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津倉佐々美、にゃんこと何気ない会話をしてもいいかな?
しおりを挟む「今日奥さんに誘われて婦人会の会議にいってきたんすよ。そしたらここ、ふるさと納税とかもやってるんですね」
その夜、ご飯の後にマッサージチェアでくつろいでいたデブ猫〈ショコラ〉にそんな話をしてみた。デブ猫〈ショコラ〉はマッサージチェアに乗りながら、「そこ、そこそこ、効く効くー!」と女みたいな声を上げていた。
「そうや、ふるさと納税でブルートゥースのヘッドフォンとか作ってたんや。おまえ、ファブレスって知らん?今はファブレスを使えば、お嬢ちゃんの世界の安い工場で作ってくれんのよ。そして、この異世界のオリジナル猫マークをつければ完成ってもんよ。今猫ブームやから、猫マークさえつけてたら、みんなかわいい、かわいいってゆうて、お礼の品でほしがるんや。安っすいブルートゥースやねんけど、猫マークついているだけでバカ売れやで。人間ってちょろいな」
おい!人間をばかにすんな。
「けど、なんか婦人会ふるさと納税のことで議題が上がってたじゃないですか」
「そうやねん、なんか最近お礼の品が寄付の3割ぐらいにおさえなあかんとかで、換金性の低いものじゃなきゃあかんとかうるさなって、家電が無理になってきたんや。急にそんなこといわれても、ほんま迷惑やで。せっかく銀聯カード対応にしたばかりやというのに」
「だから婦人会はこれから魚や海産物をお礼の品にしようかとかいってるんですよ」ちょうどデブ猫の妻〈エクレア〉にも聞こえていたのか、洗い物をしていた手をエプロンで拭きながらこちらにやってきて横から口をはさむ。
「せやけど、魚なんて日持ちが悪いし、今の子はそんなん食べへんやろう。いまどき猫の子やって魚食べへんで。骨がどう、においがどうっていわれたらあとあと難儀やで。返品されても面倒やしな。家電やったら腐らんし、楽勝やったんやけどなあ」
「そうなんですよねえ。婦人会でも色々と案は出てるものの、家電に変わる決定打がなくて。困っているんですよねえ」
ふーん、猫の世界も大変なんだな。
「いっそのこと、地域振興券でも発行して、ネコランドとしてこの異世界全体を観光地にしようかという案もあんねんけどな」
わお、ネコランド。
「いいですねえ。あの、ふれあいモフモフコーナーとかあるやつですね。そりゃかわいいかも」
津倉佐々美はスリスリしてくる猫を想像してちょっと興奮してしまった。
「いや、そっちちゃうよ。いまどきはメイドカフェの方やろ。萌え要素ないと人なんて集まらんで。メイド猫カフェ作って、くるくるニャンニャンって若い子らにやらせとったら人間なんていちころやろ。地下アイドルもええかもなあ。勝手にキュン死してくれるんとちゃう?」
う、言い返せない。
「ネコランドもうまくいけばネズミーランド並みの観光地になるんちゃう? そうなったらこの異世界も安定や」
おい、それはディズニーランドだろ!
ディズニーランドの向こうを張ってネコランドとは大きく出たものだ。
「お。おお、おー!キタキタキター!!そこや、効くー!助けてー!!」
デブ猫〈ショコラ〉はマッサージチェアに身もだえた。
つくづく幸せなやつだ。いってよし。
「そうそう、そういえば、誰かいっとったけど、今度この世界にお嬢ちゃんの世界からテレビクルーが取材に来るねんて。なんか意外とこの異世界じわじわ来てるって感じ?」
ひと段落ついて、マッサージチェアから降りたデブ猫〈ショコラ〉は、お茶をすすりながらそんな話をした。
へえ、元いた世界から人間が来るんだ。なんだか新鮮。久しぶりに同胞に会えるなんて。ワクワクするなあ。
「そうなったらライバルはやっぱりあの黒ネズミやな。あの黒ネズミには負けられへんな」
黒ネズミって…。
ミッキーをネズミ呼ばわりすんな!
いや…ネズミか。
「けど、わし、あの黒ネズミよりかはいけとると思うねんけどなあ」
いや、おっさん、あんたには子供に夢は与えられそうにないから。
「わし、意外とイケメンやろ」
「どこが?…わわわわわ」
いかんいかん。ついつい本音が…。
「ニャ。ほら、かわええやろう」
デブ猫〈ショコラ〉はにっこり笑って招き猫ポーズをとって見せた。
ブサかわなら、かろうじて…。需要はあるのかも?
「必殺技は肉球猫パンチやー!」
黒ネズミさんに必殺技とかないから。
「猫キックもええなあ」
いや、方向性違うから。
「いや、決めポーズはこっちの方がええかな?こわーい、ショコラさん、かわいくて常にインスタ映えしちゃうから…」
何ねぼけたことほざいとるんじゃ。
デブ猫〈ショコラ〉は結局、この夜一人で必殺技を色々と考えつき、お茶の間で実演を繰り広げた。完全に戦隊ものになってしまい、あらぬ方向へと話が行ってしまった。
前途多難ってこういうことなんだね。
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