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第一章
【六】星夜―腐女子の遭遇④
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「星夜が帰ってきたおかげで月子ちゃんとも出会えたし、これからはワクワクイベントへ向けて、甥っ子には大活躍してもらうわよ」
あれ、俺のミッションはひとつじゃないのかー?
「ワクワクイベントって何?」
ラン祖母ちゃんの顔が輝いている。こんなに弾んだ声は久しぶりかもしれない。
「ワクワクイベントその一、ネットBL小説家『ラン★』の同人誌を作る」
「同人誌の件は、本気だったんだねぇ」
「そうよ。母さんは作品を選んでね」
ありゃ、バラして大丈夫なのか、ルカ叔母さん。
「もしかして、星夜君のお祖母さまはBL小説を書いているのですか?」
「え、ええ。趣味でね……」
「凄い! 私、小説も読むんです。どちらのサイトですか?」
「ニャ、ニャルファポリスよ……」
萩野兄妹のスマホ操作がマジシャンみたいだ。
「これかな。『板前見習いネコたんの恋』『足の甲に野獣のキスをして』」
「わたし『瑠衣とゆかいな仲間たち』読んだことあります。腰に赤龍神の刺青がある美青年の話ですよね」
「月子ちゃん、読んだことあるの?」
「ええ! ファンアートを送ろうとしたけれど、プピッターはやってなかったので、諦めました。あとで感想を送らせてください!」
よっしゃ、奇跡のミッションコンプリートだぜ!
「ファンアート。プピッター……」
祖母ちゃんが目を白黒させている。
「お母さん。今時の小説書きは、プピッターで自分の投稿サイトを宣伝するのよ。ほら、これを見て。ベルばら先生のアカウントよ。フォロワーが三万人もいるの」
「三万人も!」
「商業作家ですもの。こうして新作を固定ツイートにして目に留まるようにするの。投稿サイトの作家は、更新する度にツイートでお知らせするわけ。感想を伝えたいときは、ほら、こんなふうに話しかけてるの」
「リプってやつです」
海人の歯がキラリと光った。いまはアパタイト光線なんていらないぜ!
「……」
祖母ちゃんは黙り込んでしまった。そういえば『スマホで投稿サイトへ打ち込むだけで青息吐息よ』っていってたしな。どこまで理解できたのか怪しいところだ。
「祖母ちゃん、俺と一緒にプピッターやってみる?」
「星夜と?」
「私、フォロワーになりたいです!」
月子ちゃんが背中を押してくれたぞ。
「じゃあ、やってみようかしら……」
「同人誌を作るからには、プピッターやブログは欠かせない手段よ。星夜、よろしくね。それと……お母さんには、これで校正や推敲をしてもらいます」
またもや叔母さんが紙袋からアイテムを取り出した。
「日本語ワープロソフト『いち★タロー』……」
受け取った祖母ちゃんが青くなった。
「パソコンで投稿サイトのバックアップデータをダウンロードしてから、ソフトの校正機能を使って文章をチェックするの。それから印刷して紙で再チェック。ミスを訂正して……」
「ルカ叔母さん。祖母ちゃんのキャパオーバーだから、紙に書こうよ」
いまや完全にソファーで石化したアラフィフ。
「祖母ちゃん、俺も一緒に作業するから大丈夫だよ」
ポンポン、と肩を叩いたら少し血色が戻ってきたぞ。
「そ、そうよね。記念に同人誌を作るだけだしね……」
「あら、秋までに三冊は作るわよ。ワクワクイベントその二、『ジェイ庭インオータム』で頒布するわよ~!」
「「ジェイ庭インオータム!」」
あれ、俺のミッションはひとつじゃないのかー?
「ワクワクイベントって何?」
ラン祖母ちゃんの顔が輝いている。こんなに弾んだ声は久しぶりかもしれない。
「ワクワクイベントその一、ネットBL小説家『ラン★』の同人誌を作る」
「同人誌の件は、本気だったんだねぇ」
「そうよ。母さんは作品を選んでね」
ありゃ、バラして大丈夫なのか、ルカ叔母さん。
「もしかして、星夜君のお祖母さまはBL小説を書いているのですか?」
「え、ええ。趣味でね……」
「凄い! 私、小説も読むんです。どちらのサイトですか?」
「ニャ、ニャルファポリスよ……」
萩野兄妹のスマホ操作がマジシャンみたいだ。
「これかな。『板前見習いネコたんの恋』『足の甲に野獣のキスをして』」
「わたし『瑠衣とゆかいな仲間たち』読んだことあります。腰に赤龍神の刺青がある美青年の話ですよね」
「月子ちゃん、読んだことあるの?」
「ええ! ファンアートを送ろうとしたけれど、プピッターはやってなかったので、諦めました。あとで感想を送らせてください!」
よっしゃ、奇跡のミッションコンプリートだぜ!
「ファンアート。プピッター……」
祖母ちゃんが目を白黒させている。
「お母さん。今時の小説書きは、プピッターで自分の投稿サイトを宣伝するのよ。ほら、これを見て。ベルばら先生のアカウントよ。フォロワーが三万人もいるの」
「三万人も!」
「商業作家ですもの。こうして新作を固定ツイートにして目に留まるようにするの。投稿サイトの作家は、更新する度にツイートでお知らせするわけ。感想を伝えたいときは、ほら、こんなふうに話しかけてるの」
「リプってやつです」
海人の歯がキラリと光った。いまはアパタイト光線なんていらないぜ!
「……」
祖母ちゃんは黙り込んでしまった。そういえば『スマホで投稿サイトへ打ち込むだけで青息吐息よ』っていってたしな。どこまで理解できたのか怪しいところだ。
「祖母ちゃん、俺と一緒にプピッターやってみる?」
「星夜と?」
「私、フォロワーになりたいです!」
月子ちゃんが背中を押してくれたぞ。
「じゃあ、やってみようかしら……」
「同人誌を作るからには、プピッターやブログは欠かせない手段よ。星夜、よろしくね。それと……お母さんには、これで校正や推敲をしてもらいます」
またもや叔母さんが紙袋からアイテムを取り出した。
「日本語ワープロソフト『いち★タロー』……」
受け取った祖母ちゃんが青くなった。
「パソコンで投稿サイトのバックアップデータをダウンロードしてから、ソフトの校正機能を使って文章をチェックするの。それから印刷して紙で再チェック。ミスを訂正して……」
「ルカ叔母さん。祖母ちゃんのキャパオーバーだから、紙に書こうよ」
いまや完全にソファーで石化したアラフィフ。
「祖母ちゃん、俺も一緒に作業するから大丈夫だよ」
ポンポン、と肩を叩いたら少し血色が戻ってきたぞ。
「そ、そうよね。記念に同人誌を作るだけだしね……」
「あら、秋までに三冊は作るわよ。ワクワクイベントその二、『ジェイ庭インオータム』で頒布するわよ~!」
「「ジェイ庭インオータム!」」
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