秘密の花園エッセンス 〜異能青年は花嫁と踊る〜

文月・F・アキオ

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第2章 二人の誤算

迫り来る期日 vii(Selina)※※

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 誘いをかけてきたウィリアムが、腰に回していた腕をゆっくり動かして撫でてくる。
 動物を愛でる時のように、ただ〝撫でる〟だけでもそういう気分になるものかしら?と、私はまじめに考えた。

(なるかもしれないわ……)

 服の上からゆっくりと熱を移すように撫でられているだけなのに……喜びと期待で緊張してしまう。震えそうになってくる。
 決定的なものが無いからこそ、気になるというか。そこはかとなく手つきが官能を帯びているような……

 つまり、全体的にウィリアムが煽ってくるせいで。私のそういうところを的確に突いてくるのが悪いと思うのよね。だって、例えば〝よしよし〟と頭を撫でられる分にはそういう気分にならないと思うもの。それが背中でも同じだと思う。

 こうやって……肩から首とか、腰から背中やお尻とか……体中を撫でるからいけないと思う。
 要するに少しずるいのだ。



 悔しくなってきた私は、負けじとウィルに向き合うように座り直してそれを妨げる。

 今度は私が……両手ですっぽり、という感じには足りなかったけど、彼の両頬をさすりながら温めるようにして覆う。
 頰から目元……目元から額へ。
 前髪をかきあげてから、頭を撫でる。
 やんわり揉みほぐしたあと……耳を包んで温めて、首筋を通って肩を撫でる。

 彼が目を閉じた時に顔色をじっくり観察すれば、やはり疲労が色濃く現れていた。
 こんなに疲れている時に、余計なことをさせているかと思うと切なくて……少しでも癒しになればと、心を込めて同じことをもう一度だけ繰り返した。

「どう?」
「……うん。興奮した」
「嘘よ。気持ち良いだけでしょ?」
「心地良いから活発になるんだよ」

 抱き寄せられて膝に乗せられる。跨った状態でぎゅっとされるとウィリアムの大事な場所が私の下で存在を主張しているのが判ってしまう。
 なるほど確かに活発になっているようね……優しく撫でて、血行を促すように揉んだだけなのに。なにがいけなかったのかしら……

「リーナの手は気持ち良いな。油断すると眠りそうになってくるよ」
「……眠った方が良いんじゃない? とても疲れた顔をしてるもの。ちゃんと夜明け前には起こすから、少しでも休ん――」

 キスで意見を取り下げられてしまった……



 夜。二人きり。朝まで一緒。
 邪魔するものが何もない――

 ……こんな状況で、ほどほどのところでめられるのだろうか。

 さっきの時のように夢中になってしまうのではと、少しだけ不安に思ったけれど……始まってしまえばもう止めようがない。
 ちょっとでも休んでもらえる時間が残ると良いなと……心地よい口付けにのめりこみながら、かすかに残った理性が頭の隅で呟いた。




 好き。好き……ウィルが好き……

 さっきよりも今の彼が好き。明日はもっと好きになる。
 何度も繰り返すキスの狭間で、もっともっとと欲しがる自分の声がする。

 もっと好きになってほしい。
 欲しがる自分と同じくらい、求めてほしいと願う声。

 これ以上ないくらい愛されて、大事にされていると思うのに……欲望は留まることを知らなくて。時々そんな自分が嫌になる。


 抱き着いてキスした格好のままゆっくりと仰向けに倒されて、ひっくり返ったカエルのようで恥ずかしいと……思っていられたのは最初だけだった。


 するりと簡単に下着ドロワーズを脱がされて、むき出しになったお尻を撫でられる。同時にぷつぷつと前身頃をはだけられ、大きく開かれた襟元からウィルの右手がぐいぐいと忍び込んでいた。
 なんだか今日のウィリアムは、いつもと少し違う気がする。激しかったり、性急だったり。アレクサンダーヘビさんに怒ったり……興奮よくじょうするか試したり。


「……っ、ウィル」
「駄目。ちゃんと飲み込んで」

 飲み込みきれないウィルの唾液が口から溢れて頰を流れ、耳にまでたどり着く。
 ずっと舌が捉えられていて、歯と歯が時々ぶつかり合う。噛まれそうな勢いだ……

「あっ……やぁあんっ!」

 胸当てコルセットを押し下げて躍り出た胸をつかまれて、先端の尖りをぎゅっと掴まれた。
 快感が強すぎてじんじん痺れてる……少し痛い。

 なのに次から次へと流れてる……キスをしている時からして濡れていた場所から、雫が溢れ、お尻の方にまで伝ってしまっていた。
 いつもより濡れるのがずっと早い。それにこんなに量が多いのは……街でも一度そうなったから?
 分からなくて不安になる……


 お尻から回ったウィルの手が、濡れた秘所を器用に開いて広げてくる。差し込まれた指がじゅぷじゅぷと、容易にあそこを出入りして、さらに雫が溢れてくる。

「あっ……あっ、やっ……ぁんっ……!」

 捲れておなかのあたりで束になった下着ドロワーズはきっとベトベトになっているに違いない。

「……うっ……ぁふ、……ふっ、ぅ、……ぐぅッ」

 無理やり暴かれていく感じが苦しいのに、カラダは快楽に呻いている。足が下着で固定された上から腕が回されてて……かなり密着しているから、痺れるくらいに窮屈だった。そのせいか変な喘ぎ声が止まらない。

 なによりも、ウィルに触れる暇がない。
 手を差し入れて撫でてあげたいのにその余地がない。届かない……上着の留め具を外す余力もなければ、背に腕をまわすのすら難しい。
 ウィルの素肌が遠くて、確かめ合うような言葉も無くて……伝える術がなくてもどかしい。


「ふぁっ……あぁ――っ!……んッ、ああんっ!!」

 快感がふわっと弾けた瞬間、舌ではなく歯で乳頭を噛まれた。
 すごいビリビリする。しかも痛いのに気持ち良いなんて……私はおかしい。

 心臓がばくばくして身震いが止まらない。
 いつもは焦らされて刺激を強請ることが多いのに、今日はペースが早すぎて……気持ちにちょっと余裕がない。


 そうこうしてるうちに濡れた下着ドロワーズ靴下タイツもろとも取り払われて、私の下半身は丸裸にされていた。
 両膝の裏をぐっと抱えて開いて胸に押し付けられて……目を開くと、濡れたあそこをじっと見つめるウィリアムがいた。


「やっ……ウィルっ……」

 相手がウィルなら嫌ではない。
 嫌ではないけど、凝視されるのは恥ずかしい……
 だからつい〝やめて〟と言いたくなってしまう。
 本当にやめられたら困ってしまうくせに……


「あああぁっ――!!」

 舌先ですくって噛みつくように、急所を一息に責められて。私はあっという間に絶頂した……

「……あぁっ、あっ……あっ!?――ッ!」

 身体中が引きつるような痙攣が止まらない。
 それなのにウィルは舐めるのをやめてくれなくて、舌が中を出入りして。行ったり来たり、いつまでも刺激する。
 まだそっとしておいてほしいのに、ひくひく震える陰核を突いてくる。ダメなのに。


「んうっ…!…ぁあっ、あっ…あんっ…だめっ…ぁ――――っ!!」

 私は連続してってしまった。

 快すぎて、痺れて、苦しくて……
 悲しくもないのに涙がでる。



 はぁ……暑い。ビリビリする……
 熱くて……気持ちいのが止まらない……
 でも苦しいの。これはいや。
 やめてほしい……やめないで……

 急に悲しくなってくる。
 今日はどうして触らせてくれないの……



「いやっ……もぅいや……うぃる、ぎゅってしてぇー…!」




 私は泣きながらねだっていた。

 ああ、恥ずかしい……
 私あの時はちょっと混乱してたのです。
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