英傑奇譚

出動

　この仕事は結構殺伐としている。
　オクタプルに入り『No.』を与えられた以上、そこには市民を守る義務が生じる。
　守るということは市民に害をなす敵である誰かと戦わないといけない。
　それは基本的は制圧するだけなのだが対象を殺害するケースもあり手法は様々である。
　俺たちの主な仕事は犯人の制圧。警察でも手に負えないような能力者を取り押さえる。
　取り押さえた後は犯人の身柄を警察に引き渡す。犯人を裁くのは俺たちではできない。
　こんな殺伐とした仕事をこなしていると息が詰まる時もある。
　だからこそ俺は癒しとして学校に通っているのだ。
　ドアを開けクラスの奴らと挨拶を交わしながら道を進み席につく。
　そしてその日の日程が終わり友達と世間話をしながら帰路を辿る。
　そんな何でもない日常が俺は好きだ。仲間と共に過ごすことが大好きだ。
　だからこそ大変ではあるが学校に通っている。
　仮面もつけなるべく正体がバレないようにもしている。バレてしまうと厄介だからな。
　癒されたいし仲間と共に歩む未来を守りたいと改めて思えるから。
　補足するがこの仕事が嫌いなわけではない。誰かを救える事をむしろ誇りに思っている。
「・・・そうか。」
　そう返答し龍さんもそれ以上は深く聞いて来なかった。色々と察してくれたのだろう。
　そしてオクタプルのメンバーが騒いでいると奥からまた新たな男が姿を表した。
　天魔さんはその男を見て冷静に告げる。
「また新たな任務ですか・・・。総理。」
　俺たちは基本、政府から依頼を受けることが多い。もちろん警察の方からも受けることもある。
　だからこそ仕事があるとこうやって政府の方や警察の方が直々に俺たちのところに来て依頼をする。
　にしても今日は総理本人が来たのか。それほど重要な任務なのだろうか？
　そして総理は重々し気に口を開いた。
「オクタプルの皆さんに仕事を依頼したいのです。」
「テロが発生しました。皆さんにはテロリストを制圧してもらいたい。」
　そこで天魔さんが口を開いた。
「場所は？」
「ここから南方にある都市だと聞いています。」
「すいません。まだ詳しい情報はわかっていないのです・・・・。」
　その言葉を聞いたあと天魔さんは暫く考え返答した。
「分かりました。とりあえず向かってみましょう。」
　そして天魔さんが俺たちの方を向き直り叫んだ。
「おい！いつまで騒いでるんだ！行くぞ！」
　その言葉にオクタプルのメンバーはようやく口喧嘩をやめ静かになった。
　そして皆んな立ち上がりぞろぞろとこの部屋を後にする。
　龍さんと唯峨さんが一番張り切っていた。久々の戦いで高揚しているのだろう。
　その他の人達は怠そうな感じで天魔さんの後に続く。
他の人たちは俺を含めあまり戦闘は好きではない。
　でも丁度いい。皆んなの能力については後ほど説明することにしよう。
　そして俺も現場に向かうため仮面を付ける。
　すると燈が話しかけてきた。
「頑張ろうな！！！」
　俺も力強く答える。
「あぁ！」
　そして俺たちは市民を守るため行動に出るのだった。