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ここまで俺は自分の名前も思い出し、母親の顔も思い出した。しかしまだ何もない世界の住人の真美が助かってなかった。だから俺はなんとしてでも2人で元の世界に戻ろうと決意した。
#悲惨な世界#
深い眠りについていた俺はまだ身体がだるく感じて起き上がるのに時間がかかったがなんとか起き上がれた。横を見ると真美はまだ横になって寝ていた。
しばらく見つめていても全く起きる気配がない雰囲気だった。だがちゃんと息はしてるから問題は無い。全く微動だにしない彼女に向かって軽くため息をはき、次に大木へ目をやった。俺は考えてしまった。
「もう一回触れたら...」
自分の手を見ながらつぶやいた。
俺は立ち上がり大木へ足を運んだ。
この大木に触れればまた元の世界に戻れるんだ。一刻も早く戻りたい。
俺はまだまだ未熟なガキだ。元の世界で机の上を見た時、教科書やらノートやらが置いてあったってことは、中、高生には間違いない。そのくらいの歳で変な世界に連れてこられてそれでも戻る方法が見つかって、でも女の子も助けなきゃってそんな事、ガキの俺には早いだろ!って思ってしまったんだ。
やっぱりもう帰りたい。もうこんなのはイヤだ早く元の世界に!
「ごめん、真美」
俺はそう言って大木に触れようとした。
完全に戻れる保証はなくとも戻れない訳では無いと知ったからこれで安心できると思った。これで現実世界とも行き来出来ると。
「待ってよ!」
もう後数センチで触れてしまうだろう距離で俺の手は彼女の言葉で止まってしまった。
俺が振り向くと彼女はその顔を隠すこともなく泣きじゃくっていた。
「なんで、行かないって言ったのに、どうして、そうやって約束破って置いてくの?もう嫌だよそんなの」
彼女はその場でうずくまってしまった。
俺はなんて最低な人間なんだと思っても、突き放しかけたやつがこんな状況で助けになんて行けないと思い足が動かなかった。
ごめん、の一つも言えなかった。
「もう嫌だよこんなの、また1人なんてやだよ、どうしてみんないなくなっちゃうの」
俺はその言葉に疑問を持った。
「ま、真美また1人ってどういうことだよお前の元の世界では何があったんだよ」
本当はこんな思いさせてしまったやつにいう資格なんてないと思ったけど聞いてしまった。
「私の大切な人、そうお母さんやお父さんはね2人で旅行中に死んだの。私は中学生で勉強とか忙しかったから2人で行ってきなよって言って1人で留守番してたんだ、そしたら親戚の人からお母さんとお父さんが亡くなったって言われて、もう立ち直れなくなったの。」
「なんで知っててそれを先に言わなかったんだよ!そしたら俺だってこんな事しなかった!絶対に2人で戻るまで見放さなかった!そんなの1人で抱え込むもんじゃねぇだろ!」
「待って!話を聞いて!まだ続きがあるの!」
俺は少し落ち着いた。
「もう立ち直れなくなった私は自殺しようと考えたの。でもその時に急にこの世界に来たんだよ。そして今の啓一君と会って、話して私の存在価値がまだあるんだなって思ったのに...信じてたのに…啓一君となら一緒に戻ってくれるって思ったのに...」
「ごめん、俺、本当に最低だ、もう絶対離れないから何が何でもだから今度こそ一緒に」
「1度裏切られた信頼を戻すのってあなたにとってはそんなに簡単なの?それで私が許すと思う?」
「んじゃどうしろってんだよ!もうどうしようもできねぇよ!今の話聞いて、もう絶対に一人にさせないって心に誓ったのに真美が許してくれないなら俺はどうすればいいんだよ!教えてくれよ..こんな最低な男にでも出来ることをよぉ」
俺はもう感情の赴くままになると、涙がこぼれてしまった。こんな最低なやつが泣いて言い訳ないのに女の前で涙流すなんてかっこ悪いのにそれでも全く涙が止まらなかった。
真美は泣き崩れる俺に近づき耳元で囁いた。
「一緒に連れてって」
#悲惨な世界#
深い眠りについていた俺はまだ身体がだるく感じて起き上がるのに時間がかかったがなんとか起き上がれた。横を見ると真美はまだ横になって寝ていた。
しばらく見つめていても全く起きる気配がない雰囲気だった。だがちゃんと息はしてるから問題は無い。全く微動だにしない彼女に向かって軽くため息をはき、次に大木へ目をやった。俺は考えてしまった。
「もう一回触れたら...」
自分の手を見ながらつぶやいた。
俺は立ち上がり大木へ足を運んだ。
この大木に触れればまた元の世界に戻れるんだ。一刻も早く戻りたい。
俺はまだまだ未熟なガキだ。元の世界で机の上を見た時、教科書やらノートやらが置いてあったってことは、中、高生には間違いない。そのくらいの歳で変な世界に連れてこられてそれでも戻る方法が見つかって、でも女の子も助けなきゃってそんな事、ガキの俺には早いだろ!って思ってしまったんだ。
やっぱりもう帰りたい。もうこんなのはイヤだ早く元の世界に!
「ごめん、真美」
俺はそう言って大木に触れようとした。
完全に戻れる保証はなくとも戻れない訳では無いと知ったからこれで安心できると思った。これで現実世界とも行き来出来ると。
「待ってよ!」
もう後数センチで触れてしまうだろう距離で俺の手は彼女の言葉で止まってしまった。
俺が振り向くと彼女はその顔を隠すこともなく泣きじゃくっていた。
「なんで、行かないって言ったのに、どうして、そうやって約束破って置いてくの?もう嫌だよそんなの」
彼女はその場でうずくまってしまった。
俺はなんて最低な人間なんだと思っても、突き放しかけたやつがこんな状況で助けになんて行けないと思い足が動かなかった。
ごめん、の一つも言えなかった。
「もう嫌だよこんなの、また1人なんてやだよ、どうしてみんないなくなっちゃうの」
俺はその言葉に疑問を持った。
「ま、真美また1人ってどういうことだよお前の元の世界では何があったんだよ」
本当はこんな思いさせてしまったやつにいう資格なんてないと思ったけど聞いてしまった。
「私の大切な人、そうお母さんやお父さんはね2人で旅行中に死んだの。私は中学生で勉強とか忙しかったから2人で行ってきなよって言って1人で留守番してたんだ、そしたら親戚の人からお母さんとお父さんが亡くなったって言われて、もう立ち直れなくなったの。」
「なんで知っててそれを先に言わなかったんだよ!そしたら俺だってこんな事しなかった!絶対に2人で戻るまで見放さなかった!そんなの1人で抱え込むもんじゃねぇだろ!」
「待って!話を聞いて!まだ続きがあるの!」
俺は少し落ち着いた。
「もう立ち直れなくなった私は自殺しようと考えたの。でもその時に急にこの世界に来たんだよ。そして今の啓一君と会って、話して私の存在価値がまだあるんだなって思ったのに...信じてたのに…啓一君となら一緒に戻ってくれるって思ったのに...」
「ごめん、俺、本当に最低だ、もう絶対離れないから何が何でもだから今度こそ一緒に」
「1度裏切られた信頼を戻すのってあなたにとってはそんなに簡単なの?それで私が許すと思う?」
「んじゃどうしろってんだよ!もうどうしようもできねぇよ!今の話聞いて、もう絶対に一人にさせないって心に誓ったのに真美が許してくれないなら俺はどうすればいいんだよ!教えてくれよ..こんな最低な男にでも出来ることをよぉ」
俺はもう感情の赴くままになると、涙がこぼれてしまった。こんな最低なやつが泣いて言い訳ないのに女の前で涙流すなんてかっこ悪いのにそれでも全く涙が止まらなかった。
真美は泣き崩れる俺に近づき耳元で囁いた。
「一緒に連れてって」
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