聖女を追放した国は悲惨な運命が・・・なんで悲惨な状態にはならないのよ!

転定妙用

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序章

平和ではなく停戦だ

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 シュン王国軍は、兵を退いて、元来た道を戻ることになった。
 リツシユン王国側の要請に応じたのである、戦いは望まないという要請に、シユン王国側は。
 もちろん軍を率いて侵攻した以上、はい、そうですか、戻りますと言うわけにはいかない。リツシウン王国側も、それは当然理解していた。戦争による直接的な損害、国土が戦場となることでの人、物あらゆる面での被害よりは、金と物をシュン王国側に支払う方が、結果として安くつくと判断して、金貨、ドラゴンの皮などの魔獣の加工品、オリハルコンなどの希少魔法鉱石、そして糧食で補償金?を支払うことを提案したのである。

 シュン王国側は、それで満足したわけではないが、戦うことでの損害と想定外の事態、魔王と魔族がリツシウン王国側にいること、を考えて、計算して、取り合えず受け入れたのである。ただ、
「正しい神の教えを信仰する心正しい者達とそれを導く者達に対する弾圧、抑圧を行わないことを約束してもらいたい。」
と申し入れを行った。
「もちろんです。三位一体教会の修道士、神父、信徒達の生命、信教は保証します。決して、棄教の強制、抑圧、弾圧は絶対にしないと約束しましょう。」
とリツシウン王国国王自らが約束したことと傍らの司教も取り合えず戦争を回避することを望んだため、鉾を収めることにしたのである。司教は、ウスイの言葉に偽りはないと思えたからである。老師も、その彼の気持ちを察するように頷いてみせた。

「父上。本当によろしかったのですか?」
 帰りの行軍中、馬上で息子である第三王子は、不安そうに言ったが、父シュン王国国王はそれを無視して、やはり馬上の聖女に向かって、
「聖女様は、あの女魔王をどう思われましたか?やはり、その名のとおりの、恐るべき者でしたか?」
 聖女は、少し考えてから、
「恐ろしい、邪悪な魔力を感じました。しかし、あの時、私の聖結界からすり抜けたのは・・・彼女の力ではなく・・・今のところわかりません。ただ、あの、ウスイから何かを感じられたのですが・・・今のところはわかりません。」
「・・・。」
 聖女の言葉に、シュン王国国王は無言で唸った。

「どう思う、これから?」
「このままで終わるわけはないわね。」
 シュン王国軍が引き上げていくのを眺めながら、リツシウン王国・ターイカン二重王国、国王ウスイと女魔王ツチイは言葉を交わしてから、どちらからともなく唇を重ねて、舌を絡ませあった。唾液が零れ落ちた。
「絶対、私とお前の国を滅ぼさせはしないわよ。」
 唇を離すとツチイは荒い息をしながら言った。
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