冷酷仮面で不器用な愛を隠してく。

胡桃

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Episode.01

01-4

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「断っても一緒に行くなんてさぁ…」


千歳は意味深な視線を私に向ける。


「何?」

「いや、それって、桐谷の奴が奏を好きとしか思えないんだけど」

「…は?」


何を言うのかと思えば、そんなことを言い出すから、私の頭の思考回路は一瞬停止。


「だってさぁ、嫌いな人とわざわざ一緒に登校なんてしないでしょ?」


だから好きなんじゃない?

なんて、真顔で言って。


「ない!それは絶対にない!!」

「そう?」

「そう!あり得ないよ!!だって千歳は知ってるじゃん。烈が私のこと大嫌いだってこと」

「でも…それは昔の話でしょ?今は違うかもしんないじゃん」


あいつはあの日、はっきりと言ったんだから。


「絶対あり得ない」


私がはっきりとそう言えば、千歳はなんだか腑に落ちない顔をして。

だけど、暫くすれば話題のテレビドラマの話に変わっていた。


毎日浴びるように聞かされるあいつからの文句。

そんな奴が私を好き?


…絶対あり得ないから。 



***


時は過ぎ、今は4時間目の数学の時間。


「ふぁっ…」


そして、この時間私を襲うのが睡魔。

なんで数字っていうのは、こうも眠気を誘うんだろう…


『…であるから…』


先生の声が子守歌にしか聞こえなくて、そろそろ本格的にやばいなと思い始めた頃。


『桐谷くん、格好良いっ!!』

『烈、ナイッシュ!!』


微かだけど外から聞こえてきた、私の天敵の名前。

…烈だと?

窓際に座ってる私は、声のする方に視線を向けた。


そこには、奴の姿。

うわ、本当に烈の奴いるじゃん。


声はグラウンドから聞こえていて、たぶん体育のサッカー中烈が点を決めたってとこかな。

女子は体育館からわざわざ身を乗り出して見てるし…


相変わらずのモテ男っぷりですなぁ 
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