黙。
長い沈黙だった。
やがて、表示が浮かぶ。
破滅フラグ:ミュレア・ノクターン消滅
回避
封印状態:再定義
対象:力制限付き部分解放
危険度:大幅低下、ただし監視必要
好感度リンク:継続
回避。
その文字を見た瞬間、全身の力が抜けた。
「……終わった?」
セリカさんが息を切らしながら言う。
「消滅は、避けました」
俺が答える。
リリアがその場に膝をつきそうになり、慌てて俺が支えようとする。
だが俺も足に力が入らず、二人で少しよろけた。
「レンこそ、大丈夫ですか」
「たぶん」
「たぶんは大丈夫じゃありません」
「すみません」
セリカさんが近づいてきて、俺とリリアの肩をまとめて支える。
「二人とも座りなさい。今すぐ」
「はい」
「はい」
逆らえなかった。
魔法陣の中央を見る。
ミュレアは、鎖の中に立っていた。
完全に自由になったわけではない。
中央の鎖は残っている。
だが、先ほどのように消えかけてはいない。
半透明だった身体は、はっきり輪郭を持っている。
金色の瞳が、俺を見ていた。
「レン」
「はい」
「妾を助けたな」
「結果的には」
「そこは素直に認めよ」
「……助けました」
ミュレアは、少しだけ笑った。
いつものからかう笑みではない。
もっと静かで、少しだけ不器用な笑みだった。
「礼を言う」
素直な言葉だった。
だから、俺は少し驚いた。
ミュレアは眉をひそめる。
「何じゃ、その顔は」
「素直にお礼を言われると思っていなくて」
「失礼な男じゃな」
「すみません」
ミュレアはふん、と鼻を鳴らした。
だが、その頬が少し赤いように見えたのは、光のせいだろうか。
ミュレア・ノクターン
好感度:78 → 91
状態:安堵、動揺、興味増大
備考:レンに名前を呼ばれ、存在を繋ぎ止められたことを強く意識しています
九十一。
まずい。
これは非常にまずい。
俺が固まっていると、リリアが静かに聞いた。
「レン」
「はい」
「何か見ましたね」
「……見ました」
セリカさんも目を細める。
「ミュレアの好感度?」
「はい」
「いくつ?」
「言わなければ駄目ですか」
「言いなさい」
セリカさんの圧が強い。
リリアも静かにこちらを見ている。
「九十一です」
空気が止まった。
ミュレアが目を瞬かせる。
「九十一とは高いのか?」
リリアが微笑む。
「高いと思います」
セリカさんも言う。
「かなりね」
「ほう」
ミュレアの口元が、ゆっくりと持ち上がる。
「なるほど。妾はどうやら、運命の男を気に入ってしまったらしい」
「その言い方やめてください」
俺は即座に言った。
リリアとセリカさんの視線が痛い。
ミュレアは楽しそうに笑う。
さっきまで消えかけていたのに、もうこの調子だ。
少し安心した。
同時に、先が思いやられた。
その時、封印の間の入口からダリウスさんたちが駆け込んできた。
中層の術式を抑えた後、追ってきたらしい。
ダリウスさんは中央のミュレアを見て、すぐに状況を理解したように顔を険しくする。
「封印は?」
オルフェさんが慌てて魔力計を確認する。
「暴走は停止しています。封印は……再定義されています。完全封印でも完全解放でもない。力を大きく制限した部分解放状態です」
ダリウスさんが俺を見る。
「レン」
「消滅は止めました。ただ、完全には解放していません。危険度も下がっていますが、監視は必要と出ています」
「そうか」
ダリウスさんはミュレアへ視線を向ける。
「ミュレア・ノクターン。こちらの言葉は分かるな」
「当然じゃ、人間の長よ」
「お前の扱いについては、ギルドと王国で協議する。それまで勝手な行動は許さん」
ミュレアは鎖を軽く持ち上げて見せた。
「この状態で勝手に動けと言われても難しいのう」
「口は動くようだがな」
「口を封じられたら退屈で死ぬ」
「死にかけたばかりだろう」
「それを言うでない」
ダリウスさんとミュレアが普通に会話している。
妙な光景だった。
リリアが俺の横で小さく息を吐く。
「ひとまず、助かったのですね」
「はい」
「よかった」
その言葉は、本心からのものだった。
セリカさんも剣を鞘に納める。
「でも、問題はここからね」
「そうですね」
俺はミュレアを見る。
力制限付き部分解放。
好感度九十一。
教会と白灯商会が狙っている存在。
問題しかない。
ミュレアは俺に向かって、いたずらっぽく笑った。
「レン」
「何ですか」
「妾を繋ぎ止めた責任、取ってもらうぞ」
リリアが静かに俺を見る。
セリカさんも静かに俺を見る。
「責任って何ですか」
俺は真顔で聞いた。
ミュレアは楽しそうに答える。
「まずは、妾を退屈させぬことじゃな」
「無理です」
「即答するな」
封印の間に、ほんの少しだけ笑いが戻った。
だが、俺の視界には新しい表示が浮かんでいた。
ミュレア・ノクターン
封印状態:力制限付き部分解放
監視者設定が必要
推奨監視者:レン
俺は見なかったことにしたかった。
しかし、表示は続く。
注意:監視者設定を拒否した場合、封印不安定化リスク上昇
逃げ道がない。
まただ。
また俺の静かな生活が遠ざかっていく。
俺は深く息を吐いた。
「……ギルド長」
「何だ」
「監視者って、断れますか」
ダリウスさんは少しだけ沈黙した。
そして、申し訳なさそうに言った。
「状況による」
それはつまり、ほぼ断れないということだった。
ミュレアが笑う。
「よろしく頼むぞ、妾の運命の男よ」
「だから、その呼び方はやめてください」
リリアとセリカさんが同時にため息をついた。
こうして、魔王令嬢ミュレア・ノクターンの消滅は回避された。
だが同時に、俺たちは新しい問題を抱え込んだ。
封印されたままでもなく、完全に自由でもない魔王令嬢。
その監視者候補に、なぜか俺。
そして好感度は九十一。
俺は心の底から思った。
好感度限界突破というスキルは、たぶん俺の心臓を壊しに来ている。
石畳を蹴る音。
寝静まり始めた通りに響く息遣い。
腰に剣を下げたセリカさんの足音。
フードを押さえながら走るリリアの白い横顔。
俺たちは、宿からギルドへ向かっていた。
頭の奥には、ミュレアの声がまだ残っている。
『……レン』
いつものような余裕はなかった。
人をからかい、運命の男だの未来の伴侶だのと好き勝手に言っていた魔王令嬢の声ではない。
苦しそうで、遠くて、今にも途切れそうな声だった。
俺の視界には、赤い表示が出続けている。
破滅フラグ:ミュレア・ノクターン消滅
原因:密偵残留術式による封印暴走
進行中
対処法:封印術式の再定義、好感度リンクによる存在補助
消滅。
その二文字が、嫌なほど重い。
解放ではない。
逃亡でもない。
暴走でもない。
消滅。
封印の中にいた存在が、封印ごと削られて消える。
それがどれほどの苦痛なのか、俺には分からない。
けれど、分からないからといって放っておけるほど、俺は器用ではなかった。
「レン、足元」
セリカさんの声で、俺ははっとする。
石畳の段差につまずきかけていた。
「あ、すみません」
「考えるのは分かるけど、転んだら迷宮に着く前に終わるわよ」
「はい」
セリカさんは息を乱していない。
さすがだ。
リリアは少し息が上がっているが、それでも足を止めない。
「リリア、無理しないでください」
「今、それを言うのはレンも同じです」
「俺は」
「レンもです」
言い返せなかった。
リリアの声は優しいのに、こういう時は強い。
ギルドの建物が見えてきた。
夜でも、冒険者ギルドの明かりは完全には消えない。
夜間依頼や緊急対応に備えて、入口付近には常に灯りがある。
扉を開けると、中にいた職員が驚いてこちらを見た。
「レンさん? リアさん、セリカさんまで……どうしました?」
「ギルド長はいますか!」
俺が聞くと、職員は表情を変えた。
「奥にいらっしゃいます。緊急ですか?」
「古代迷宮の封印が暴走しています。ミュレアが……封印対象が消えるかもしれません」
職員の顔から血の気が引いた。
「すぐ呼びます!」
彼は奥へ走っていった。
数十秒後、ギルド長ダリウスさんが現れた。
夜だというのに、まだ執務服のままだ。
この人は本当に休んでいるのだろうか。
「レン、何が見えた」
挨拶もなく本題。
ありがたい。
「密偵が残した術式で、古代迷宮の封印が暴走しています。このままだとミュレアが解放されるんじゃなくて、封印ごと魂を削られるみたいです」
ダリウスさんの目が細くなる。
「確度は?」
「表示は緊急警告です。進行猶予は短いと出ています」
「……厄介だな」
ダリウスさんはすぐに職員へ指示を出した。
「オルフェを呼べ。夜間待機の術師も全員だ。ガルムとニルにも声をかけろ。戦闘になる可能性がある」
「はい!」
ギルドが一気に動き始めた。
リリアがダリウスさんを見る。
「私も行きます」
「止めても行くだろう」
「はい」
「なら止めん。ただし無茶はするな」
「分かっています」
セリカさんも一歩前に出る。
「私も同行します」
「お前は前衛だ。レンとリアを守れ」
「言われなくても」
セリカさんは迷いなく答えた。
ダリウスさんは最後に俺を見る。
「レン」
「はい」
「お前の力が必要になる可能性が高い」
「分かっています」
「だが、お前一人で抱えるな。見えるものは全部言え。分からないものは分からないと言え。勝手に判断するな」
まるで、俺がやりそうなことを全部先に塞いでいるようだった。
「……はい」
「返事が一拍遅い」
「すみません」
「遅いということは、何か一人でやる気だったな」
「少しだけ」
ダリウスさんがため息をついた。
セリカさんが俺の後頭部を軽く指で突く。
「ほら」
リリアも静かに言う。
「約束しましたよね」
「しました」
「では、守ってください」
「はい」
俺は両手を上げた。
「今回はちゃんと言います。全部」
リリアはようやく少しだけ表情を緩めた。
セリカさんも頷く。
「ならよし」
数分後、最低限の調査隊が再編成された。
ダリウスさん。
魔法使いのオルフェさん。
大盾のガルムさん。
斥候のニルさん。
そして俺、リリア、セリカさん。
夜の古代迷宮へ向かうには、かなり少ない人数だ。
だが、大人数で動けば準備に時間がかかる。
今回は速度優先だった。
ギルドを出る直前、エマさんが駆け寄ってきた。
「レンさん」
「エマさん」
「これを」
彼女が渡してくれたのは、小さな布袋だった。
「回復用の薬と、灯り石です。迷宮用の備品から持ってきました」
「ありがとうございます」
「どうか、皆さん無事で戻ってください」
その声は震えていた。
昨日まで自分のことで精一杯だったはずの彼女が、今は俺たちを心配してくれている。
俺は頷いた。
「戻ります」
セリカさんが横から言う。
「戻らせるわ」
リリアも頷く。
「必ず」
エマさんは胸の前で手を握った。
俺たちは夜の王都へ飛び出した。
◇
古代迷宮の入口は、昼に見た時よりも不気味だった。
石柱の影が、月明かりで長く伸びている。
地上に開いた黒い階段は、まるで何かの喉のように見えた。
入口に近づいた瞬間、空気が震えた。
耳ではない。
身体の内側が揺れる。
俺の視界が赤く染まる。
古代迷宮封印術式:暴走進行中
深部封印区画:危険度極大
ミュレア・ノクターン存在強度:低下中
推奨:即時介入
存在強度。
低下中。
嫌な表示だ。
「まずいです。かなり進んでます」
俺が言うと、ダリウスさんは短く頷いた。
「走るぞ」
迷宮に入る。
前回通った上層の通路は、紫色の光に染まっていた。
壁の鉱石が不規則に点滅し、床の紋様がひび割れるように光っている。
魔物反応は少ない。
いや、違う。
魔物たちも逃げている。
周辺魔物反応:散開
原因:封印術式暴走による魔力圧上昇
強いものから逃げる。
生き物として当然の反応だ。
だが、俺たちは逆にその中心へ向かっている。
何をやっているのだろう、と思わなくもない。
けれど足は止まらない。
中層へ続く通路に入った時、ミュレアの声が聞こえた。
『……来たか』
弱い。
今にも消えそうな声だった。
「来ました」
『本当に来るとはのう。そなた、馬鹿じゃな』
「よく言われます」
「誰に言われてるのよ」
セリカさんが走りながら突っ込む。
「主に自分に」
「それは言われてるとは言わないわ」
こんな状況でも、セリカさんは突っ込んでくれる。
少しだけ緊張が和らいだ。
ミュレアがかすかに笑う。
『ふふ……賑やかなことじゃ』
「しゃべらなくていいです。消耗するなら」
『妾に命令するとは、たいした男よ』
「今は本気で黙ってください」
『……では、少しだけ黙ろう』
珍しく素直だった。
それが余計に危険な状態だと感じさせた。
円形部屋に着くと、前回回収した偽装封印石の跡が黒く脈打っていた。
そこから伸びる紫の筋が、下層封印扉の方へ流れている。
オルフェさんが青ざめる。
「術式が逆流しています。これは……密偵たちが保険として仕込んでいた破壊術式です」
「保険?」
俺が聞くと、オルフェさんは歯を食いしばった。
「自分たちが捕らえられた場合、証拠ごと封印対象を壊すつもりだったのでしょう。封印石の偽装部分に遅延術式が仕込まれていました」
証拠ごと。
ミュレアごと。
リリアが静かに息を呑んだ。
「そんな……」
セリカさんの声が低くなる。
「本当に、人を何だと思っているの」
ダリウスさんが指示を飛ばす。
「オルフェ、解除できるか」
「時間があれば。しかし、暴走が深部へ流れ込んでいます。この場で止めるには足りません」
俺の表示も同じだった。
現地点での解除成功率:低
深部封印核への介入が必要
必要要素:聖力安定化、外部術式切断、好感度リンクによる存在補助
やっぱり深部へ行くしかない。
行きたくない。
でも、行くしかない。
「深部の封印核に触れないと止まりません」
俺が言うと、ダリウスさんは一瞬だけ目を閉じた。
「……行くぞ。だが、全員ではない。戦闘担当はここで通路を確保する。深部へ行くのは最低人数だ」
「俺は行きます」
「私も行きます」
リリアが即座に言った。
セリカさんも剣を抜く。
「当然、私も」
ダリウスさんは三人を見た。
「お前たち三人は、止めても無理だろうな」
「はい」
「なら行け。俺とガルムは中層を維持する。ニルは退路確認。オルフェは可能な限りここから術式を抑えろ」
オルフェさんが頷く。
「深部へ行くなら、これを」
彼は小さな青い札を三枚渡してくれた。
「一時的な精神干渉防御札です。完全ではありませんが、ないよりはましです」
「ありがとうございます」
札を受け取ると、少しだけ頭が冷える感覚があった。
リリアとセリカさんもそれぞれ札を持つ。
ダリウスさんが最後に言った。
「レン。判断を迷ったら戻れ」
「分かりました」
「いや、お前は戻らない顔をしている」
「そんなに出ていますか」
「出ている」
ギルド長にまで言われた。
セリカさんが俺の肩を軽く叩く。
「大丈夫。戻る判断は私がする」
リリアも言った。
「私も止めます」
「……頼りにしています」
それは本音だった。
三人で、下層への扉を抜ける。
◇
下層は、上層とは別の場所のようだった。
天井が低く、壁は黒い石でできている。
ところどころに鎖のような装飾が埋め込まれ、床には古い血の跡にも似た赤黒い線が走っていた。
魔力が濃い。
空気を吸うだけで肺が重くなる。
リリアがすぐに白い光を広げてくれた。
「少し、楽になりますか」
「はい。助かります」
セリカさんも息を整えながら言う。
「これは長くいたくない場所ね」
「同感です」
進むたびに、ミュレアの声が近づく。
『……レン』
「もう少しです」
『無理をするな、と言ってやりたいところじゃが……妾が言うと笑えるのう』
「笑えません」
『そうか』
声が弱い。
俺は足を速めようとした。
だが、セリカさんが腕で制した。
「焦らない。罠がある」
「え?」
見ると、床の赤黒い線がわずかに動いていた。
表示が遅れて出る。
罠:封印反応式拘束陣
効果:侵入者の魔力を吸収し拘束
解除:聖力による中和、剣気による線切断
「罠です。魔力を吸って拘束します」
「リア」
「はい」
リリアが手をかざし、白い光を床へ流す。
赤黒い線が薄くなる。
セリカさんの剣が、その線を正確に断った。
道が開く。
「ありがとうございます」
「焦ると見落とすわよ」
「はい」
「ミュレアを助けたいのは分かる。でも、あなたが倒れたら終わり」
「……はい」
助けたい。
そう言われて、反射的に否定できなかった。
俺はもう、ミュレアを助けたいと思っているのかもしれない。
危険だと分かっていても。
魔王令嬢だと分かっていても。
封印の奥で弱った声を聞いてしまったから。
その時点で、俺はもう見捨てられなくなっている。
リリアが静かに言った。
「レンは、そういう人です」
「良いことなのか、悪いことなのか分かりません」
「両方だと思います」
正直な答えだった。
「だから、私たちがいます」
その言葉に、セリカさんも頷く。
「危ないところは引っ張って止めるわ」
「物理的にですか」
「必要なら」
「怖いけど頼もしい」
少しだけ笑えた。
そのおかげで、足が動いた。
◇
深部の封印区画は、広い石の間だった。
以前、幻視で見た場所と同じだ。
巨大な魔法陣。
天井から垂れる鎖。
黒紫の結晶。
その中心に、ミュレア・ノクターンがいた。
黒髪。
金色の瞳。
小さな角。
豪奢な黒いドレス。
ただ、以前のような余裕はない。
彼女の身体は半透明に揺らいでいた。
鎖が紫の光を放ち、そのたびにミュレアの存在が薄くなる。
俺の表示が赤く点滅する。
ミュレア・ノクターン
状態:封印暴走、存在強度低下、魂損傷進行
好感度:35 → 42
備考:レンが来たことに安堵しています
破滅フラグ:消滅
安堵。
こんな状況で、それが見えた。
ミュレアは俺たちを見ると、弱々しく笑った。
「……本当に来たか。馬鹿者どもめ」
「第一声がそれですか」
「褒めておる」
「絶対違います」
ミュレアは小さく笑ったが、すぐに苦しそうに顔を歪めた。
鎖が光る。
彼女の輪郭がまた揺らいだ。
リリアが息を呑む。
「ひどい……封印が彼女を削っている」
セリカさんが剣を構える。
「どこを斬ればいい?」
俺の視界に表示が出る。
暴走鎖:外部術式により変質
斬撃可能箇所:三点
注意:全切断で封印崩壊
推奨:一部切断、聖力安定化、好感度リンクで存在補助
「全部斬ったら駄目です。三本のうち、右奥と左手前だけ。中央の鎖は残してください」
「分かった」
セリカさんは迷わない。
リリアには別の表示が出る。
聖力安定化可能箇所:魔法陣外周
注意:対聖女用術式残滓あり
推奨:レンとのリンク補助
「リリアは魔法陣の外周を安定させてください。でも対聖女用の残滓があります。無理ならすぐに」
「分かっています」
リリアは両手を広げた。
白い光が床の魔法陣へ流れていく。
しかし、赤黒い筋がその光を弾こうとする。
リリアの表情が苦しそうに歪んだ。
「リリア!」
「大丈夫です……まだ、できます」
ミュレアが薄く目を開く。
「白き娘……そなた、妾を助けるのか」
「まだ、助けると決めたわけではありません」
「ふふ……レンに似てきたのう」
「それは少し複雑です」
「俺も複雑です」
こんな状況なのに、少しだけ会話が戻る。
でも、時間はない。
表示が進む。
存在強度:低下
猶予:極短
俺はミュレアへ近づいた。
鎖の内側に入ると、身体が重くなる。
まるで水の中を歩いているようだった。
ミュレアが俺を見る。
「来るな。そなたまで巻き込まれるぞ」
「もう来ました」
「本当に馬鹿じゃな」
「よく言われます」
「誰にじゃ」
「今日はたぶん全員に」
ミュレアの金色の瞳が、ほんの少し揺れた。
「……妾は魔王令嬢ぞ。人間から恐れられ、封じられた者じゃ」
「はい」
「助けたところで、礼など言わぬぞ」
「それは困りますね」
「困るのか」
「少しは言ってほしいです」
ミュレアは一瞬ぽかんとした。
そして、苦しそうなのに笑った。
「そなた、本当に変な男じゃ」
「自覚はあります」
俺は彼女の前に膝をついた。
直接触れていいのか分からない。
だが、表示は出ている。
好感度リンク接続可能
対象:ミュレア・ノクターン
条件:対象の同意
注意:対象の記憶・孤独・封印苦痛が流入します
対象の同意。
俺はミュレアを見る。
「ミュレア」
「何じゃ」
「リンクしないと、たぶん助けられません」
「リンク?」
「俺の力で、あなたの存在を繋ぎ止めます。ただ、その……記憶とか感情が流れてくるみたいです」
「妾の内側を見るということか」
「はい」
「不敬じゃな」
「ですよね」
「だが、妾は消えたくない」
初めてだった。
ミュレアが、はっきり弱音を吐いたのは。
「妾は外に出たい。空を見たい。風を感じたい。誰かの所有物ではなく、妾自身として」
その声は震えていた。
「だから、許す」
ミュレアは俺へ手を伸ばした。
「レン。妾を繋ぎ止めよ」
俺は、その手を取った。
瞬間、視界が白く弾けた。
◇
そこは、暗い部屋だった。
石の壁。
高い窓。
外には赤い月。
幼いミュレアが、一人で座っている。
今より少し幼い顔。
黒い髪は短く、金色の瞳はまだ鋭さよりも寂しさが勝っていた。
周囲には誰もいない。
ただ、扉の外から大人たちの声がする。
『魔王家の娘として、弱音を吐くな』
『人間との和平など愚かな夢だ』
『姫は利用価値がある。前線に出すには惜しい』
場面が変わる。
戦場。
人間と魔族が殺し合っている。
ミュレアは叫んでいた。
やめよ、と。
もう十分だ、と。
和平を、と。
しかし、誰も聞かない。
魔族の強硬派は彼女を裏切り、人間側の聖職者は彼女を災厄と呼んだ。
また場面が変わる。
封印の間。
鎖。
魔法陣。
白いローブの者たち。
魔族の影。
ミュレアは一人で立っている。
誇り高く、顔を上げて。
でも、心の奥では叫んでいた。
誰か。
誰か、私を私として見て。
魔王令嬢ではなく。
和平の駒ではなく。
災厄の魔姫ではなく。
私を。
その叫びに、前世の俺の記憶が重なった。
暗い部屋。
誰にも呼ばれないスマホ。
休日の予定が何もないカレンダー。
職場で笑い声の輪に入れず、曖昧に笑うだけの自分。
選ばれなかった記憶。
見られなかった記憶。
必要とされなかった記憶。
同じではない。
俺の孤独と、ミュレアの封印は違う。
苦しみを比べることはできない。
でも。
誰にも、自分自身として見てもらえない痛みなら。
ほんの少しだけ、分かる気がした。
「……ミュレア」
暗闇の中で、俺は彼女の名を呼んだ。
幼いミュレアが振り返る。
「誰じゃ」
「レンです」
「妾を笑いに来たか」
「違います」
「なら哀れみに来たか」
「それも違います」
「では何をしに来た」
俺は少し考えた。
格好いい答えは浮かばなかった。
「迎えに、ではないです。まだ危険なので」
「正直すぎる」
「でも、消えないように繋ぎ止めに来ました」
ミュレアは目を丸くする。
俺は続ける。
「俺はあなたを全部信用しているわけじゃありません。外に出していいのかも分かりません」
「ひどい男じゃ」
「でも、誰かの所有物として消されていいとも思いません」
ミュレアの表情が、少しだけ揺れた。
「私は……」
一人称が、少し変わった。
「妾は、まだ外を見たい」
「はい」
「空を見たい」
「はい」
「誰かに、私を私として呼ばれたい」
俺は頷いた。
「ミュレア」
名前を呼ぶ。
魔王令嬢ではなく。
封印対象ではなく。
災厄でもなく。
ミュレア。
彼女の金色の瞳に、涙のような光が浮かんだ。
「……変な男じゃ」
「よく言われます」
「なら、繋げ。レン」
彼女は手を差し出した。
「妾は、まだ消えぬ」
俺はその手を取った。
◇
現実に戻った瞬間、凄まじい圧が身体にかかった。
「レン!」
リリアの声。
「こっちは持たないわよ!」
セリカさんの声。
見ると、セリカさんは暴走した鎖を二本斬っていた。
リリアは魔法陣の外周に聖力を流し込み、必死に安定させている。
ミュレアの身体は、先ほどより少しだけ輪郭を取り戻していた。
だが、まだ危うい。
好感度リンク:成立
対象:ミュレア・ノクターン
好感度:42 → 78
新機能解放:存在補助
新機能解放:破滅フラグ直接干渉・限定
一気に上がった。
それどころではない。
俺はミュレアの手を握ったまま、叫んだ。
「リリア、外周の白い光を中央へ! セリカさん、中央の鎖は斬らずに、黒い筋だけを切ってください!」
「分かりました!」
「任せなさい!」
リリアの聖力が、魔法陣を包む。
セリカさんの剣が、中央の鎖に絡みついた黒い術式だけを断つ。
俺は好感度リンクを通じて、ミュレアの存在を繋ぎ止めた。
言葉にすると意味が分からない。
でも、感覚としては、ほどけそうな糸を必死に結び直すようだった。
封印の鎖は完全に壊してはいけない。
だが、暴走術式だけは取り除かなければならない。
ミュレアの存在を支えながら、封印を再定義する。
表示が次々に流れる。
封印暴走術式:分離中
ミュレア存在強度:回復
聖力安定化:成功
剣気干渉:成功
好感度リンク:安定
あと少し。
俺は歯を食いしばる。
身体が熱い。
頭の奥が焼けるようだ。
前世の記憶、今世の記憶、ミュレアの孤独、リリアの聖力、セリカさんの剣気。
全部が一瞬、混ざった。
でも、崩れない。
一人ではないから。
俺は叫んだ。
「ミュレア、消えたくないなら自分でも言ってください!」
「何をじゃ!」
「あなたは誰かの所有物じゃないって!」
ミュレアの目が見開かれる。
リリアが息を呑んだ。
それは、かつてリリア自身が言った言葉でもあった。
ミュレアは一瞬だけ黙り、それから金色の瞳を強く輝かせた。
「妾は、ミュレア・ノクターン!」
封印の間に、彼女の声が響いた。
「魔王の血を引く者であり、誰の所有物でもない!」
鎖が悲鳴のような音を立てる。
「妾の名も、力も、運命も――妾のものじゃ!」
最後の黒い術式が砕けた。
紫の光がはじけ、封印の間全体が白と赤と金の光に包まれる。
俺はミュレアの手を握ったまま、衝撃に耐えた。
リリアの聖力が俺たちを包む。
セリカさんの剣気が暴走の余波を斬り払う。
そして、封印の鎖が音を立てて静まった。
沈黙。
長い沈黙だった。
やがて、表示が浮かぶ。
破滅フラグ:ミュレア・ノクターン消滅
回避
封印状態:再定義
対象:力制限付き部分解放
危険度:大幅低下、ただし監視必要
好感度リンク:継続
回避。
その文字を見た瞬間、全身の力が抜けた。
「……終わった?」
セリカさんが息を切らしながら言う。
「消滅は、避けました」
俺が答える。
リリアがその場に膝をつきそうになり、慌てて俺が支えようとする。
だが俺も足に力が入らず、二人で少しよろけた。
「レンこそ、大丈夫ですか」
「たぶん」
「たぶんは大丈夫じゃありません」
「すみません」
セリカさんが近づいてきて、俺とリリアの肩をまとめて支える。
「二人とも座りなさい。今すぐ」
「はい」
「はい」
逆らえなかった。
魔法陣の中央を見る。
ミュレアは、鎖の中に立っていた。
完全に自由になったわけではない。
中央の鎖は残っている。
だが、先ほどのように消えかけてはいない。
半透明だった身体は、はっきり輪郭を持っている。
金色の瞳が、俺を見ていた。
「レン」
「はい」
「妾を助けたな」
「結果的には」
「そこは素直に認めよ」
「……助けました」
ミュレアは、少しだけ笑った。
いつものからかう笑みではない。
もっと静かで、少しだけ不器用な笑みだった。
「礼を言う」
素直な言葉だった。
だから、俺は少し驚いた。
ミュレアは眉をひそめる。
「何じゃ、その顔は」
「素直にお礼を言われると思っていなくて」
「失礼な男じゃな」
「すみません」
ミュレアはふん、と鼻を鳴らした。
だが、その頬が少し赤いように見えたのは、光のせいだろうか。
ミュレア・ノクターン
好感度:78 → 91
状態:安堵、動揺、興味増大
備考:レンに名前を呼ばれ、存在を繋ぎ止められたことを強く意識しています
九十一。
まずい。
これは非常にまずい。
俺が固まっていると、リリアが静かに聞いた。
「レン」
「はい」
「何か見ましたね」
「……見ました」
セリカさんも目を細める。
「ミュレアの好感度?」
「はい」
「いくつ?」
「言わなければ駄目ですか」
「言いなさい」
セリカさんの圧が強い。
リリアも静かにこちらを見ている。
「九十一です」
空気が止まった。
ミュレアが目を瞬かせる。
「九十一とは高いのか?」
リリアが微笑む。
「高いと思います」
セリカさんも言う。
「かなりね」
「ほう」
ミュレアの口元が、ゆっくりと持ち上がる。
「なるほど。妾はどうやら、運命の男を気に入ってしまったらしい」
「その言い方やめてください」
俺は即座に言った。
リリアとセリカさんの視線が痛い。
ミュレアは楽しそうに笑う。
さっきまで消えかけていたのに、もうこの調子だ。
少し安心した。
同時に、先が思いやられた。
その時、封印の間の入口からダリウスさんたちが駆け込んできた。
中層の術式を抑えた後、追ってきたらしい。
ダリウスさんは中央のミュレアを見て、すぐに状況を理解したように顔を険しくする。
「封印は?」
オルフェさんが慌てて魔力計を確認する。
「暴走は停止しています。封印は……再定義されています。完全封印でも完全解放でもない。力を大きく制限した部分解放状態です」
ダリウスさんが俺を見る。
「レン」
「消滅は止めました。ただ、完全には解放していません。危険度も下がっていますが、監視は必要と出ています」
「そうか」
ダリウスさんはミュレアへ視線を向ける。
「ミュレア・ノクターン。こちらの言葉は分かるな」
「当然じゃ、人間の長よ」
「お前の扱いについては、ギルドと王国で協議する。それまで勝手な行動は許さん」
ミュレアは鎖を軽く持ち上げて見せた。
「この状態で勝手に動けと言われても難しいのう」
「口は動くようだがな」
「口を封じられたら退屈で死ぬ」
「死にかけたばかりだろう」
「それを言うでない」
ダリウスさんとミュレアが普通に会話している。
妙な光景だった。
リリアが俺の横で小さく息を吐く。
「ひとまず、助かったのですね」
「はい」
「よかった」
その言葉は、本心からのものだった。
セリカさんも剣を鞘に納める。
「でも、問題はここからね」
「そうですね」
俺はミュレアを見る。
力制限付き部分解放。
好感度九十一。
教会と白灯商会が狙っている存在。
問題しかない。
ミュレアは俺に向かって、いたずらっぽく笑った。
「レン」
「何ですか」
「妾を繋ぎ止めた責任、取ってもらうぞ」
リリアが静かに俺を見る。
セリカさんも静かに俺を見る。
「責任って何ですか」
俺は真顔で聞いた。
ミュレアは楽しそうに答える。
「まずは、妾を退屈させぬことじゃな」
「無理です」
「即答するな」
封印の間に、ほんの少しだけ笑いが戻った。
だが、俺の視界には新しい表示が浮かんでいた。
ミュレア・ノクターン
封印状態:力制限付き部分解放
監視者設定が必要
推奨監視者:レン
俺は見なかったことにしたかった。
しかし、表示は続く。
注意:監視者設定を拒否した場合、封印不安定化リスク上昇
逃げ道がない。
まただ。
また俺の静かな生活が遠ざかっていく。
俺は深く息を吐いた。
「……ギルド長」
「何だ」
「監視者って、断れますか」
ダリウスさんは少しだけ沈黙した。
そして、申し訳なさそうに言った。
「状況による」
それはつまり、ほぼ断れないということだった。
ミュレアが笑う。
「よろしく頼むぞ、妾の運命の男よ」
「だから、その呼び方はやめてください」
リリアとセリカさんが同時にため息をついた。
こうして、魔王令嬢ミュレア・ノクターンの消滅は回避された。
だが同時に、俺たちは新しい問題を抱え込んだ。
封印されたままでもなく、完全に自由でもない魔王令嬢。
その監視者候補に、なぜか俺。
そして好感度は九十一。
俺は心の底から思った。
好感度限界突破というスキルは、たぶん俺の心臓を壊しに来ている。
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相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
捨てられ貴族と山暮らしの少年
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人違いで誘拐され、山にポイ捨てられた子爵家次男のカイル(21)。
瀕死の彼を拾ったのは、山にひとりで暮らす風変わりな少年ラタ(16〜17?)だった。
ふたりはちぐはぐながらも言葉を交わし、カイルは怪我が治るまで少年の山小屋で暮らすことに。
町と違い、身分も立場も通用しないカイルの、へっぽこ山暮らしが始まった。
※西洋風ファンタジー(魔法・チート要素なし)。泥臭め。ヒューマンドラマ/友情もの。
約8万字予定。
他サイトにも掲載しています。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
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ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
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限界突破の無双サバイバル〜鑑定スキルと無限レベルアップで未開の島を制覇し、助けた美女たちと最高の村を作ります〜
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