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第五章《妹公認ハーレム編》

第51話 『妹、ハーレム構築を容認する──ただし条件付き』

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「──というわけで、兄のハーレム構築を、公式に容認します!」

 

 その朝。
 食卓で味噌汁を啜る俺の前で、
 妹・久慈川幸香が、満面の笑みで爆弾を投下した。

 

「おぉい!!!!」

 

 俺は思わず立ち上がった。

 

「なんでお前がそんな宣言するんだよ!? ハーレムって何!? 今の会話、他人が聞いたら通報されるぞ!?」

 

 幸香は悠然と腕を組み、
 どこか神官めいた口調で言い放つ。

 

「久慈川家・妹代表としての見解です。兄はラブコメ作家であり、女性との交流は創作上必要不可欠。よって──」

 

「公平で、平等で、愛情に満ちたハーレムを構築すべき」

 

「誰だよその妹代表!!!!」

 

 

 ***

 

 その後、登校中に歩美・舞香・玲奈にも“告知”された結果──

 

 昼休み、俺は三方向からの沈黙圧力を受けていた。

 

 視線が痛い。

 空気が重い。

 胃が痛い。

 

「……で、説明してもらおうかしら?」

 

 最初に口を開いたのは、歩美だった。

 幼なじみの彼女は、笑っている。
 笑っているけど、目が一ミリも笑っていない。

 

「妹に“ハーレムOKです♥”って言わせるほど、
 何かやましいことがあるってことよね?」

 

「違う違う違う!!!」

 

 俺は必死に手を振る。

「俺、知らなかったんだって!あいつが勝手に──!」

 

 

「わたくし、納得いきませんわね」

 今度は、舞香が不満げに腕を組む。

 

「妹だからって、恋愛倫理を踏みにじっていいという道理はありません。
 ハーレム=好色=社会的爆死ですわ!」

 

「あなた、もっと自覚を持ちなさいませ!」

 

「それ俺に言うの!?!?」

 

 

「……私の方が、先輩のことを一番真剣に考えてます」

 静かに、玲奈が言葉を差し込んでくる。

 

「一途で、健気で、表紙にもなったヒロインが──
 なぜ“ハーレムの一部”にならなければいけないんでしょうか?」

 

「“私は特別枠”でいいと思うんです。ええ、“一人だけ特別”で」

 

「それハーレムぶっ壊す方向の地雷だよね!?!?」

 

 

 ***

 

 放課後。

 下駄箱に行くと、そこには例の妹が仁王立ちしていた。

 

「お兄ちゃんっ」

 

「お、おう……」

 

「どうだった? “妹公認ハーレム”の反応」

 

「そりゃ大炎上だったわ!!ていうかなんで勝手にそんなこと宣言したんだよ!」

 

 幸香は、ふんっと得意げに鼻を鳴らす。

 

「だって、あのままだと“誰かを選ばなきゃ”って苦しみ続けるじゃん。
 だったら──“みんな愛す”って選択肢も、アリでしょ?」

 

「……確かに、選べなくて悩んでたけど」

 

「じゃあさ、選ばない代わりに、“ちゃんと向き合う”って誓ってよ」

 

「全員に、平等に、誠実に──愛しなさい」

 

「それが、妹が兄に出した唯一の条件♥」

 

 

 ***

 

 その夜。

 俺は机の前で、原稿ファイルを開いた。

 

 そこには、書きかけのタイトルがあった。

 

『妹公認ハーレム──合法妹と地雷ヒロインに囲まれて、俺の青春が死ぬ』

 

 そうか。

 これが俺の次の戦場か。

 

 俺は静かに、キーボードを打ち始めた。

 
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