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第七章《親バレ寸前!恋とパンツと実家帰省編》

75話 『実家でパンツ干すな──天日干し攻防戦』

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 ──午前十時。晴天。

 

 茨城の朝は、澄みきった空と、どこか懐かしい空気に包まれていた。

 

(……今日こそ、静かで平和な一日になるといいな)

 

 俺は洗濯物を干しながら、そう思っていた。

 

 ところが──その“ロープ”には、とんでもないアイテムが並び始めていた。

 

 ・黒レースに赤いリボン──歩美。
 ・淡いベージュに控えめフリル──玲奈。
 ・サイドがほぼ紐だけ──舞香(Tバック)。
 ・そして、その一番手前には──
 ハートマーク付き・幸香の勝負パンツがぶら下がっていた。

 

「……誰のだこれ!?」

 

 思わず叫ぶ俺。

 

 すると、背後から妹の声が飛んできた。

 

「お兄ちゃん♥ 干す順番、フェチ優先で並べといたから♪」

 

「フェチ優先ってなに!?俺の嗜好で整理するな!!」

 

「え? 兄の反応速度とか、瞳孔の開き具合から自動判定したんだけど?」

 

「余計にヤバいわ!!」

 

 

 ***

 

 さらに、別の場所でも事件は進行していた。

 

「ちょっと、私のパンツだけ裏返しで干すのやめてくれない!?」

 

 歩美が、舞香と仁王立ちで口論していた。

 

「そちらの“面積比”が倫理的に問題ではなくて?」

 

「私のは品のあるセクシーなの! あんたのはもはや“局部告知”なのよ!!」

 

「……むしろ、戦闘装備ですわよ?」

 

「はあああああ!?!?」

 

 そして──

 

「……そもそも、なぜ庭先に“パンツバトル”を展開しているのですか?」

 

 玲奈が静かに指摘したその瞬間だった。

 

 ──ギィ。

 

 縁側の戸がゆっくり開き、母・静江が登場。

 

 湯飲みを片手に、空を見上げて呟いた。

 

「……ふぅ。良い天気。空は青く、空気は澄んでて、そして……」

 

 その目が、パンツロープにロックオンされた。

 

 

 ***

 

「……あの布……全部で四枚……」

 

 母の眼光が鋭くなる。

 

「“娘用”にしてはバリエーションが豊かすぎる。……まさか──」

 

 俺は震えながら、最悪の事態を悟った。

 

(このままじゃ、全てバレる!!)

 

 とっさに、口から飛び出した言葉がこれだった。

 

「お、おじいちゃんの介護用ですッ!!」

 

 静江「……」

 

 歩美「……」

 

 玲奈「……あれで……!?」

 

 舞香「むしろ元気すぎますわね、アレは……」

 

 妹「お兄ちゃん天才♥」

 

 

 ***

 

 しかし、母・静江は静かに口を開いた。

 

「……介護パンツに、レースはついてないわよね?」

 

「ふ、ふふふ……そ、それは……“介護の心にも華を”というメーカーの新作でして……!」

 

「あと、なんでTバックなの?」

 

「じ、じじい、通気性重視で……っ!」

 

 ──その瞬間。

 

「幸喜、正座。」

 

 

 ***

 

 夕方。

 縁側に正座させられた俺は、隣に座るヒロインたちとともに“反省会”を開かれていた。

 

 静江はひとつずつ指を立てながら言う。

 

「まず、庭にパンツを干すな」
「次に、女たちのパンツを“嗜好別”で並べるな」
「あと、Tバックは明らかに犯罪未遂」

 

「は、はい……」

 

「最後に──祖父を巻き込むな」

 

「すみませんでしたああああああああ!!」

 

 

 ***

 

 夜。

 母はため息をつきながら、俺に言った。

 

「はぁ……アンタの周り、ほんとに騒がしいわね」

 

「……ごめん」

 

「でも、嫌いじゃないよ。こういう青春ってのも」

 

 その言葉が、どこか救いに聞こえた。

 

 ──だが。

 隣の部屋では、妹・幸香が着々と**“パンツ投票ランキング”**を作成していた。

 

「さーて♥ 次は“兄の好み診断・本命パンツ選手権”でもやろっかな~♪」
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