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第八章《声優が、教室にいる日》編

第81話 『声優ファン vs ハーレムヒロインズ、文化衝突勃発!』

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 ──昼休み。

 

 俺・久慈川幸喜は、教室の自席で“固められていた”。

 

「ねぇ久慈川くん! るりあちゃんと何話したの!?」
「朝、隣に座ってたよね!? にやけてたよね!?」
「昼休み、肩が触れてた写真がもうSNSに上がってたぞ!」

 

 ……この世は地獄である。

 

「ちょ、ちょっと待て、落ち着け、俺は何も――」

 

「何もしてない“のに”好かれてるのがムカつくんだよぉぉぉ!!」

 

 囲んでくる男子生徒たち。

 彼らは“姫崎るりあファンクラブ つくば非公式支部”──通称《るりら部》であり、
 今や彼女がクラスに来たことで、学校内にて宗教的信仰を拡大中だった。

 

「ちなみに今日の彼女の私服、第3話収録日のスタイリング再現だよな!?」
「お前、毎日隣にいるってどういうこと!? 神か!?」

 

 俺(それは俺が聞きたいわ!!)

 

 

 ***

 

 その騒ぎの中心で、るりあ本人はというと──

 

「あ、久慈川くん。今日のお弁当、またサンドイッチなんですね♪」

 

 ニッコリと微笑み、俺の腕にさりげなくタッチしてくる。

 

 教室、完全に凍る。

 

 男子生徒「(触った……!あれ完全に触ってたぞ今!!)」
 男子生徒「(距離感ゼロ……あれ、“交際距離”だろ!!)」

 

 俺(頼むからやめてぇぇぇぇええええ!!!)

 

 

 ***

 

 ──そして、その異常事態を黙って見ていられるヒロインたちでは、当然なかった。

 

 歩美「……完全に“推しマウント”取りに来てるわね」
 舞香「公然と“正妻席”を占拠するとは、強敵……!」
 玲奈「今……彼女の“声の圧”が空間を支配してます……」

 

 歩美は拳を握る。

 

「これは……“戦”よ」

 

「“正妻の威厳”ってもんを見せてやる!」

 

 

 ***

 

 午後の授業が終わったあと。

 

 帰り支度をする生徒たちの前で、事件は起きた。

 

 俺の机を中心にして、るりあ vs ヒロイン3人が“無言で対峙”していたのだ。

 

 ・るりあは微笑んだまま、俺の荷物を整理中。
 ・歩美は机に手をつき、「その役目、あたしのだけど?」と無言の圧。
 ・舞香はバッグを構え、机を挟んで睨み合い。
 ・玲奈は“ノートを落とすフリ”をしながら、そっと間に割って入っていた。

 

 ──教室が、昼ドラになった。

 

 男子たちは遠巻きに見守る。

 

「やばい……修羅場始まるぞ」
「いや、これはもう“原作者争奪戦”ってレベルじゃねぇ!」
「実況タグつけていい? “#るりあVSリアルハーレム”」
「黙れ、それ炎上するやつ!!」

 

 

 ***

 

 るりあが、微笑んだまま歩美に言った。

 

「歩美さんでしたっけ? 幼なじみなんですね。素敵です。
 でも……“今、彼の隣にいるのは、私”ですから」

 

「…………ッ!!」

 

 その言葉に、一瞬、空気が凍りついた。

 

 だが歩美も負けてはいない。

 

「……そう。確かに“今”はあんたが隣かもしれないけどね」

 

「“過去”も“未来”も、あたしはずっとこうきの隣にいるから。……正妻だからね」

 

 パチンッと火花が散った音がした(ような気がした)。

 

 舞香が静かに口を挟む。

 

「ふたりとも……“現在”の定義で喧嘩しないでくださる?」

 

 玲奈は教科書を閉じながら呟いた。

 

「時間軸の争いって……ラノベで一番修羅場になりますよね……」

 

 俺(頼むからそれを俺のリアルで再現しないでくれ……!!)

 

 

 ***

 

 ──そしてその夜。

 妹・幸香が、うれしそうにリビングのホワイトボードに線を引いた。

 

「じゃーん♥ 今日のヒロイン戦況グラフ、るりあちゃんがついに“好感度トップ”に躍り出たよ!」

 

「なんでそんな統計とってんだよ!?」

 

「だって、お兄ちゃんの人生、乙女ゲーム形式にした方が分かりやすいかなって♥」

 

 画面には、ヒロインたちのアイコンと、現在の“正妻力スコア”が表示されていた。

 

 ──姫崎るりあ:好感度A+/正妻スキル・甘え上手/声域:天使
 ──歩美:好感度A/正妻スキル・昔の約束/耐嫉妬値:限界突破
 ──舞香:好感度A-/正妻スキル・婚姻外交力/衣装:貴族級
 ──玲奈:好感度B+/正妻スキル・読書癒し/変化球:香りの記憶

 

「これ……地獄の資料やん……」

 

 俺は頭を抱えた。

 

 だが、わかっていた。

 この戦いは、まだ始まったばかりだと。
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