17 / 39
第一章
【六】星夜―腐女子の遭遇②
しおりを挟む
祖母ちゃんが三人分の紅茶を運んできた。気を利かせて席を外すつもりなのだ。
ミッションを遂行するなら今だ。なんとかして祖母ちゃんの小説を読んでもらわなくては!
「つ、月子ちゃんがBL漫画を好きだなんて知らなかったな~」
「ふふふ。仲間がいて嬉しいわ~」
よし、祖母ちゃんが食いついたぞ。すかさず俺の隣に座らせた。
「実は、プピッターや投稿サイトにも作品を発表してるんです」
「あら、漫画が描けるの? 凄いわね!」
「月子、俺は知らなかったぞ」
「だって内緒だもん」
ありゃ。海人がふくれっ面だ。
「あら、読んでみたいわ。サイトとペンネームを教えてくれるかしら?」
スマホを取り出した祖母ちゃんは目をキラキラさせてスタンバっている。
月子ちゃん、ペンネームプリーズ!
「星夜君のお祖母さまはネットで漫画もお読みになるんですね。まだまだ腕は未熟ですが、それでもよろしければ。あの、LIN○のIDを交換しませんか。リアルの腐仲間はいないので、語りあいたくて……」
「あら、私で良いのかしら。腐女子じゃなくてお祖母ちゃんだけど」
「腐教活動に年齢は関係ありませんわ。あるのは、BL愛です!」
「いいぞ、月子ちゃん!」
俺はガッツポーズで応援した。
「星夜、なに息んでるんだ。お前も俺とID交換しろよ」
「おお、そうだったな」
祖母ちゃんと月子ちゃん、俺と海人がそれぞれ繋がった。
よしよし。なんかの拍子で、祖母ちゃんが月子ちゃんに自作小説をカミングアウトしてくれれば、俺のミッションが終わるぞ。
「ただいま~」
「お帰りなさい」
リビングに現れたのはルカ叔母さんだった。ジャストタイミング!
「星夜のお友達が遊びに来てるのよ」
祖母ちゃんの紹介に、双子が優雅に立ちあがる。
「はじめまして。萩野海人です。星夜君とは小学校が一緒でした。妹の月子と一緒におじゃましてました」
御曹司の爽やかスマイル(ホワイトニング前歯シャイニング付き)が決まった。叔母さんのハートを鷲づかみしてどうする、海人~。
「はじめまして。萩野月子と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
令嬢の優雅なカーテシー(目上の相手に対し、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げてあいさつをする)もそつがないぞ~。
ピピピピピピ~!
ルカ叔母さんの切れ長の瞳から発する探索レーダーが、萩野兄妹に照射されたぞ。
「叔母の流華です。どうぞルカ叔母さんって呼んでね」
微笑みながら、紙袋から何かを取り出したルカ叔母さん。
「ああっ。それはもしかして、メロン先生の新刊『ピザを配達したら僕が食べられちゃいました~バナナパフェはサービスです!』じゃ……」
月子ちゃんが叔母さんの手にある漫画本に釘付けだ。
「ふふふ。書店で予約していたの。しかも特典ポストカード付きよ!」
ドヤ顔でかざす漫画の表紙は、キャップを被った青年がピザの箱を持ちながら頬を染めていた。
それが主人公だな。そして金髪のチャラそうなイケメンが主人公を抱きしめている。
ルカ叔母さんの言うところの、攻めって奴だな。
「プピッターで人気が出て、コミックになった漫画家さんよ。月子ちゃんも腐界の住人なのかしら?」
叔母さんの言葉に頷く月子ちゃんとラン祖母ちゃん。そして見つめ合う女性陣。
ビビビビビビビ~!
「な、何なんだ。凄いエネルギー波を感じるぜ」
「海人、あれは腐女子結界ってやつだよ」
「腐女子結界?」
ミッションを遂行するなら今だ。なんとかして祖母ちゃんの小説を読んでもらわなくては!
「つ、月子ちゃんがBL漫画を好きだなんて知らなかったな~」
「ふふふ。仲間がいて嬉しいわ~」
よし、祖母ちゃんが食いついたぞ。すかさず俺の隣に座らせた。
「実は、プピッターや投稿サイトにも作品を発表してるんです」
「あら、漫画が描けるの? 凄いわね!」
「月子、俺は知らなかったぞ」
「だって内緒だもん」
ありゃ。海人がふくれっ面だ。
「あら、読んでみたいわ。サイトとペンネームを教えてくれるかしら?」
スマホを取り出した祖母ちゃんは目をキラキラさせてスタンバっている。
月子ちゃん、ペンネームプリーズ!
「星夜君のお祖母さまはネットで漫画もお読みになるんですね。まだまだ腕は未熟ですが、それでもよろしければ。あの、LIN○のIDを交換しませんか。リアルの腐仲間はいないので、語りあいたくて……」
「あら、私で良いのかしら。腐女子じゃなくてお祖母ちゃんだけど」
「腐教活動に年齢は関係ありませんわ。あるのは、BL愛です!」
「いいぞ、月子ちゃん!」
俺はガッツポーズで応援した。
「星夜、なに息んでるんだ。お前も俺とID交換しろよ」
「おお、そうだったな」
祖母ちゃんと月子ちゃん、俺と海人がそれぞれ繋がった。
よしよし。なんかの拍子で、祖母ちゃんが月子ちゃんに自作小説をカミングアウトしてくれれば、俺のミッションが終わるぞ。
「ただいま~」
「お帰りなさい」
リビングに現れたのはルカ叔母さんだった。ジャストタイミング!
「星夜のお友達が遊びに来てるのよ」
祖母ちゃんの紹介に、双子が優雅に立ちあがる。
「はじめまして。萩野海人です。星夜君とは小学校が一緒でした。妹の月子と一緒におじゃましてました」
御曹司の爽やかスマイル(ホワイトニング前歯シャイニング付き)が決まった。叔母さんのハートを鷲づかみしてどうする、海人~。
「はじめまして。萩野月子と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
令嬢の優雅なカーテシー(目上の相手に対し、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げてあいさつをする)もそつがないぞ~。
ピピピピピピ~!
ルカ叔母さんの切れ長の瞳から発する探索レーダーが、萩野兄妹に照射されたぞ。
「叔母の流華です。どうぞルカ叔母さんって呼んでね」
微笑みながら、紙袋から何かを取り出したルカ叔母さん。
「ああっ。それはもしかして、メロン先生の新刊『ピザを配達したら僕が食べられちゃいました~バナナパフェはサービスです!』じゃ……」
月子ちゃんが叔母さんの手にある漫画本に釘付けだ。
「ふふふ。書店で予約していたの。しかも特典ポストカード付きよ!」
ドヤ顔でかざす漫画の表紙は、キャップを被った青年がピザの箱を持ちながら頬を染めていた。
それが主人公だな。そして金髪のチャラそうなイケメンが主人公を抱きしめている。
ルカ叔母さんの言うところの、攻めって奴だな。
「プピッターで人気が出て、コミックになった漫画家さんよ。月子ちゃんも腐界の住人なのかしら?」
叔母さんの言葉に頷く月子ちゃんとラン祖母ちゃん。そして見つめ合う女性陣。
ビビビビビビビ~!
「な、何なんだ。凄いエネルギー波を感じるぜ」
「海人、あれは腐女子結界ってやつだよ」
「腐女子結界?」
67
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
α主人公の友人モブαのはずが、なぜか俺が迫られている。
宵のうさぎ
BL
異世界に転生したと思ったら、オメガバースの世界でした。
しかも、どうやらここは前世の姉ちゃんが読んでいたBL漫画の世界らしい。
漫画の主人公であるハイスぺアルファ・レオンの友人モブアルファ・カイルとして過ごしていたはずなのに、なぜか俺が迫られている。
「カイル、君の為なら僕は全てを捨てられる」
え、後天的Ω?ビッチング!?
「カイル、僕を君のオメガにしてくれ」
この小説は主人公攻め、受けのビッチング(後天的Ω)の要素が含まれていますのでご注意を!
騎士団長子息モブアルファ×原作主人公アルファ(後天的Ωになる)
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる