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第三章 普通

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「狙って来たとは、お見それしました」

「ふふふっなにそれ。でも帰ってきてやっぱり良かったかな。リュウちゃんはリュウちゃんだったから、それにヒロミちゃんとトッキーにも再会できたし」

「俺は千陽が変態行為さえしなければ別に女だろうと男だろうと気にしないがな」

「したくなっちゃうんだもしょうがないじゃん」

「なんでなんだよ?」

「すりこみ?」

「あれか?鳥が卵から出て初めて見た物を親だと思う現象か?」

「かな?はははははっ、違うんだろうけどね。凄く安心するし、必要なの。ねぇ~一緒に風呂入らない?」

にまっと歯を見せる千陽の目は腫れ目で心が読めなかった。

「ちゃんとタオル巻くからさっ。あっ、スクール水着着るよ」

「・・・・・・男物じゃないだろうな?」

「うっ、バレたか・・・・・・って持ってないからね男物・・・・・・あっ、スクール水着そのものを持ってないや、青春ラブコメを愛するリュウちゃんの為に買った方が良いのかな?」

「無駄遣いするなよ、スクール水着は幼児体型だから似合う、千陽なら足を強調するようなハイレグ的なのが似合いそうだな・・・・・エナメル素材なんか似合いそう、って寂しいなら特別だ、今日は風呂の外で待っててやるよ。入ってこい」

「え~特別なら一緒に入ったて良いじゃん。学校で言わないからって言っても無理なんだろうね・・・・・・ごめん、脱衣所には居て欲しいかな・・・・・・」

「あぁ、居てやるからしっかり温まってこい」

風呂に入った千陽はシャワーの音がやたらと長かった。

シャワーの音だけで泣き声は消えなかった。

ワンワンと大声を出しながら叫んでいた。

うん、隣の家に聞こえそうだよね・・・・・・俺の家だけど。

千陽の辛い過去の思い出と感情は、今日の出来事で隠されていた心の傷を再び開けてしまったのかもしれない。
いくら泣いても足りない、春の嵐のごとく涙の雨は降り続いた。

心の傷か、俺なら千陽のその傷の包帯になってやりたい。

千陽の傷ならどんな傷だって、しっかりと押さえてやる。

「ここにいるから好きなだけ泣け」

聞こえているかいないかわからないが呟いた。

しばらくして、すっぽんぽんで腰に手を当てて丸出しで出てくるいつもの千陽に戻っていた。

肌を玉のように弾き流れ落ちる水滴は、もう涙ではないだろう。

とても綺麗でちょっと見入ってしまうと、

「おっ、俺の裸にやっと興味持ってくれたか?一発する?」

「バーカ、っとに少しは恥じらったほうが萌えだっちゅうねん」

「なら、股間だけ隠す?」

手を股間に当てふざけて見せていた。

「湯冷めする前にちゃんと拭け、バカ」

千陽の裸はエロと言う意味でなくて素直に綺麗だ。

引き締まり手足が長い。そして、乳首はピンクだ。

褒めると絶対図に乗るから言わないけどね。
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