冷酷仮面で不器用な愛を隠してく。

胡桃

文字の大きさ
7 / 7
Episode.01

01-6

しおりを挟む


本当は誰よりも烈が大好きで。

女の子にモテることに実は嫉妬してて。

毎日のように言われる文句にいちいち傷ついてて。

だけどこんな私の気持ち

…気付かれるわけにはいかないんだ。

もし今気付かれたら、きっと更に酷い言葉を浴びせられるに違いない。

そんなことになったら私、二度と立ち直れないと思うから。

千歳は烈が私を好きなんじゃないかって言ったけど、そんなこと言われたってもう期待はしない。


キーンコーン…


気付けば終わっていた数学の授業。


「あぁー、本当あの先生の授業ダルいわぁ」


私が教科書を片付けていれば、眠そうな顔をして私の席に来た千歳。


「千歳の場合、どの先生でも同じでしょ」

「確かに」

「今日、かな授業聞いてなかったでしょ?なんか外ばっか見てたよね?」


私と千歳が話をしていたとき。

後ろから聞こえてきたのは、私と千歳といつも一緒にいる、友達の雪村 苺(ゆきむら いちご)。

苺は名前通りちっちゃくて可愛いくって、とにかくモテる。

千歳はサバサバ美人系

苺はフワフワ可愛い系

そんな2人と一緒にいるから、私だけいつも浮いちゃうんだよなぁ… 


「外って言ったら…確か桐谷のクラスがサッカーやってたよね」

「あ、そういうことかぁ」


ははーん、なんて言って笑う千歳と、納得したような顔の苺。

千歳と苺は、私が烈のことを好きだって知ってる。

ちなみに過去のことも。


「ち、違っ…わないけど…」

「奏、本当に桐谷が好きだよね」

「かな可愛い~!」


可愛いって…苺に言われても…


「ったく、なんでこんなに思ってくれてる奏のことをなんとも思わないのかな、桐谷の奴は」

「本当。桐谷くん、幼なじみのくせにかなのいいとこ全然分かってないよ」

「もう烈のことは想ってるだけでいいの。私はあいつに女どころか、人間扱いすらされないもん」


この気持ちを伝えたらいけないって分かってる。

だからせめて、想ってるだけならいいよね。

…いっそのこと、嫌いになれたらいいのに。

だけど、烈にどんな扱いを受けようが嫌いになれないから困ったもんだ。


「っとに奏可愛すぎっ!!桐谷にはもったいないよ」

「何か困ったことがあったら私達に言ってね?いつでも協力するから。ね?ちぃ」

「もちろん」

「ふふっ、ありがと」


こんなに私のことを思ってくれる友達なんて、千歳と苺ぐらいだよな。 

ぎゅるるるる~


「あ」


皆で話をしてたときに、空気も読まず豪快な音を立てたのは、紛れもなく私のお腹。

お昼の時間だから腹の虫は騒ぎまくってて。


「どんだけお腹空いてんのよ、奏…」

「じゃ、ご飯食べよっか」

「うんっ!食べよ、食べ…あ…」


やっとお昼!なんて思ったけど、よく考えてみたら私、お弁当忘れたんだった。


「ごめん、私お弁当忘れたから購買行ってくる!」

「あ、そうなの?じゃあ私達も行こう、ちぃ」

「え、先に弁当食べてなよ?」

「大丈夫、私達も行く。ついでに飲み物も買いたいし」

「分かった」


***


「うーわ、なんだこの人の数…」


久しぶりにお昼に購買に来てみれば、辺りには人、人、人。


「これ、買えんのかな…」

「頑張れ、かなっ!」

「行ってきます!!」


人混みの中へ入り、人と人の間から頑張って顔を出して。

カレーにしよっかなぁ…あ、でもあのパンもいいかも…

何を買おうか考えていたとき。


「やっば…あの3人格好よすぎでしょ…」

「超目の保養~」

「やっぱ桐谷くん格好いいわぁ~」


さっきも十分騒がしかったけど。

購買内が、黄色い声で更に騒がしくなった。


え、何事っ!? 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【書籍化決定】憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜

降魔 鬼灯
恋愛
 コミカライズ化決定しました。 ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。  幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。  月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。    お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。    しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。 よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう! 誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は? 全十話。一日2回更新 7月31日完結予定

婚約した幼馴染の彼と妹がベッドで寝てた。婚約破棄は嫌だと泣き叫んで復縁をしつこく迫る。

ぱんだ
恋愛
伯爵令嬢のオリビアは幼馴染と婚約して限りない喜びに満ちていました。相手はアルフィ皇太子殿下です。二人は心から幸福を感じている。 しかし、オリビアが聖女に選ばれてから会える時間が減っていく。それに対してアルフィは不満でした。オリビアも彼といる時間を大切にしたいと言う思いでしたが、心にすれ違いを生じてしまう。 そんな時、オリビアは過密スケジュールで約束していたデートを直前で取り消してしまい、アルフィと喧嘩になる。気を取り直して再びアルフィに謝りに行きますが……

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います <子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。> 両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。 ※ 本編完結済。他視点での話、継続中。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています ※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!

ぱんだ
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」 突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。 アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。 アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。 二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

処理中です...