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第三章『妹独占ルート暴走編』

第40話 『妹ルート封鎖戦線、発動』

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 ──それは、文化祭直前のことだった。

 

 つくば第一高校の図書室裏、人気のない廊下。
 そこで集まったのは、4人の少女たち。

 幼なじみ・袋田歩美。
 図書委員・磐城玲奈。
 転校生・舞香・A・C・リーヴス・天城。
 そして、アニメ化を経て最強に妹化した──妹・久慈川幸香ではない。

 そう──

「妹抜き」の、ヒロイン同盟。

 

 歩美「……もう、限界よね。さすがにさ」

 玲奈「文化祭で、“兄と指輪交換ステージ”を勝手に予約していた時点で、明確な“侵略行為”です」

 舞香「放置していれば、このまま“婚姻届提出イベント”に進行する可能性もありますわ」

 

 ──全会一致。

 このままでは、“妹ルート”がすべてを飲み込む。

 現実が、ヒロインであるはずの彼女たちを飲み込み、
 物語が妹の執着だけで塗りつぶされてしまう。

 

 歩美は、小さく拳を握った。

 

「よし──始めましょう。
 **『妹ルート封鎖戦線(アンチ・インセスト・フロント)』、発動よ!!」
 

 

 ***

 

 その日の放課後──

 俺の家。リビング。

 集められたヒロインたちと、俺は事態の説明を受けていた。

 

 歩美「私たちは、“妹ルートの暴走”に危機感を抱いています」

 舞香「これ以上、兄妹という関係を超えた干渉が続けば──作品のジャンルが崩壊します!」

 玲奈「このままでは、ジャンルがラブコメから“倫理崩壊パラレルスイート”に移行しかねません」

 

 俺「そこまでは言ってない!!! いや、わかるけど!」

 

 歩美「というわけで──」

 彼女はホワイトボードを出した。

 

【妹ルート封鎖作戦 概要】

 ① 学校内での接近禁止(半径3メートル以内禁止)
 ② 妹による記録媒体没収(スマホ・録音ペンなど)
 ③ 文化祭ステージでの単独行動阻止
 ④ “兄ラブ発言”の公共場抑制指導
 ⑤ 兄パンツ保管庫の強制開錠&廃棄(←!)

 

 俺「ちょっと待って、最後のやつだけなんか重くない!? 俺の思い出が詰まってんだぞ!?」

 玲奈「詰まってるのは、お兄さんの汗と皮脂です」

 

 

 ***

 

 ……そして、その夜。

 妹・幸香は、全てを察していた。

 リビングで1人、パンをかじりながら、
 机の上に置かれたホワイトボードの写しを見て、彼女は呟いた。

 

「──ふぅん。ついに、“やる気”になったんだ」

 

 誰に語るでもなく。

 でも、その目は確かに、笑っていた。

 

「じゃあ……こっちも本気でいくね」

 

 

 ***

 

 翌日。
 文化祭準備中の校舎裏。

 妹・幸香は、歩美・舞香・玲奈を前に現れた。

 風が吹く。
 スカートのすそが揺れ、彼女のロングヘアがふわりと舞う。

 だがその笑顔は──

 狂気の領域に踏み込みつつあった。

 

 幸香「お姉さまたち、ルールなんて守るんだね。
 私は、“好き”って気持ちにルールなんていらないと思ってた」

 歩美「限度があるのよ」

 舞香「“妹”という身分を盾に、好き放題してきた報いを受けていただきますわ」

 玲奈「これは、ヒロインの尊厳と物語の秩序を守るための行動です」

 

 幸香は、一歩前に出た。

 そして──

 

「なら、“全員排除”するしかないね♥」

 

 ──闇落ち、宣言。

 

 その目に映るのは、恋敵ではなかった。

 ただの“障害物”。
 “お兄ちゃん”との未来を邪魔する、ノイズ。

 

 幸香「これから一人ずつ、記憶から消していく。
 ふふ、もちろん比喩だよ? でも、“物語”って、書き換えられるんだよ」

 

 俺(マズい……本当にマズいやつだこれ……)

 

 ──妹ルート。
 それは、萌えの王道であり、同時に最強最悪のバグルートでもある。

 

 そして今、
 ついに──“妹vsヒロイン同盟”の全面戦争が始まろうとしていた。
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