聖女を追放した国は悲惨な運命が・・・なんで悲惨な状態にはならないのよ!

転定妙用

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その後?

ただいま➁

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 なんで、あの魔族女が正妻面しているのよ、エイリとマキイラの心はハーモニーしていた。自分の目的、自分達の部族と自分自身の保身のために、あの方を連れだしただけじゃないの。そもそも、不甲斐なく敗れて逃げてきた魔族ごときに温情をかけ、優しく受け入れ、その後の戦いでも、見捨ててもいいのに、自ら殿の陣頭指揮に立ち、彼女の部族を先に、無事に退却させてやったのは、私の夫だし、傍らでそれを助けたのは私達ではないか。あまっさえ、彼女と彼女の部族の生活の地を確保し、その後の援助を行ったのは、優しい夫の温情だった。夫、カサギ様たからこそのことであって、感謝してもしきれないはず。カサギ様を守ったとしても、臣下として、臣従の誓を立てたはずじゃない、恩を受けた者として、当然のことをしただけじゃない。それなのに、カサギ様ったら、なんで妻のように待遇しているんですの?私達以外の女を?全く、そのお優しい性格は分かっていますが、浮気ですわ、不倫ですわ、裏切りですわ、この助平、変態。私達が、旦那様と別れ別れなったのは、カサギ様をお助けしようとしたからであって・・・。そこまで思った時、別の男に抱かれた感触、快感に喘ぎ、喘ぎ声を出し、激しく腰を動かし、自分からさらに求め、快感の余韻にしたり、あなたの方がずっといいと口にして、彼に抱かれて眠りに落ち、彼の子供を宿して幸福感を感じ、カサギのことを忘れかけていた、忘れたい黒歴史のように思いかけていたことを思い出した。こんな汚れた女を受け入れる男が、雄が、どこにいるだろうか、という考えが脳裏をよぎると戦慄さえした。悪寒が走る思いだった。"私は旦那様のやさしさを利用して、自分だけ逃げたのよ。あの方を、助けることができなかった。あの場にいなかった。この魔族女に感謝さえしなければならないのよ、カサギ様を救ってくれたことに。"
 そして、物心がついた時から、彼のことが好きだった、乳母や爺やや侍女達によれば生まれてすぐに、カサギ様があやせば、抱けば、どんなに激しく泣いていても、機嫌がよくなったというから、生まれてすぐにあの方を私は愛していた、と思い直した。彼との体の感触も、匂いも、味も、五感で感じたことを全て思い出した。押しかけるようにやってきた自分を優しく受け入れてくれて、ずっと優しく接して、自分のためにできるだけしようと辺境でも苦労してくれて、どれだけ深く愛してくれて、実家の将兵が次々去っていっても文句ひとつ言わず、自分のことを気遣ってくれて・・・彼自身の命より妻である自分の命、幸福を思ってくれた・・・。"カサギ様。一緒ににいさせてください。それだけでいいんです。おかえり、と迎えてさえくれれば私はいいんです。ほかには何もいりません。"エイリとマキイラは心の中で叫んでいた。彼がどう言うか、彼の次に口からだす言葉に不安と期待を感じながら、心持ち顔をあげると、苦しそうな彼の顔がそこにはあった。

 隣に座るカサギを、前に座る女2人を交互にチラチラと、気が付かれないように首はほとんど動かさず、目も最小限の動きで魔族のミナは見ていた。しっかり、3人に気づかれていたが。
 "人間の女どもが、肝心な時にいなかった連中が、他の男達に汚された女達が、今頃のこのこやってきて、何のつもりなのよ。私こそがこの方を助け、支え、愛されているのよ。あんた方なんてお呼びじゃないのよ。それなのに、カサギ様は、どうして直ぐに追い返さないのよ、未練があるの、何、その顔は?魔族の、しかも王族の正騎士の私が人間のあんたを愛してあげているというのに。"と怒り狂っていた、心の中では、表情にはだしていなかったが、あくまでもそのつもり、彼女が思っているだけなのだが。
「?」
 自分を見つめるカサギの視線を感じた。それは、一瞬のことだったが、それでも、その迷ったような表情は分かった。
 "何?"

 その時、カサギは、彼女が自分とともに戦った魔族の部隊を率いていた、いわば同盟者である、彼女が自分を助け、苦しい逃避行、脱出劇を演じたこと、そして彼女がいたから、この亡命生活、衣食住、名誉を維持してくれていたとはいえ、を過ごせた、彼女との熱い夜を過ごし、溺れたといえる日々を思い出していた。その一方で、
"所詮は魔族の女ではないか。"とも思いを捨てられなかった。彼と彼女は、ウスイとツチイとは違った。お互いに相手を嫌悪する気持ちを完全には捨てきれなかった。"ツチイ様に、人間との共存に反対して決起して、脆くも破れ、逃げてきた連中ではないか。役立たずの連中ではなかったか。その後も守ってやったし、戦い終わった後の生活を保障してやった。俺が恩を与えてやったのだ。それに、俺を助けての脱出は、俺がいなくなっては不安だったことであり、俺がいればウスイ様、ツチイ様に受け入れてもらえると踏んだからじゃないか。実際、あのまま俺がいなくなったら、こいつらの居場所はなくなっていたろう。この領地で、俺に与えられた領地、かなりいる、こいつの一族郎党達は安住できたではないか。そいつらのために、俺は、この地で随分と骨を折ってやっている。"とも同様に思っていた。

 そのカサギの後半の思いを視線で感じたのかどうかは分からないが、突然彼女も脳裏に感じた、彼と共有してしまい、冷や汗すら流した。"私は、この人を利用しただけ?あの女達の方がずっと長い期間、この方を支えて、愛し合っていたではないか?人間だと嫌悪する気持ちを捨てきれない私が、カサギ様を愛していると言えるの?"急に恐怖さえ感じた。そして、彼と過ごした日々の幸福感、そして熱く愛し合った、喘ぎまくったことを、彼の体温、感触を、そして彼のやさしさを強く思い出してしまった。"自分と自分の部族がよければ彼はいらない?嫌だ、嫌よ・・・。一人だけになっても、この方と居たいのよ。私を離さないでいてくれる?離さないで・・・離されたくない・・・。"と急に大きな不安に襲われ、懇願したい気持ちになっていた。"一緒にいられさえすればいい!"

"彼女は、彼女たちがあのような行動を選んだのは、我が国の扇動の結果だ。俺の責任でもあるんだよな、ある意味。この日々は・・・悪くなかった・・・ああ、彼女の匂い、体の感触、体温、快感・・・ああ、たまらない・・・結局俺は好色なだけか・・・。"
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